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始まりの街の中心の噴水の前に転送されることは事前に知っていたため比較的落ち着いて現状を確認していく。変わった景色の最初に飛び込んできたのは行き交うプレイヤーやNPCだ。プレイヤー達の顔はみなこの日を待ちわびていたのだろう、みな嬉々としていた。
NPCとプレイヤーの見分け方は簡単だ。プレイヤーの見た目はまず見た目が綺麗な人が多いことと、それぞれが目的をもって行動していたり、様々な表情や言葉、フレと話している人などで判断できる。対してNPCは一定の場所から離れなかったり、同じところをグルグル回っていたり、話しかけると同じことを繰り返すことなどで判断できる。
次に街の風景だが、中世ヨーロッパのような街並み、レンガ作りで赤い屋根の家が連なっており風車や水車などもある。これも事前情報で確認済みだ。最初の町はいかにも異世界ファンタジーっぽく作ろうという意見が多かったらしい。
様々な情景の街や村があるらしく、技術が発展した機械だけの街や、日本の和をイメージした東-アズマ-という国、雪国や砂漠に囲まれた街などもあるらしいので期待している。
さて、方針だがやはり戦闘を体験したいな。とりあえず体がうまく動くかどうか確認しながら噴水の周りを一周する。どうやら誤差などもなくリアルと相違なく動くようだ。次にメニューウィンドウを表示させ初期ステータスとアイテムを確認する。
スグ-Lev.1-人族
HP 120/120
MP 65/65
SP 74/74
STR 21
VIT 18
DEX 16
AGI 18
INT 15
RES 17
LUK 19
装備
ショートソード ATK+10
ビギナーウェア DEF+10
ビギナーレギンス DEF+6
ビギナーバンド DEX+3
ビギナーシューズ AGI+3
所持アイテム
初級HPポーションx10
初級MPポーションx10
初級SPポーションx10
投げナイフx5
帰還の羽x5
所持ゴールド
1000マニー
ふむ、腰に刺さっているショートソードを確認しつつ改めて自分の容姿を近くの店の窓で確認する。ビギナーシリーズの見た目は初期装備にも関わらずなかなかお洒落な見た目をしており、着心地もよかった。
所持アイテムは序盤の回復アイテムか、情報通りだな。ステはバランス型なので平均的。HPは文字通り体力で、これが0になると死亡する。MPは魔法スキルを使うと消費され、SPは武器スキルを使うと消費される。街中では常時、外では非戦闘時に座ると徐々に回復する。
確認が終わりこのまま狩りに行ってもいいのだが少し欲しい武器があるので武器屋へ寄ることにした。武器屋に入るとドワーフ族らしき店員にいらっしゃいと出迎えられる。1000ゴールドしかないので少し後ろめたい気持ちを抱えながら目当てのモノを探す。
あった。短銃だ。値段も700マニーと買える。まぁ性能は雀の涙程度だが。目的を達したので店を後にし街の外へと向かう。外へ向かいつつ初期スキルの確認をする。片手剣スキルはスラッシュ(STRx1,5の縦切り)のみと、銃スキルはまだ覚えていないようだ。
ショートカットメニューにスラッシュと回復アイテムを登録する(ここに登録しておくことで念じるだけで即座に使用できる。スキルやアイテムにはそれぞれリキャストタイムがあり一度使うとしばらく同じコマンドは使用できなくなるので注意して使わなければならない)。
帰還の羽(使うと一番最後に立ち寄った街に転移できる)も登録しておくが非戦闘時しか使えないためこれも注意が必要だ。銃を買ったときについてきたホルスターを腰にはめ装備するのも忘れない。
色々と準備をしながら歩いているとどうやら街の入口に着いたようで門が見えてきた。空を見上げると太陽が真上にありゲーム内時刻を確認するとちょうど正午を廻ったところだ。
YWOの一日は現実の時間の3分の1、8時間で終わるため朝、昼、夕、夜と2時間づつで変わる。夜になると出てくるモンスターが変わる。夜に出てくるモンスターの方が比較的強いため最初は夜以外の時間帯に狩るのが定石だ。一日の周期を短くしているのは現実世界でもやることがある現代人に配慮されたシステムだろう。
門番のNPCをスルーして街の外へと足を踏み出した。