シーン一[・・・その血で色づく]
舞台、下手奥に一本の桜の木がある。
桜の花は、満開を少し過ぎた頃か、花びらが少し散っている。
桜の木は、基本「山城家の庭」にあるものと考える。
上手奥には和室のような空間がある。ここを「屋敷」とする。
セットは、基本的に変えずに進行する。
シーン一[・・・その血で色づく]
開幕
照明暗め。
春季と成仁の二人が刀を持って立っている。(板付き)
二人で少し切りあった後、下手「桜の木の下」で春季が倒れる。
上から春季を中心に細くサスが入る
成仁 ここまでだな。
春季 く・・・。
成仁は、春季に刀を押し当てる。
春季は、死の恐怖を隠せない
成仁 死が、怖いか。
春季 ・・・死など恐れはしませぬ。私は・・・武家の子にございます。
成仁 そうか。ならば・・・
成仁は刀を振り上げ、春季を切り捨てる。
花の季節も終わりなのか、散り落ちていた桜の花びらの上に、
春季は崩れるように倒れて動かない。
成仁 黙って見ていればよかったものを・・・
成仁は、桜の木と、倒れた春季を交互に見て
成仁 まさに、桜の海・・・桜海の名にふさわしい死に場所だな。
成仁、そのまま立ち去る。
照明が、段々と赤色に変わっていき、その場を照らす。
溶暗
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※溶暗⇒だんだん暗くなり、最終的に真っ暗に。
※サス⇒サスペンションライト。舞台上部から垂直に投光する照明器具。主としてスポットライトを使用。