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義妹とクラスメイトから迫られる~義妹の信頼を積み重ねるために行動していたら、クラスメイトからも好かれました~  作者: 夢見る冒険者


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彼女の笑顔に後押しされて

三人で並んで歩きながら、今日の予定について話す。休日のショッピングモールは思った以上に人が多く、すれ違うたびに視線がふとこちらに向けられるのが分かった。


(……やっぱり二人とも周囲の目を惹いているな)


通り過ぎる男子が、ほんの一瞬振り返る。女性でも一定数は二人を見ながら話している姿が目に入った。望未はたぶん気づいている。けれど、それを気にしている様子はない。一方で、東雲さんはまるで自覚がなさそうだった。屈託なく笑い、身振りを交えて話すその姿が、余計に視線を集めているとも知らずに。


……これは彼氏も心配なんじゃないだろうか。そんな勝手な懸念をしてしまい、少しだけ苦笑する。そんな事を考えていると東雲さんがこちらを振り返る。


「それで、今日の予定は軽くウィンドウショッピングをしてから、昼食を取って、水族館を考えているんだけど、どう?」


瞬間的に俺はテンションがあがる。水族館だって!!え、どこの水族館だろうと気になり始める。だから、つい、前のめりで聞いてしまう。


「そのプランすっごくいいと思う。ちなみに、どの水族館に行くんだ?」


俺の反応に一瞬驚いた東雲さんは目を丸くし、にやりと意味ありげに口元を緩めた。


「いい反応してくれるね、けどそれはついてからのお楽しみだよ」

「マジか~。今から楽しみすぎる」

「ふぅん。そんなに楽しみにしてくれるだ。……なら、望未と一生懸命考えた甲斐があったかな」


東雲さんは胸を張って誇らしげに告げる。そっか、望未も考えてくれたんだな。そう思い彼女に視線を向けると、俺達のやり取りを微笑まし気に見つめていた。そんな彼女に俺はお礼を伝える。


「望未も東雲さんも考えてくれて、ありがとな」


ふいに言われた一言に驚いたのだろう。一瞬目を丸くし、先程の優し気な笑みに戻る。


「うんっ。……きっと楽しんでもらえると思うから、楽しみにしてて」


彼女もまた胸を張って応える。それは自分を信頼しているというよりも、東雲さんを信頼しているように感じた。そういうところは昔と変わっていなんだなって感じる。


にしても水族館か~。今日のところはどんな感じなんだろう。生態系に特化している?それとも大規模な水槽で生態系を再現したり……でも、やっぱり、ふれあいコーナーとかあると嬉しいかもしれない。


つい、想像してにやけてしまう。そんな俺を東雲さんは呆れたように笑っていた。


「ホントに楽しみなんだね」

「そりゃそうだよ。まるで海の世界に入り込んだような気分になれるし、普段見ない生き物に出会って、自然の多様さを知れるのもいい。何より、可愛い生き物と触れ合えるのは最高じゃん!!」

「連君ならそういうかなって思った。……もちろん、特定の生き物とも触れ合えるよ」

「マジで!!」


思わず身を乗り出す俺を、ふふっと柔らかい笑みを浮かべて望未は見つめてくる。そんな彼女を咎めるように東雲さんが目を細めて見つめる。


「のぞみ~、ネタバレは良くないよ」

「ごめんごめん、連君の反応がつい、楽しそうだから教えたくなっちゃった」

「はぁ~、望未も望未だったね。これからはネタバレ禁止!」

「はぁ~い」


楽しげに笑う望未。その声は以前よりもずっと明るく、周囲のざわめきの中でもはっきりと耳に届いた。気づけば、視線が自然と彼女に吸い寄せられていた。


頬をゆるめ、無邪気に笑うその横顔。あの頃の、少し引っ込み思案だった面影はもう薄い。それでも——誰かと一緒にいる時間を心から大切にしている、あの優しさだけは変わっていなかった。


頬を緩めて彼女に見惚れていたからだろう。東雲さんが、何かを探るようにじーっとこちらを見つめてくる。見ていたことがバレてると分かっていても、恥ずかしくて反射的に顔を逸らしてしまっていた。


