悪魔の暴走。@3
遊園地で遊ぶ約束の日。
――当日AM6:00
この日の自分は、今までとは少しだけ違う。
何故なら昨日から緊張して寝れずに夜明けを迎えてしまったから。
そして、家で暇を潰すのも数時間で全て無くなり、手持ち無沙汰。
そんな訳で家にいても辛いだけなので、ただいま待ち合わせの宇都宮駅に、約束の時間から三時間程早く来てしまった。
つまり、現在の時刻は6時くらい。
正直、頑張ったほうだと思う。
お察しの通りだが、昔から、こういう類いのものは眠れず早く来てしまう。自分の残念さを心の中で、orzといった体勢で反省会中。
今の格好をチェックしてみる。
なんとかブルーのパーカーに茶のジーンズ。
現在進行形でフード装備。
ラフな感じなファッションかな……ってちょっと待て。
あぁ、やってしまった。
前みたく……ネックレス忘れた~!!
ヤバイな母親に怒られる。あの人、普段は優しさ200%だけど、怒ると怖いのです。プラス、少し父親に対して毒舌。
この前は最初だから、許されたんだけどな。うう……必要なものだとは頭では分かってるんだけど、ネックレスが呪われていないから、装備をはずしたままにしてしまうよ。
まぁ、実際に呪われてたら、困るけど。
でも、戻れない。
戻ってるうちに、由香里や犬塚が着たらと思うと。
あぁ……駄目だ。動けないや。
とりあえず普通なら三時間前に来る人なんて、たぶん、自分くらいだし、外は春なのに陽気さを感じさせない冷たい風が来るし、三時間も此処に立っていたら風邪を引きそうだから、近くのスタバで一服……。
ふぅ……。忘れよう……。
一時間程前になって、由香里はやって来た。
しかし、まだ自分に気が付いていない。
そりゃそうだ。ここのガラスはどうも、こちらからは見えて、向こうからは、近くから注意深く見ない限りに自分の姿しか映らない。
何となく、普段の由香里を見てみる。
最初はキョロキョロしてた。その後は、少し服装のチェックをしてた。うん。元々の第一印象は清楚だから、白ワンピ似合ってます。
そして、携帯が鳴ったのか携帯をとりだし、メールか何かなのだろう。何かに対して驚いき、聞こえないが、何か空に向かってぼやいている。これは珍しい。
少し立ち尽くしてた由香里は、更に挙動不審な動きをする。それでは東京だと職務質問ラッシュだよ。
そして、少し深呼吸をして、自分を落ち着かせたようだ。ナイス自重。
こっちに近付いて自分の髪をチェックしている。
なるほど、今日はポニーテールか……。グッジョブです。
そして、あまり変わった気もしなくもないようでない筈なのに、由香里は満足したようで、自分に良しと言っているような拳を固く握ってガッツポーズを小さくしているのが見える。
そして、目が合う。
由香里は一瞬何かを言ったのだろうが聞こえないよ。
そして、凄い勢いで此方に来た。
ほらほら、他の人が驚いているし、見てるから、落ち着いてください。
由香里も、それに気が付いたのか、とりあえず席につく。
あらあら、茹でタコのように顔を真っ赤にしてて可愛いね。
とりあえず、落ち着かせる意味で代わりに、何か適当に注文、それを由香里へと渡す。
そして、後は犬塚だな。
それから少したっての事だろうか……落ち着いた由香里はチビチビとカプチーノを飲んでいる。
ちなみに自分は普通のコーヒーだ。
~~♪♪(着メロ♪)
そして犬塚待ちだったのが、今メールが来た。きっと犬塚だろう。
やはり犬塚で、サブタイトルは、『ドタキャン。すまんね』
内容は、前半はネタ。後半に本題。
ネタは無視して、本題だな。
……閲覧中 暫くお待ち下さい。
なるほど、犬塚の実家のお婆ちゃんが、そんな危険な病を……。
くっ、涙が出そうだよ。
アイツはそんな状況なのに自分ら二人だけ楽しむなんて……。
ん!? 最後のほうに何か書いてある。
『ドタキャンすること以外は、すべて嘘だから、信じちゃ駄目だよ~(笑』
ぶち……。
何かが自分の中で切れる音がする。
「由香里。それ飲み終えたら、二人で行くか。犬塚は来れないみたいだ」
「!? ……あっ、あぁ、分かったなの」
由香里は何か言いたげだったが、気にしない。
遊び好きの犬塚がドタキャン。理由は結局何なのかは知らん。もうなんでも良い。
由香里が飲み終え、電車で遊園地へと向かう。
「ありがとうなの。後で、コーヒー代。ちゃん返すからなの」
「いや、良いよ……。たまには奢らせてくれ……」
電車の気持ち良い位の揺れ具合に、何時もの低血圧に、さっきのメールのせいで緊張が解けたせいか、テンションは何時ものようにローテンション。
由香里に着いたら起こしてとだけ伝えて、寝ることにした。
だって揺れ具合が気持ち良すぎる。
…………。
「起きて……起きて……起きてなの」
「お~ぅ、了解~……。起こしてくれてありがとう。助かった」
「えへへ♪ どういたしましてなの」
由香里に起こされた。まだ少し体がダルい。
でも、そんなのは、関係ない。
由香里は遊園地を見て、感嘆の声をだし、テンションが高ぶって、早く行こうと急かす。
良し!! 気合いを入れ直して、遊びますか!!