青森 後編
俺の頭上に現れたのは、リザードマンだった。
身をよじり、やや無理な体制でトリガーを引くも、弾は命中しない。
「ぐっ……」
トカゲが覆いかぶさり、俺は地面に押し倒された。
銃を顔の前に突き出し、どうにかトカゲの攻撃を防ぐも、噛みつかれるのは時間の問題だ。
「マルコッ! お前だけでも逃げ……」
俺が呼びかけた瞬間、食い気味にマルコもこう叫んだ。
「円・月・輪!」
倒されてる関係上、画面が反転して見えているが、円盤投げのモーションの後、マルコは手にしていた首輪を投げた。
ブウン、という音がしたかと思うと、次の瞬間、トカゲの首は切断された。
「ギャアアアアアアアアアアアアッ」
円盤はそのままマルコの手元に引き戻されていく。
「……な、何だ今の」
「昔、チャクラムを習っていたことがあってな」
ちゃ、チャクラム?
何か、漫画とかで出てくる、円盤の手裏剣みたいな武器だよな……
マルコが投げたのは首輪だけど……
「輪っかなら何でもいい。 丸太を切断するくらいならな」
……いや、それ、達人の領域だろ。
だがまあ、俺は助かった。
リザードマンの首を掴むと、車に戻るべく、来た道を引き返した。
車に戻ると、黒い鎧を着た変なやつがこっちに向かって歩いてきた。
「な、何だありゃ……」
俺は思わず銃を構えた。
すると、黒い鎧は素っ頓狂な声を上げた。
「わっ、えっ、倒しちゃったの!?」
この声は、ニシノだ。
「……何すか、その恰好」
「えっ、いや、これが私の戦闘コスチュームで…… 本当は、君らが苦戦してるところに颯爽と登場するつもりだったんだけど……」
着るの時間かかったのに―、とか言いながら、車に戻ると、ニシノは鎧を脱ぎ始めた。
「めっちゃ戦いにくそうだよな……」
俺は小声でマルコにそうつぶやいた。
車は青森にあるオート〇ックスに到着。
俺たちの車の修理が完了していたため、金を払って乗り込む。
「やっぱ、EKワゴンがいいわ。 天井高いし」
「そうだな。 ニシノに挨拶しなくていいのか?」
「いいんじゃねえの。 それより、次、どこに向かう?」
マルコがスマホで検索をかけ、十和田バラ焼き、というのを食べようという話になった。
車を発進させ、青森県、十和田市にある大昌園食堂に向かった。
東北自動車道から八戸自動車道に乗り入れ、およそ2時間で到着。
時刻は10時だ。
食堂の脇にある駐車場に止め、俺たちは店に入った。
中はいかにも大衆食堂といった具合で、鉄板が等間隔に並べられている。
ランチメニューを注文し、しばらくして若い店員がやってくると、肉を焼いてくれた。
ニシノは竜騎士でした。