そんな俺の事を見つめる彼女は、彼女は首を傾げ、何かを確認すると、まぁ……いいかといって歩き出した。助かったのか、それとも泳がされたのか。分からないまま、俺は二人の後ろをついていくのいだった。



***



最初に足を踏み入れたのは、意外にも生活雑貨店だった。てっきりファッション系の店やアクセサリー売り場を想像していたから、少し不思議な感じだ。


やっぱり内装は綺麗だな。柔らかな照明に照らされた木目調の棚。色味ごとに整然と並べられた食器やタオル。通路も広く、どの区画に何があるのか一目で分かる配置になっている。


これだけ大きいってことは、それだけ人が来るんだろうな。なんて考えていると——


「見て、あれ可愛くない!」


といって東雲さんが小走りで目的の方へと向かって行く。彼女らしい自由奔放な振る舞いに苦笑する。けれど、不思議と嫌じゃない。むしろ、その軽やかさに引っ張られるように、胸の奥が少し浮き立つのを感じた。


「ホントに可愛いね、コレ!!」


望未はテンションが上がっているのだろう、すっかり東雲さんが紹介してくれたものに夢中になっている。熊のキャラクターがプリントされたコップを手に持ちながら、色んな角度から見つめている。


つい、表情をゆるめてにやけたり、付属しているスタンドに載せて、首を傾けながら観察したりしている。その姿が、ふと昔の記憶と重なった。


幼稚園の園庭。金網越しにニワトリを見つめていた、小さい頃の望未に。あの時もじーっと観察していたっけ。そして、


『何を見ているんだ?』


そう尋ねたら、


『にわとりって、人と違ってまぶたが逆に閉じるの。それをみてた』


って淡々と応えてくれたんだっけ。思えば、あれが生き物に興味を持つきっかけだった気がする。それから時々、一緒に観察するようになった。そういえば、砂浴びをしている姿を見た後に、ニワトリが羽ばたいて一緒に砂を浴びたことがあったな。


それが、どこか懐かしい。ふと、彼女達に視線を戻すと今度は望未の方が色んな商品を手に取って、東雲さんの手を引きながら、先導している。


「これみて、葵」

「どれどれ?」


そういって望未が手に取ったのはシルキーゴールドのヘアブラシだった。蝶番の部分がハート形になっており、可愛らしい印象になっている。


「これ、葵に似合いそうじゃない?」

「そうかなぁ?ちょっと華やかすぎると思うけど……」

「そんなことないよ!葵は華やかだし、それに温かみもある。連君もそう思わない」


突然振られて、言葉が一瞬喉に詰まった。彼氏がいる女性を褒めるのは、場合によっては誤解を招く。軽く言ったつもりでも、余計な含みを持たせてしまうかもしれない。そんな懸念が頭をよぎる。


けれど————少しだけ自信なさげに笑う東雲さんの表情が、目に留まり、気付けば素直な気持ちを伝えていた。


「俺も似合うと思うな。ゴールドといっても主張が強すぎず、柔らかい印象も強い。髪色と同じ暖色系だし、友達想いの優しい東雲さんに似合うと思う」

「だよね!!」


テンション高く肯定する望未に東雲さんもふっと柔らかな笑みを浮かべる。意外にも東雲さんって自己評価が低いんだなと思った。てっきり、何でも自分に似合うようにアレンジしてみせる!!ってタイプと思っていたから意外だ。


