第21話 報いと呆れと難問
俺はルシエド教の詳細や異種族を殺そう足した理由を聞いて呆れる。
人種差別を正しいとさせる教義にツッコみたいが、報酬のために悪事に協力したアルトに呆れてしまう。
俺は手体に手を当てながら言う。
「なるほど、とても呆れる話だな。そもそも姿や形が違うだけで中身は同じ人だろ?」
「ふざけるの対外にしろ! 我ら崇高な無の氏族が異種族と同じなんてあり得るわけないだろ!」
俺の言葉にクロノは怒りをあらわにしながら叫ぶ。
すごいな、平然とすごい事を言うなんて、肝が太いのか何とかだろうか?
俺はそう思いながら俱利伽羅を下ろし、腰に収めて言う。
「それほど信仰するのは普通なら尊敬するが、教義が最低だから呆れるしかないな」
俺はそう言って寝ているマリアの方に歩む。
するとアルトが驚きながら叫ぶ。
「おい、全部話したから解放してくれよ! 約束じゃないのか!?」
「ハァ?」
俺はアルトの言葉を聞いてあきれ果てる。
お前何を言っているんだ? そんなの約束した覚えはないし、そもそも解放したら別の異種族を殺そうとするだろ?
俺はそう思いながら騒ぐアルトに向けて言い放つ。
「何言っているんだ? そんなの約束した覚えはないし、仮に解放したら別の異種族を殺そうとするだろ? だからこのまま吊るすんだよ」
「ナッ……!?」
俺の返答にアルトは驚愕して固まる。
どうやら解放されたらまた異種族を殺そうとしていたらしく、それを言われて図星になったんだろう。
クズとカスは反省しないと聞くが、まさにその通りだな。
そう思っていると、クロノは怒りで表情を歪ませながら叫ぶ。
「貴様、もしもルシエド教を侮辱する気なら幾千の刺客に襲われることになるぞ!」
「ハッ! もしそうなっていても、全員返り討ちにしてやるよ」
クロノの怒りと憎しみを込めた呪詛に対し、俺は鼻で笑いながら火熱の結界に近づく。
ちなみにさっき言った結界を破る方法は張られた方で、張った方だとある行動を行うだけだ。
そう思いながら手を構え、フィンガースナップを決める。
すると容易く結界が砕け散る。
ブレイドクロニクルだとフィンガースナップのモーションを行えば容易く壊せたし、解除方法もこの世界と同じで助かった。
後ろから睨まれている気がするが、気にせずマリアを背負って歩く。
ずっとココにいてもギャースカ文句を言われ続けるんだろう。
だったらココから離れた方がいいだろう。
そう思いながらこの場から立ち去る。
***
先ほどクロノ達と竜馬の戦いを見たギルド職員の男はテンゲンに質問する。
「しかしよかったのですか? ギルド権限を使えば強制退場させた上に拘束することが出来たのでは?」
男の言葉にテンゲンは片手にクロノ達に関する書類を持ちながら言う。
「別にいいだろ? 英雄には試練があるのはお決まりだし」
「ハァ……?」
テンゲンはそう言ってクロノ達に関する書類を机に置き、その言葉に男は首を傾げながら言う。
テンゲンは右目を少し光らして竜馬のステータスを映像越しで図ろうとする。
しかしステータスを図るスキル【鑑定眼】を発動すると、いきなり視界に砂嵐が発生してしまう。
突然視界に砂嵐が発生したことにテンゲンは動揺するが、すぐに冷静に考えだす。
(この世界に来てから十年経ったけど、今まで鑑定眼が聞かない奴なんていなかったぞ……? 他国の勇者と初めて出会った時もこんな風になっていたっけ?)
テンゲンはそう思いながら額に手を付き、勇者の力に呆れながら言う。
「勇者って、マジでチートだな……」
テンゲンはそう呟くとため息をつきだす。
***
俺はマリアを背負いながら歩いてから数分くらい経った。
マリアは今も疲れ果てた子供のようにスヤスヤと眠っており、俺はそれを見てほほ笑む。
さっきまで異種族狩りに殺されそうになったし、俺がうっかり睡魔の吐息をかけてしまった事で熟睡したんだろう。
マァ、後者についてマジで申し訳ないと思っている。
俺は申し訳なさそうにしながら歩くのだが……。
背中から何かを押し付ける柔らかさと人肌に触れているような温かさを感じる。
マリアのスタイルは元の世界だと、有名グラビアアイドルと引けが取らないほどよかったから、心の奥から性欲が膨れてくる。
しかしココで襲ったらいろんな意味で終わってしまうし、性犯罪者になってしまう。
それだけはゴメンだし、何よりマリアの信頼を裏切るなんて、とても心が痛みだす。
俺はマリアに劣情を抱かない様に心から般若心経を唱え、我が息子が立ち上がらない様に腹に力を入れる。
これなら多少性欲を自制することが出来たが、代わりに歩くのが遅くなってしまった。
マァ、社会的な死を送らずに済むなら万々歳だろう。
そう思いながらゆっくりと歩いていると、マリアがゆっくりと起き出す。
「ウゥ、あれ? ここは一体……?」
マリアはそう呟きながら辺りを見渡すが、俺に背負わされているいる事に気づいて一気に顔を赤くする。
ちなみにマリアが起きたことに気づいたのはさっきの呟きと、背中に柔らかい触感がなくなったからだ。
後者は最低だが、女子にロクな思い出しかない俺にとっては刺激が強いからな。
そう思っているとマリアは顔を赤くしながら言う。
「えっと、背負われている身ですが……降ろしてくれないでしょうか?」
「わ、分かった!」
マリアの言葉に俺は慌てて屈んで降りやすくし、マリアはゆっくりと俺の背から降りる。
柔らかい感触が終わるのは少し残念が、襲わずに済んだと考えれば気持ちが軽くなりそうだ。
そう思っていると、マリアが頬を赤くしながら恥ずかしそうに言う。
「えっと、その……私、重かったでしょうか?」
「ブフゥ……!?」
俺はそれを聞いて思わず吹き出してしまう。
オゥ、人生で初めてとんでもない質問をされたー!
最悪だよ。そういう質問は「一生来ないだろ~」と思っていたが、まさか異世界で聞かれるとは思いもしなった。
それにしてもどう答えたらいいんだ? 女子とはロクな思い出しかない俺にはどう答えたら正解なんだよ!
俺はそう思いながら目をそらし、どう答えたらいいんだろうと必死に脳をフルスロットルで考える。
必死で考えていると奥から轟音と振動が発生しだす。
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