宮城
俺たちは車に乗り込み、次の目的地、宮城を目指すことにした。
場所は仙台の利休、と呼ばれる牛タン屋の老舗だ。
ネットに、牛タン屋のおすすめで一番上に載ってたから、そこに決めた。
「どっちが運転する?」
「行きが俺だったからな。 ヒカリ、お前に任せる」
「はいよ」
道は常盤自動車道を北上していくだけだから、迷いようがない。
ナビによれば、1時間30分で到着するとのことだ。
俺は、車内でヒロシの話題を振った。
「……あいつ、やっぱり意味わかんねえわ。 自由すぎんだろ」
「……」
マルコは少し考える素振りを見せた後、こう返してきた。
「なんだか、好かれようとして嫌われる父親みたいだな」
……父親?
「どこら辺が?」
「あいつは、カーチェイスを仕掛けて来た。 これは、俺たちに自分の威厳を見せつけたい、というのが目的だった。 次に、義勇軍のことを話した。 これは教育の意味合いが強いように思える」
威厳に教育……
なるほど、それで父親、か。
「はっきり言って、ウザいわ」
「……だろうな」
好きでもない相手からの、押しつけがましい行為は一番ウザい。
「……もし好かれたいんだったら、もっと違う側面を見せろっての」
「……というと?」
偉ぶってるところは別に見たくない。
言おうか迷ったが、一応、口に出した。
「泥臭いとこ、だよ」
利休は仙台駅周辺に、10店舗以上も展開している老舗店で、俺たちは適当なパーキングに車を止め、中央通り店に入ることにした。
時刻は12時で、大勢の客でにぎわっている。
「申訳ございません。 少々お待ちいただけますか?」
「はい」
若い女性の店員にそう促され、20分ほど待っていると向かい合わせの席に案内された。
この時間はランチをやっていて、俺たちは牛タン定食を頼むことにした。
しばらくして、牛タンが運ばれてくる。
「すげえ分厚いな……」
牛タンは炭火焼きで、かなり分厚い。
外はこんがり焼かれており、中は赤く柔らかそうだ。
「値が張るだけあるな。 頂こう」
牛タンは塩で味つけられており、恐らく、これが一番うまい食べ方だ。
完食したころには、もう何も食えないってほど、腹が膨れていた。
「……もう食えねえ。 はっきり言って、朝のソースかついらんかったわ」
「……ああ。 次は岩手だが、軽めにしておくか」
俺たちは、岩手のスイーツに狙いを定め、再度車を出発させた。




