悪魔の学校。@4
前回のあらすじ(仮★)
流は、魔界帰り
ネックレスをしながら、学校へと行く不良となる。
しかし、待ち受けていたのは、人類最強の校長。それから決死で逃れたのは良いものの、さらに困難は続き、テストという名の精神破壊兵器が目の前に立ち塞がる。
そして、今はその困難も乗り越えて、友達と仲良く下校というイベント、リア充生活満喫中。
――時刻PM3:40
自分・由香里・犬塚という、いつものメンツで、いつもの帰り道途中にある公園へと向かう。
そしてここ、近所の中では大きめの公園だ。
公園といったら、普通は子供向けでは無いだろうか……、しかし、ここは何故か明らかに子供向けでは無い。
まず何故に、某アスレチック番組のような、少しハイレベルなアスレチックがあるのかが分からない。
最初は簡単そうに見えて、途中の丸太にしがみついて一気に転がるあそこらへんが並みの大人にも辛いものだろう。
更に何故に、某アスレチック番組のような、落ちたら泥まみれにする気満々なのか、このアスレチックの周りに泥で囲まれてるのかが分からない。
そして、自分は相変わらずやらずにブランコでゆらゆらと由香里や犬塚を見ている。
犬塚は楽しげにアスレチックを次々に突破していき、由香里は、犬塚を落とそうと言わんばかりに邪魔をする。そして、それをものともせずに進む犬塚。
うん。いつもの光景ながら凄いと思える。
ブランコに揺られながら夕日を眺める。
えっ!? 身体能力高いんだからやらないのかって!? やだよ、あんな怖いアスレチックやらないに決まってるじゃないか。
そして、最近になって思うのが、どうして夕日を浴びても平気で、朝日は駄目!?
やはりこれの法則が今一分からないから困る。その内、日差しで死んでしまいそうだよ。
そして、そんなことを考えているうちに決着はつく。
アスレチックを悠々に突破していった犬塚は、今日はとうとう由香里の妨害に屈して、バランスを失い地上三メートルの所からまっ逆さまとはいかないが落下した。
――ドグッ……!!
少し嫌な音が聞こえても、互いに聞こえないふりして、立ち上がるのを待つ。
由香里は、凄い満足した顔をしている。
自分は、凄い不安そうな顔をしている。
ドキドキ……。
犬塚は、数分もしないうちに、生まれたての小鹿のように足を震わせながら立ち上がる。
「チッ!!」「ふぅ、良かった」
――ぷるぷる……バタッ。
「良し!」「あらら」
しかし、数分もしないうちに、力尽きるので、仕方なく自分が家まで背負うことにした。
「大丈夫なの? 重くはないなの? 重かったら、その辺に捨てるなの♪」
「いやいや、大丈夫だし、捨てないよ。周りの迷惑になるでしょ」
「!! そうだったなの……」
ちなみに救急車という選択肢は無い。
見るからに軽症というのと、自分の能力ともいえるやつが大丈夫だと教えてくれるから。
そして最悪にも、犬塚を背負うとき泥が冷たいので、背中が冷たい。思わず思いっきり犬塚を何処か遠くへと投げ飛ばす所だった。
忘れてはいけないが、自分は悪魔だから気をつけないといけない。絶対に。
そして、犬塚は家につく少し前辺りで復活した。
「ああ、ナガレ、すまないな……」
「いいえ、当然のことです。死体は、ちゃんと実家に送らねば」
「ちょっ、死体扱い!? というか、絶対二人して自分が落ちたとき、助けようともせずに、見守るどころか、それを嬉々としていただろう!! 特に由香里(半泣き」
「気のせいなの。死体に口無しだったはずなの」
「ヒデェ、証拠隠滅する気か(半泣き」
いつもの調子を取り戻す犬塚。
コイツの生命力は並大抵のものではないが、あくまでも人間だ。限界はある。
今回は、見るからに軽症だから、気にはしないが……いざってときには。最悪……。
いや、考えるのはよそう。
そんな機会が来ないことを、今は願おう。
そんな気持ちを、願いを込めて、今日も元気よく別れの挨拶。
「「「また、明日 (なの)」」」
別れた後、自分は自宅へと帰る。
ここから自宅まで一キロと無い。
普通なら、幼なじみ同士はとても近くに住むのが鉄板だが、日当たりの条件的にそれは出来なかった。
うん。それは本当に残念だ。
帰り道途中、ある一つの光景を目にする。
今日の朝までにはなかったはずの光景に、自分は自分の目を疑う。
そこには、今までの平穏から少しズレタ光景。
夕日が、そこの地面を赤々と照らす。
地面には、まるで人が死んだところを印すような人の輪郭を型どった白い線と、「お慕えしております」「出番まだですか!?」などと書かれた黒い文字が羅列してあった。
本日二度目の体調不良。
さらに笑えないことに、そこを通りすぎる人たちは、その奇妙な光景を目にもとめず、通りすぎていくこと。
普通ならありえない。
そう普通なら……。
今日の事を思い出す。
近所の地域。多発する奇怪な事件。
たぶんこれだろう。しかし、たぶんこの光景を自分にしか目に入らないと仮定して、誰に、どう説明するか……。
ただこれだけは言える。
可笑しい。
そして、長居は危険だと思い、自分は自宅に戻る。
ふと後ろを振り向いたが……、誰もいないか。
杞憂だったようだ。
夕日によって、自分の影は自分の身長以上に伸びて、ゆらゆらと。ゆらゆらと揺れる。
流は、あってはならない日常が、迫ってきてるのを肌で感じた。それをこうも早く知るとは思わなかった。
普通のままで良かったんだけどなぁ。
昔ながら思ってることを思い、嘆息する。