第19話 制圧
剣を持った男が驚愕し、槍を持った男も目を見開いて驚愕していた。
ヨシッ! さすがに相手もこれは予想できないだろ!
俺はそう思いながら袋から魔刻巻物を取り出して構える。
実は昨日寝る前に魔刻巻物を確認してて、刻まれた魔法を見て「これは何かの時に取っておこう」と思って袋に収めていた。
俺は魔刻巻物を広げ、剣を持った男に向けて叫ぶ。
「魔刻巻物、解放! 睡魔の吐息!」
そう叫ぶと魔刻巻物に刻まれた魔方陣が淡く光り出し、それを見た剣を持った男は慌てて離れようとする。
しかしすでに遅く、魔方陣から淡い紫色の煙が噴き出され、顔面からもろに受けた剣を持った男は千鳥足になって呟く。
「クッ……ク、ソが――!」
そう呟くと勢いよく後ろに倒れ、心地よい寝息を立てて寝だす。
おぉ、睡魔の吐息はブレイドクロニクルにはなかったから、どんな効果なのか分からなかったが、他者を眠らせる砂を持つ妖精・ザントマンの名を関する魔法だな。
俺はそう思いながらうまく地面に着地し、槍を持った男の方に向く。
槍を持った男は俺を見てハッと我に返り、槍を強く握って叫ぶ。
「く、食らえ! 【点牙】!」
そう叫ぶと俺に向けて鋭い突きを放つ。
俺は勘で見極め、ギリギリで横に回避する。
【点牙】は素早い攻撃スピードが特徴だが、その代わり次の攻撃が行えるまで15秒くらい硬直してしまう。
その証拠に槍を持った男は槍を突き刺したまま固まっていた。
それを見た杖を持った男は慌てて杖を俺に向けて詠唱する。
『雷よ。鳴り響く稲妻を放て! 電流弾!』
詠唱し終えると杖から青白く光って轟く弾丸が生み出され、俺に向かって放たれてくる。
俺は襲い掛かる雷の弾丸を見て考える。
クッ……! すぐに大地の壁を詠唱しても生み出される時間を合わせれば、間に合わないのは確実だろう。
これを行うのは頭がイカレテいる狂人だが、このまま何もせずにいると死んでしまう。
クソッ! これはあんまりやりたくなかったが、仕方がない!
俺は最低だと思うが覚悟を決め、硬直している槍を持った男を掴んで盾にする。
俺の行動に槍を持った男は驚きながら叫ぶ。
「き、貴様……!?」
「本当に悪いが、盾になってもらうぞ!」
槍を持った男の驚きに、俺は冷徹に答える。
罪のない人を殺そうとしたんだ。これぐらいされても文句はないだろう。
そう思っていると男は慌てて逃げようとするが、硬直しているからうまく動けずにいた。
ブレイドクロニクルにも硬直されているときに、攻撃されるのは厄介だからな。
そう思っていると雷の弾丸が男に当たり、感電しながら叫ぶ。
「アバババババ!?」
「ウグゥ……!」
槍を持った男はそう叫びながら震え、俺も電撃の余波で多少ダメージを食らってしまう。
グゥ……装備しているグローブが耐電だから少し大丈夫だと思っていたが、やはりダメージを受けてしまった。
俺はそう思いながら電撃に耐えていると、電撃が収まるのと同時に男は口から煙を吐き出しながら力尽きる。
これって死んでしまったのか? 人殺しを行ったとはいえやり過ぎたことになるぞ。
そう思いながら首に手を当てると鼓動を感じ、槍を持った男が生きていることを知った。
ホッ、よかった。このまま殺していたら悪人とはいえ、さすがにやり過ぎたからな。
そう思いながら槍を持った男を地面にゆっくりと横にさせる。
すると杖を持った男は地面にへたり込んでつぶやく。
「な、何だよ……お前は! 魔法だけじゃなくスキルを使うなんて普通じゃないだろ!」
杖を持った男は恐怖に震えながら叫ぶ。
普通じゃないねぇ……。
確かに俺はこの世界の住人だし、この世界の常識とはあまり知らないが、あえてこの場で言わせてもらう。
そう思いながら杖を持った男をにらんで言う。
「普通じゃない? 普通じゃないのは罪のない人を殺すお前らだろ!」
「ヒィ!?」
俺は過去の事を思い出しながら叫ぶと、杖を持った男は小さくうめく。
どうやら殺されると思っているが、俺はあまり人を殺したくないし、どうしてマリアを襲ったりした理由が気になるからな。
俺はそう思いながら近づいていくと、杖を持った男は杖を構えて叫ぶ。
「く、来るんじゃねぇ! 風圧刃!」
男はそう叫びながら風の刃を放つ。
お琴は魔法に関係るするスキルを持っているのか?
疑問を持ちながら俺は風の刃を容易く避け、魔刻巻物を広げて言う。
「魔刻巻物、解放! 睡魔の吐息!」
俺は怯える男に向けて言うと、魔刻巻物に刻まれた魔方陣が淡く光り出し、魔方陣から淡い紫色の煙が噴き出される。
男はその煙をもろに受け、まぶたを閉じて後ろに倒れる。
ふぅ、一旦制圧? することが出来て良かったな。
それに杖を持った男の手にはナイフを持っていたし、さっきの人間シールドを見たからマリアを刺されずに済んだな。
そう思いながらマリアの方に向いて言う。
「大丈夫か? 俺が来るまで何があったか説明してほしい」
「ハイ……分かりました」
俺の質問にマリアは息を切らしながら、俺が来るまで何が起きたか説明してくれた。
どうやら彼女は闇夜の洞窟内にいるダークウルフを少しずつ倒しているときに、さっき襲ってきた三人に出会った。
最初は協力しようと言われ、マリアは快くうなずいて受け入れ、協力してダークウルフ以外の魔物を退けてきた。
マリアも彼らを信頼できると思っていたが、休憩するときに三人が突如襲ってきた。
もちろんマリアはいきなり襲ってきたことに驚きつつ、降りかかる攻撃を防いで行った。
だが杖を持った男もといアルトが放った魔法・強制硬直化によって動けなくなり、剣を持った男もといクロノがとどめを刺そうとした時、俺が迷彩結界を破ったから今に至るわけだ。
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