悪魔の朝。
悪魔の朝は早い。
悪魔は朝の4時に起きます。
日差しが出る前に、なるべく準備を済ませたいので。
しかし、ここで起きる際には問題は発生。
悪魔は、低血圧のせいか、悪魔の頭が少しぼぉ~っとなるので作業効率的には最悪ですよ。
まず制服のワイシャツのボタンや、寝癖が酷くて直すのに悪戦苦闘し、、歯磨きしようとしたら、うっかり歯ブラシを噛み砕いちゃうし……うう、後で買い直さないと。
そして、今日は親が夜まで帰ってこないので、朝食は自分で。
自分は朝食はパン派ですので、トーストを焼きつつ、最後に忘れ物がないか確認して、やや小さめの日傘を持ち、焼き上がったトーストを口にくわえて、ちゃんと戸締まりをして、学校へと向かう。
悪魔……もとい流の住んでる所は【宇都宮】という変わった町。
車はそれなりに通り、人もそれなりに住んでいる。店は少し寂しい感じかな?
つまり田舎? ……いや、そんなはずは。
そして、今年から通う高校は至って普通の進学校。
【真久津高校】読み方によっては、禍々しい名前だが、至って普通だ。
重要だから二回言ったよ。ここ重要。
受験戦争時に暗記しまくった内容なんて、もう空っぽです。
あまり言いたくないが、自分の頭はまぁ少しはマシだとは思う。だけど、かなり落とした所に推薦で入学した。いわゆる安全牌ってやつ。
中学校の担任からは、もっと上を目指せると言われたが……それほど努力はしたくはない。なので、この結果です。
いやまぁ、別に気にしてはないから。
さて、口にくわえてたパンもすでに食べ終えて、今日も校門が開く5分前に到着。
この校門は毎回恐いのだが、誰も居ないはずなのに勝手に開くという曰く付きの門。
そして、普通に5分後……。
機械とかそういう予想もあったが、それらしき音もなく開く門。
正直、自分もビビりました。2度目の来校だが、馴れない。心臓に悪すぎるよ。
もしかしたら、悪魔が取り憑いているのかな?
気になるな。
自分のクラスは、一のB。
ちょっと初めての会う人たちに緊張しながら
自分の教室に入ってみると……。
ア、アレ?
だ、誰も居ない?
ああ、そっか、一番早く来たから居なくて当然か。
思わず手のひらに、ポンッともう片方の手の拳を乗せるリアクションをしてしまう。
それから時間がある程度過ぎた頃かな、 少しづつクラスメートが来た。全員集まった所で、やっと先生が来たよ。
――キンコンカンコーン♪
とりあえず、最初は自己紹介。その後に席替えだそうだ。
「…………です。宜しくお願いします」
「はい。次は、え~っと、治水 流」
うわっ。凄い緊張してきた~。無理無理無理無理。もう絶対噛んじゃうよ。足とか生まれたての小鹿のように震えちゃってるよ……。でも、呼ばれたからには行かないと。
「初めまして。治水 流です。好きなのは、夜の星とかですかね。苦手なものは、朝日と雨ですね(自分にとって一番危険なので)。えっと、まぁ、これから3年間宜しくお願いします」
「はいよ。次は…………」
うう……。恥ずかしかった。もう勘弁よ……。顔が熱くなるのを感じながら、机に突っ伏す。
次に席替えが始まり。最悪だ。窓際。カーテン閉めていいかな? まぁ大丈夫かな。
「お~い、生きてるか~? 一緒のクラスで嬉しいぞ~。俺のこと忘れてないよな。一応、念のために言っとくが
【犬塚 竜之介】だぞ。お前のゆういつの友達だぞ(笑」
茶髪で鋭い目付きで、髭を何故か剃らずに残していて。少し背は高く、何故か年中日焼けしてる肌、歩く○ラニン色素が話し掛けてきた。
しかも目の前の席だよ、嫌だな~、色々と。
「何か、失礼な事を思われてる気がするが、気のせいか? うん?」
「いや、ふぅわぅああぁ……、えっと気のせいだ」
