序章 第8話鍛錬
もう2月ですね。本当につきひの経つのは早
いものです。
と言う訳で9話目です。
よろしくお願いします。
刀と弓が出来るまでの間を、シオンは無駄に使おうとは一切考え無かった。ディレクからこの隠れ里にある物は、全て好きに使って良いと言われたので、まず何処に何があるのかを確認した。
工房を除いて下層から上層まで全てを見て回ると、武器庫と書庫を見つけた。
シオンは先ず武器庫にある剣と弓を選別して、比較的使える物を選び、早速外に出て試してみた。
シオンは秘密の扉から外に出ると、森に入り辺りを見回しながら歩いて行き、手頃な大きさの木をみつけると、その前に立ち剣を構えた。
自分の中にある竜の力を感じ、少しづつ手に集めていく。そして、
パキィ
その音と共に剣が柄の部分から折れてしまった。まだまだ力のコントロールが上手く出来ず、余計な圧力が剣に掛かってしまったためである。
シオンは剣を地面に置くと、今度は弓を手に取った。
ゆっくりと手に意識を集中させると、矢を番え適当な木に向かって構えるが、その瞬間弦がプッツリと切れてしまった。
どうやらこの力は制御出来なければ意味がないらしい。
そう考えたシオンは一旦心を落ち着かせる為に座禅を組み、己の内にある竜の力を人体の中心にある丹田に集めようとした。丹田は人体の中心にあるが為に全ての動作の起点となる。そこに力を一旦集中させる事によって、手や足等の身体の先端部にスムーズに竜の力を送れると考えたのだ。その考えは正解ではあったが、なかなか上手くいかず時間が掛かったのである。
結局その日は上手くいかず時間だけが無駄に過ぎていった。
翌日からシオンは午前中を読書に当てた。書庫でこの世界の事を知ろうと考えたのである。
そして午後からは外に出て前日と同じように、座禅を組み竜の力を丹田に集められるよう、全神経を集中させた。
そして一週間後シオンは漸く竜の力の制御に成功した。それと同時にこの世界についても少しずつ見えてきた。
この世界では一年を13ヶ月で分けそれぞれに色の付いた名称がある。一月目から茜の月、菫の月、翠の月、朱の月、珀の月、霞の月、紅の月、蒼の月、藤の月、緋の月、藍の月、紺の月、白の月、さらに一月を4週間に分け一週間を7日としていた。日付けの表記の仕方は、月名と第何週何日目という形である。さらに1日の時間は25時間だと言う。
ディオンの日誌によると今日は創世記1570年翠の月第2週の4日のようだ。
創世記とはヴェールデン大陸で史上唯一統一帝国を築き上げた、始祖帝アルフレッドの生誕した年を紀元としている。
ヴェールデン大陸は別名世界大陸とも言われ、この世界にそれ以外の大陸は無く、大陸の周りに幾つかの島があるだけのようた。そして今現在シオンが居る場所は、大陸東北東に位置する幾つかの島の中で一番大きい島であるようだ。
その後のシオンは朝起きると大樹の上から朝日を浴びながら、座禅を組み丹田に意識を集中させ竜の力の制御を行うと。全ての力を身体中に均等に配した状態で剣による素振りと空弓を引いた。その後朝食を摂ると、午前中は学問に午後は剣と弓の鍛錬に充てるという規則的な生活を送った。
そして刀と弓が出来る頃には、竜の力を完璧に制御出来、この世界の現状を完全に把握出来るまでになっていた。
次話も一週間後に投稿します。