第16話 ダンジョン攻略
俺は転移の扉を通った時に放たれた光りで目を閉じていたが、眩しさを感じなくなってきた。
もしかして試験用のダンジョンに着いたのか? 足元に硬い触感がするし。
そう思いながらゆっくりと目を見開くと、俺がさっきいた冒険者ギルドの酒場じゃなく、肌寒く感じ出す洞窟だった。
だけど石壁には明るく輝く宝石が埋め込まれていた。
洞窟って素人だけ言ってはいけないって聞いたが、冒険者ギルドが管理しているからある程度大丈夫だろう。
そう思っていると明るく輝く宝石から声が聞こえだす。
『ア~! 聞こえてる? 今回は試験参加をやめる人がゼロだから、職員と協力して査定するよ』
宝石から出るテンゲンの声を聞いて思う。
それ通話スピーカーと監視カメラを合わせた感じみたいになっているんだな。
そう思いながら明るく輝く宝石をじっと見ると、脳裏に砂嵐の音が鳴り出し、俺は頭を押さえながら眉を寄せる。
何だ? 脳裏に砂嵐の音みたいなものが聞こえだしたぞ?
そう思っていると視界にウィンドウが浮かび出す。
〈能力解放:魔法解析小・アイテム解析小〉
俺は頭を押さえながら首を傾げる。
これって新しい能力が解放されたのか? 最後に解放されたのはゴブリン・レッドキャップの時だな。
そう思いながら頭をさすっていると、明るく輝く宝石にウィンドウが表示される。
表示されているのは魔刻結晶と呼ばれるアイテム、遠く広がる声と遠く見える瞳と呼ばれる魔法だ。
遠く広がる声と遠く見える瞳はブレイドクロニクルだと、前者は遠くいる音に弱い魔物に音撃を食らわせる魔法、後者は遠くいる魔物やアイテムを確認する魔法だ。
魔法の方は知っているが、魔刻結晶と呼ばれるアイテムはブレイドクロニクルにはなかった。
これはこの世界にあるオリジナルアイテムなのか?
そう思っていると魔刻結晶からテンゲンの声がなり出す。
『ギルドが管理するダンジョン・闇夜の洞窟にいる魔物・ダークウルフを最低十体倒せば合格だ! マァ、ダークウルフの上位種を倒せば謝礼金の金貨十枚を手に入れるぜ? それじゃ頑張れよ!』
テンゲンはそう言うと声を閉じる。
遠く広がる声と魔刻結晶を合わせれば通話スピーカーのようにできるんだな。
そう思っていると奥から何かが近づいてくる音が反響する。
俺はそれに気づいて倶利伽羅を抜刀して構える。
闇夜の洞窟の奥から黒ずんだ狼が三体で現れ、あれがさっき言っていたダークウルフと言う魔物だろう。
俺はそう思いながら身構えていると先頭のダークウルフが俺を見ると、俺に向かって襲い掛かる。
その目には俺を餌として食らおうとしており、地面を蹴って走ってくる。
俺は襲い掛かる先頭のダークウルフを見て倶利伽羅を強く握り、地面を蹴って接近する。
ダークウルフは俺が近づいてきたことを見て、地面を力強く蹴ってジャンプして爪を振り下ろそうと構える。
普通なら慌てて後ろと下がろうとするが、俺は倶利伽羅を構えなおしてSPを込める。
ダークウルフが爪を振り下ろそうとすると、俺は目の前にいるダークウルフに向けて【飛竜斬】を放つ。
すると斬撃がワイバーンのようになり、目の前にいるダークウルフはもちろん、少し離れているダークウルフは枯れ葉のように吹き飛ぶ。
ダークウルフは斬撃をもろに受けて、傷口から大量の血が噴き出て倒れる。
少し離れているダークウルフも傷口から大量の血が噴き出て倒れる。
俺はダークウルフ三体が倒れたことを見て、倶利伽羅の刃についている血を払いのけて納刀する。
よし、ダークウルフを三体倒したから最初から好調だな。
そう思いながらさっき倒したダークウルフに近づき、腰にある袋から解体ナイフを取り出す。
試験で倒した魔物はどうするのか分からないが、もしも好きにしていいのならはぎ取っておこう。
そう思いながらダークウルフの亡骸に解体ナイフを裂き込み、一通り解体してから解体ナイフと素材を収める。
解体した時に手に入れたのは暗闇狼の皮と爪に牙の三種類だ。
試験を終えたら武器屋にいる店主に売ろうか、それとも防具に加工できるか聞いてみるか。
そう思っていると背後から空気を裂く音が聞こえ、俺は即座に屈んで回避する。
いきなり何だ!? 背後から何かが襲ってきたぞ?
俺は背後からの襲撃に驚きつつ、後ろから襲ってきた何かの正体を知ろうと顔を上げる。
するとそこにいたのはダガーナイフのように鋭い牙と爪を持ったコウモリが居た。
名前はハイドアタッカーと呼ばれるコウモリ系魔物で、ブレイドクロニクルだと洞窟に生息しており、背後から襲撃する所から『初心者殺し』や『暗殺コウモリ』と呼ばれている。
俺が苦手としている魔物がこの世界にいるとは……。
まさか『初心者殺し』がいるとは、これは確かに中々難しいな。
俺は苦笑いを浮かべながらそう思い、倶利伽羅を再び抜刀して構える。
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