秋田 中編
ギシギシと狭い廊下を進み、部屋に案内される。
「では、ごゆっくり」
「あっ……」
俺が質問する前に、旅館の女将は消えてしまった。
「どうした?」
「いや、カッパが出るのか聞きたかったんだわ」
「……まあ、村おこしみたいなものだろう」
……だよな。
恥ずかしい質問するとこだったぜ。
8時になり、外に出る。
俺のいる一帯は段差になっていて、少し高い位置にあるが、そこから見える景気はさっきとは一変していた。
花火大会を見るために、浴衣を着た客などでごったがえしている。
「すげえ客だな」
「とりあえず、海岸線を歩いてみよう」
港には、出店が所せましと並べられており、やきそば、たこ焼き、ケバブ、チョコバナナなど定番の店の他に、きりたんぽ、みたらしプリン、金萬と呼ばれるどら焼きのようなものまで売っている。
「どれか食っときてーけど……」
出店の列と、そこらへんを歩いてる客が同化してしまっているため、どう並べばいいのか分からない。
その時、向こうから見覚えのあるやつが歩いてきた。
「……」
どっかで見たことある顔だ。
男と女が並んで歩いていて、男の方を俺は知っている。
眉間にしわを寄せて、相手の顔を凝視していると、向こうも俺に気付いた。
「……おっ、君らは」
「……! ラジオ!」
直前で名前を思い出した。
そうだ、義勇軍のリーダーのラジオだわ。
隣の女性は彼女か奥さんか?
黒い髪に、黒いコーデの服をまとっている。
結構若そうだけど……
「こいつはリサっつって、俺の妹だ。 ほら、挨拶しろ」
「は、はじめまして……」
リサは俯きがちにそう言った。
……シャイなのか?
「ああ、俺はヒカリで、こいつがマルコ」
「マルコです。 よろしく」
俺たちは4人で花火を見ることになった。
いい位置が陣取られているため、海岸線から少し離れた草むらにシートを引いてしゃがみ込んだ。
「……そういえば、君らも義勇軍に入ったんだったな。 ニシノから連絡があった」
……不本意だけどな。
「……成り行きで。 てか、ラジオは何でここに?」
「……悪いが、メンバ―に加わった以上、俺に舐めた口は聞かない方がいい」
……えっ。
マジかよ。
意外と優しい奴かと思ってたけど、こんな感じだったのか。
「わ、分かりました……」
「俺がここに来た理由は、2つある。 1つは、俺たちはここが地元で、単純に花火を見に来た。 もう一つは……」
ラジオが説明しようとした時だった。
俺たちがいる場所から少し離れた地点で、爆発音がした。
「な、なんだ!?」
客の一人が叫んだ。
「か、カッパだ!」