「全く、相変わらずの低血圧っプリだな(笑」
もうお分かりだろうと思うが、この会話のテンションの違いで人を判断して欲しい。
自分は、ちなみにまだローテンション。奴は昔っから、ハイテンション。マジ辛たん……。
「さて、そんな朝から残念なお前に話だ」
「……ほっとけ」
「由香里だが隣のクラスに居るぞ~。一緒に帰れそうだから、また何時ものように3人で帰ろうぜ。
どうせ一人で帰るのも寂しいって泣きたくなってた所だろ(笑」
「……一緒に帰るのは良いとして。寂しくて泣いてなどないから」
【鬼怒 由香里】。少なき友人の一人。茶髪に赤みがかかった長髪。眠たげな印象の目付きと、華奢な体格のくせに、力強過ぎる。でも、時々心配にもなる。病弱系だからな……見た目的に。
「よし、それじゃあ、放課後、下駄箱で。勝手に帰ると俺と由香里は泣くからな」
「はいはい……。(てか、どうせお前にラチられそうだから、待つもなにも無い気が。)」
内心呆れつつも、言葉に出すつもりはないが、大切な、大切な友達……いや、親友だから。
だからかな? 口元の口角が僅かに上がる。
――キンコンカンコーン♪
どの授業もオリエンテーションなので、あっという間に放課後になった気がする。
さて、帰るか。
「ちょい待て。なにか忘れてないか? うん? 」
「そうだな。由香里を忘れていた。じゃあな、親友」
「いやいや、俺も一緒に帰るから、帰らせて下さい(半泣き」
「……何やってるなの?」
後ろを振り向くと自分達のコントに呆れてる親友が、先程話してた人物こと由香里。そして、相変わらず変な語尾が。
揃った所で自分等は家へと真っ直ぐ向かう。
「やっぱいつものメンバーだから、しっくりくるな(嬉」
「ああ、お前が居なければ、もっと良いだろうに
」
「何故にさっきから俺にだけ毒舌!? (半泣き」
「まぁ、いつものことだから、諦めるなの」
と、由香里もこちらの味方だ。
「ああ、俺に仲間が誰一人として居ない。この状況に俺、死にそう(半泣き」
そんな残念な親友は置いといて、やっぱこの時間は楽しく感じてしまう。こんな時間が続けば良いのに……。
「そういえば、新しいクラス。どうだったなの? 私は中学の頃の友達が何人か居るから大丈夫なの」
「う~ん、親しい奴が少ないクラスだから、ちょっと分からないな」
「えっ、その親しいのって、ちゃんと俺、含まれてるよな。含まれてるよな」
「えっ、ああ、うん。多紙さんよりは親しいか?」
「何故に疑問系!? ヒデェ、こっちは長年の幼なじみだろ。何で躊躇するんだよ(半泣き」
「ああ、スマン。多紙さんの方が良いかも」
「酷いな(半泣き」
「泣くなら、他所で泣くなの。目に入るなの。不愉快だから、視界から消えてくださいなの」
「もはや、視界にすら入るなと!?(半泣き」
ちょっと視界から消えてくださいは言い過ぎなのではと、自分は思案してると、犬塚はみるみる落ち込んでいた。
「もういいさ。俺なんて……。俺なんて……(鬱」
精神的に壊れ果てた親友は放っておいて、いつもの公園で解散する。
「じゃあ、また明日」
と、自分の一言に合わせて、犬塚も復活し。
「おう!! また、明日」
「また、なの」
そういって、帰宅する。
そして、ああ、また退屈な夜が来る……。
座席表 一のA
閲覧不可
座席表 一のB
□ □ □ □ □ □
□ □ □ 多 □ □
犬 □ □ □ □ □
流 □ □ □ □ □
□ □ □ □ □ 真
座席表 一のC
□ □ □ □ 林 □
□ 由 □ □ □ □
□ □ □ □ □ □
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空 神 □ □ □ □