にしても、ほんとに色のバリエーションが豊富に用意されている。ゴールドといってもシャンパンゴールドがあったり、同系色でも色んなものが用意されている。


望未に似合うとしたら、


「このローズゴールドなんかは似合いそうだな……」


そう自然と声が出ていた。ふと先程まで、彼女がいた場所に視線をやるが、姿は見えない。既に、別の商品だなに向かっているようだった。が、


「誰に似合うの?」

「……えっ?」


振り返った先には東雲さんがいて、こちらをジーっと見つめている。完全に聞かれていたよな……。下手に誤魔化すと怪しいか……。そう判断して、正直に答える。


「いや、望未に似合うかなって……」

「へぇ~、ふーん」


そう、にやりと悪戯っぽい笑みを浮かべると、望未に向かって声を掛ける。


「望未こっちに来てくれる」

「……? 分かった」


呼ばれて戻ってきた望未の前で、東雲さんは先ほど選んだローズゴールドのヘアブラシを手に取ると、そっと彼女の髪に添えた。


「確かに似合うね?」

「……そう? ありがとう」


にこやかに、けれどどこか照れを滲ませながら望未は笑う。その様子を俺は内心でドキドキしながら見つめていた。望未が気に入ってくれたように笑ってくれるのも嬉しい。けれど、同時に東雲さんが何か言わないか不安になる。


彼女のことを横目で窺っていると、案の定、楽しそうに口元を緩めていた。


「ちなみに、それ連が似合うって言ってたんだよね」


そう、さらりと告げる。


(ちょっ……東雲さん!!)


思わず心の中で叫ぶ。慌てて望未を見ると、少し恥ずかしそうに顔を逸らして……でも嬉しそうに笑ってくれる。けど、やっぱり、恥ずかしかったのか


「あっちに気になったものがあったからちょっと見に行ってくる」


そういって、ぱたぱたと足早にさっていってしまった。その様子を楽し気に東雲さんは見ていた。


「ほんと望未の反応っていちいちかわいいよね」


なんて、楽しそうにくすくす笑う。それに巻き込むのは勘弁してほしい。……まぁ、確かにかわいいけど。彼女が走り去った先を見つめながらポツリと東雲さんが呟く。


「そういえば、最近望未がヘアブラシを新調したいって言っていたな~」

「それ遠回しにプレゼントの催促してない?」

「今日の為に色々望未が調べてくれてくれた彼女に、少しくらいご褒美があってもいいと思わない?」


まっすぐな視線で問いかけられる。冗談交じりに言っているのが分かるのに、目だけは少し真面目に感じた。だからかな、少し真面目に購入することを考える。けど————


「イベントごとがあるわけでもないのに、渡したら変に思われないか?」

「まぁ、確かに。下手に異性として意識されてる感を出されると困るね」


うんうんと頷く彼女に、思わず心の中で突っ込む。


(どっちなんだよ)


けれど、東雲さんはすぐに柔らかな笑みを浮かべた。


「でもさ、思いがこもっていれば、誰からでも嬉しいものじゃない?」


そう呟く彼女の目は真剣で、そうだなとしか返信できなかった。それ以上に返せる言葉が無かったから。


一度考えさせて、と伝えて、その話題はひとまず保留にする。


先に行った望未に追いつくと、今度は可愛らしい食器が並ぶコーナーにいた。淡い色合いの皿やマグカップが、柔らかな照明の下で静かに並んでいる。


彼女は俺に気づくと、ぱっと顔を上げ、開口一番に告げる。俺の変な緊張なんて関係ない明るさで。


「これ、涼花ちゃんに似合いそうじゃない」


って。小花柄のティーカップを差し出す。それを聞いて思わず笑ってしまった。あぁ、そういえば彼女はこういう人だった。自分が欲しいかどうかよりも、誰かの喜ぶ顔を想像する、そんな優しい人だったと。


彼女がもつカップに視線を落としながら、胸の奥がじんわりと温かくなるのを感じた。その後も三人で店内を回る。笑い声が混ざり合う中で、俺は決意する。


「ごめん、ちょっと買いたいものがあるから、先に行っててもらっていい?」

「うん。わかった」


疑うこともなく、明るく頷く。その無防備な笑顔に、胸の奥をそっと押されるような感覚を覚えながら、俺はもう一度棚の前へ戻った。


照明を受けて、淡く、やわらかく光を返すローズゴールド。彼女の髪色に合うその商品の箱を俺は手に取った。


始めて家族以外の女性に贈り物をするからだろうか、レジへ向かう足取りは、少しだけ緊張していた。それでも。少しでも喜んでくれたらいいな。そんな気持ちを抱きながら、購入するのだった。


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