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不死鳥騎士団  作者: 杉野雄
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序章 第5話哀悼

いよいよ2014年も残り僅かですね。来年も良


い年にしたいと思います。


と言う訳で6話目です。

「おい、お主大丈夫か?しっかりせい!」


シオンは自分の身体が揺すられている事と聞きなれない言葉を耳にしたが、何故かその言葉を理解出来た。


これも竜の頭脳の恩寵か。


そう思いながら目を開け、身体を慎重に起こすと、先程助けた老人が気遣わしげにこちらを伺っていた。


「大丈夫そうだな。」


「ええ、ありがとうございます。」


そう言って立ち上がったシオンは、居住まいを正し軽く礼をした。驚いた事に彼自身も老人と同じ言語を話していたのである。


「お初にお目にかかります。私はシオンと申します。貴方様が鍛冶族の最期の長ディレク様ですね?」


そう言われた老人は暫し唖然としたが、直ぐに立ち上がり、


「確かにその通りだが、何故お主が其れを知っておるのだ?」


と、応えた。


シオンは青竜の亡骸に向きながら、


「青竜様に教えて頂きました。」


それを聞いたディレクは、ゆっくりと友人の亡骸に向き直り、沈思して哀悼の意を伝えると、シオンに向き直った。


「成る程、お主が彼奴の言っておった待ち人と言う訳か。」


そう言うディレクに対して、シオンは頷く事で答えた。


「彼奴は他に何か言っておったか?」


「自分の鱗を使い貴方様に刀を打って貰えと、仰っていました。」


それを聞いたディレクは薄い笑みを浮かべると、


「成る程、刀と言うのは其方の持っている剣の事だな?」


「ええ、その通りです。」


「見せて貰えるかな?」


その要望にシオンは些か当惑した表情を浮かべた、彼にとって刀は自分の魂そのもので、他人に例え一時的にであったとしても、手渡す様な物で無いからである。


「抵抗があるかえ。」


ディレクは静かにそう言った。それはただの言葉でしか無かった。揶揄する感じでも無く、不思議に思っているのでも無く、質問ですら無かった。ただそう言ってみただけで、そこに一切の感情も篭っていなかった。


しかし、そうであるが故にシオンはディレクを信頼出来ると瞬時に悟りり、


「いえ、大丈夫です。」


と言いながら、刀を手渡した。


「拝借しよう。」


ディレクは刀を受け取り抜こうとしたが、抜けなかった。


「これは抜けんぞ!」


無理にでも抜こうとしたディレクを制し、シオンは鞘を掴むと軽く下に押してスッと抜いた。


「な!」


ディレクは驚いた。


「これは一体どう言い仕掛けだ。」


「簡単な仕掛けです。上では無く下に少し押すだけで抜けますよ。どうぞやって見て下さい。」


ディレクは言われた通りに刀を抜き両手に持つと、繁々と刃を見つめた。


「これは切るための剣だな。」


刃を見つめながら、ディレクが問う。


「ええ、その通りです。」


「湾曲した剣は幾つか見たことがあるが、こんな剣は初めてだ一体之は何処の国の剣なのだ。」


「《陽の元》の国です。」


その答えを聞いて初めてディレクが刃から目を離しシオンを見つめた。


「《陽の元》の国だと。そんな国聞いた事がないぞ、一体何処にある国だ。」


「青竜様の話では私は次元の裂け目からこの世界へやって来たそうだ。」


「なんと、其方は流離い人だったのか。」


「そう呼ぶのですか。」


ディレクは溜め息を一つ吐くと


「なんだ、彼奴は話して無かったのか、相変わらず言葉の足らん奴だ。」


と、呆れた顔をして言ったものだ。


「まあ良い。彼奴の鱗を使い刀とやらを打ってやろう。」


「ありがとうございます。」


シオンは深々とディレクに対して頭を下げた。


「そうと決まれば、先ずは彼奴の鱗を剥がさねばな。」


「私がやりましょう。どれくらい剥がせば良いですか?」


「100枚剥がしてくれ、それと一箇所に固まると禿げてしまうから、一枚一枚違う所から剥がしてくれ。」


「分かりました。」


そう言うや否や青竜の亡骸に近づいたシオンは、一枚一枚違う場所から丁寧に鱗を剥がしていき、重ねていった。ある程度重なった鱗をディレクが受け取り正確な枚数を数えていった。


少し時間は掛かったが100枚を揃えると、ディレクはそれを袋に詰め込んでいった。


「亡骸は如何しますか?」


シオンが袋に詰め込むのを手伝いながらそう聞いた。


「うむ、此の儘にしておく訳には如何。火葬にしよう。シオン!お主がやってくれ。」


「分かりました。」


シオンはそう応じると直ぐさま森の中に入ろうとした。それを訝しく感じたディレクが思わず声をかけた。


「シオン何処に行くのだ。」


「何処と仰っても、燃え易い枯れ枝と葉っぱを集めようと、森の中へ行くつもりですが。」


さも当然と言わんばかりにシオンは応じるが、ディレクには理解出来なかった。


「そんな事せんでも、お主なら簡単に炎を出せるだろ。」


「まさか!」


「まさか!・・・おい!お主あのアホから何も聞いていないのか?」


あのアホとは青竜の事であろうが、シオンには全く覚えが無かった。


「何をですか?」


ディレクは深々と溜め息を吐くと、言葉を溢した。


「全く本当に言葉が足らんのう。」


「すいません。」


「お主が謝る必要は無い。あのアホの所為だ。全く死んだ程度では直らんのかあのアホさ加減は!」


そう言いながら、ディレクは青竜の亡骸を暫し見つめた。


「まあ良い。シオン今お主の身体には竜の力が宿っているのは解るな。」


「ええ、解ります。」


「その力を手に集めて、火の光景を頭の中に描くのだ。おっと全部集めるなよ少しづつで良い。」


シオンは言われた通りに身体中に廻る竜の力を、少しづつ右手に集めて行く。そして右手に力が集まると、燃え盛る炎を思い出し形にしていく。すると彼の右手から炎が出て来た。


「・・・・!」


言葉にならない驚きをシオンは上げたが、


「出来たようだな。詳しくは後で説明する。先ずはその火で彼奴を弔ってやってくれ。」


ディレクはにべも無くそう言った。


「解りました。」


そう応じるや否やシオンは炎を青竜に向かって放った。あっという間に炎が青竜全体を包み込み、杯に変えていくと、ディレクは腰の短剣を抜き地面に膝をつきながら、短剣を地面に刺し青竜の霊を慰めた。


「彼奴の魂が安らかに眠らん事を」


シオンもまた同じ真似をしようとしたが、直ぐに思い直し頭を少し下げ目を瞑り、哀悼の意を表明するにとどめた。



次回は来年1月3日の12時ですね。


それでは良いお年を。

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