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悪魔が語る憂鬱な日常  作者: ByBuyBy
悪魔の春 3月~5月
13/35

悪魔の暴走。@4

 「ナガレ♪ ナガレ♪ 早く♪ 早くなの♪」


 「了解。ちょっと待て、もうすぐだから」


 さて、何故にナガレ事、自分と由香里が二人で遊園地を楽しんでいるのかというと……犬塚をその場の怒り(ノリ)で置いていた。以上。


 つまり今いるのは男女二人で遊園地。





 ……アレ!? これって夢にまでみたデートか!?




 由香里の方を、ふと見る。


 こちらに気が付いたのか笑顔になる。


 どうやら、由香里はそんなこと微塵も感じてなさそうだ。


 自分を兄のようにしか見てないんだよね。実際、これが……。


 「~~♪♪」


 てか、由香里はテンション高いな!? そんなに遊園地好きだったかな?


 まぁ、楽しんでくれてなによりだね。


 んじゃ、自分も楽しむとしますか!!





 「ナガレ~遅いなの~」


 と、少し膨れっ面ながらも怒ってはいなさそうだ。良かった。


 「ごめん、ごめん。これ買ってきてたんだ。はい、これは由香里の分」


 と、先程買ってきたチュロス2本のうち1本を由香里に渡す。


 「ん!? ああ、ありがとうなの♪ 嬉しいなの♪」


 一瞬驚いた顔をされたが、次には凄い嬉しそうに笑顔を振りまいていた。ちょっと癒されます。


 全くもって先程の高速回転乗り物によってSAN値はピンチだったけど、少し元気になれる気がする。


 由香里の少しづつチュロスを小さくかじって食べる姿は、まるでリスのようだ。


 ほっぺ一杯にほうばってくれれば更に似合いそうだ。


 そして由香里は幸せそうに食べている。



 ……自分の分もあげようかな?





 「そういえば、次は何に乗るつもりだ!?」


 「ん~、乗り物系はもういっかな~なの。そして、次はアレなの!!」


 歩きながら聞いてみて、その答えとして由香里が指を指した先。



 アトラクション名【ホラーランド】


 まぁ、簡単にいえば幽霊屋敷。


 外見は古びた洋館っぽく、至る所に血痕の跡が……。


 そして、中から先客たちのリアル悲鳴が聞こえる。


 しかも注意書きに、心臓に弱き人は立ち去るべし。





 ……自分の足は震えまくり。行きたくありません。


 しかし、由香里はそんなことお構いなしに、自分の腕を引っ張り屋敷の中へ。


 泣きたいな……。今、物凄く。




 ◇◆◇◆◇◆◇◆




 ――そして、屋敷内で


 「ぎぃにゃあああぁ~~!!」


 「なの~~~~♪♪」


 「フシャ~~~~!!」


 「なの♪ なの~~♪♪」


 由香里様は、どうやらご機嫌のようで何よりですが……。


 自分は余裕なのあるはずもなく、猫のような叫び声をあげながら、由香里の腕を引っ張り、ひたすら出口へと走る。


 後ろを振り向くと危険生物が一匹。


 「フシャ~~~~!!」


 何故かアトラクション外のものがいる。


 しかも、凶暴な魔界の悪魔の内の一つ、河童。


 主食はキュウリではなく、骨だそうだ。


 しかも、一番に人骨を好む……つまり……。



 ――全力で逃げろ!!




 ◇◆◇◆◇◆◇◆




 そして死に物狂いで、お化け屋敷から脱出。


 河童は、出口から出ることは無かったが、出口付近で、こちらがまた来るのを待つように見ている。


 誰が食われにいくものか。




 しかし、必死に走ったのだが、河童が早いのなんので、焦りました。お掛けで弱い精神すり減らし、瀕死ですよ、こっちは。


 「はぁ、はぁ、あはは~。 ナガレったら、大袈裟なの~~」


 ここに命の危険があったことにすら、気付かないのが1名。


 思わず小さな溜め息が漏れる。




 そして、そういえば、やけに由香里が疲れているように見えるが、やはり女の子何だよな。全力走りを付き合わせたし、そりゃあ疲れるよね。


 抱っこ、もしくはおんぶしながら走れば良かったかな?


 う~ん、いや難しいかな? 少し真剣に考えてみる。


 これからはランニング始めてみようかな!? 続かないだろうけど。



 「ナガレ、ちょっと飲み物買ってくるけど、ナガレは何が良いなの?」


 「ん!? いや、自分は……」「遠慮は駄目なの」


 「はい……」


 ジュース代を自分の財布からだそうとしたら手で制止させられた。


 「さっきのお礼なの。おごりなの」


 どうやら、スタバのコーヒーとチュロスの事だろう。


 とりあえず了解した。少し気が引けるのもあるけど。


 由香里に何を言っても無駄だろう。経験則からくるものだ。


 そこのベンチに座って待ってるよと由香里に伝えて、自分は近くのベンチで休む。





 久しぶりに自分自身とても楽しんでる気がする。


 正直、まだ興奮してる。河童のせいではないよ。


 少し風に揺られる。


 春の風は、やはり心地がよい。


 ふふふ……。自然と一人、笑みを浮かべる。


 これだけでも十分時間は潰せる。





 …………。


 


 あれ? う~ん、由香里はまだ帰ってきてないか。仕方ない、心配だし、迎えに行くか。





 ……あれ? 近くのタピオカ屋にもドリンク売り場にも、自販機にも由香里が居ない。


 戻ってみても居ない……ベンチの下にも、ゴミ箱にも、何処にも居ない……。


 あれから、連絡もしているが一向に繋がらない。


 


 由香里の身に何かがあった。


 そんな不安が自分を駆り立てる。


 ――由香里!!




 どうか杞憂であってくれと望む。


 そして、杞憂でなければ……。


 俺はすぐにでも 壊 れ よ う。



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