しゅっぱつ
私は、今死のうとしている。現状に不満があるとか、いじめられているとか、両親がネグレクト気味だとか、そんなことは一切ない。
何もないから死ぬのだ。
毒にも薬にもならない、この生 温い世界を越える。平凡に生きていて、平凡に死んでやるものか。私は私の意志で生きてはいけないのなら、私の意志で死んでやると、決めている。
さすがに自分のエゴで死ぬのに他人が迷惑を被るのは申し訳ない。より良い死に方を考えなくては。この世は勧善懲悪が徹底していないし、来世があるとも思えないけど。
こういう性分なのだから仕方ない。
こういう性格なのだから死しかない。
溺殺、毒殺、絞殺、射殺、圧殺、斬殺、撲殺、銃殺、扼殺、どれも陳腐でつまらない。平凡な人生の幕を閉じるのに平凡な死に方じゃつまらない。もっとステキな、キラキラ光る最期を!
薬が欲しい。泡になれるやつ。誰にも気付かれず、深海の孤独に包まれて、ひっそりと逝きたい。
ああ、この世界は、なんて素晴らしいのでしょう!
私と風見鶏だけが知っている。この風の囁きを。私と水車だけが知っている。この水の囀りを。
さぁ、今。さよならを告げましょう。
さよなら、さよなら、ありがとう。
私は、この世界を愛していますよ。