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義妹とクラスメイトから迫られる~義妹の信頼を積み重ねるために行動していたら、クラスメイトからも好かれました~  作者: 夢見る冒険者


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懐かしい思い

「そういう千夏か、雫はどうなんだ?」


「えっ、私たち?」


たじろいだ声を出す千夏の方を、俺はじっと見つめる。視線を逸らすつもりはなかった。逃がす気もない。だって、さっきから俺ばかりが答えているし、少しくらい、胸の内を探ってもいいだろう。


――そんな、半ば意地のような気持ちがあった。


「私はそうだね……好きだなって思った人はいたけど、勇気が出なくて。結局、告白とかはできなかったんだよね。ほら、私ってさ、あんまり女の子っぽくないし」


そう自嘲気味に笑う千夏の横顔は、どこか無理をしているように見えた。笑っているのに、瞳の奥はどこか泣いているように見えた。


「そんな...」


言いかけた瞬間、それをかき消すように――


「そんなことないっ!!」


覆いかぶさるように、食い気味に答えたのは、桜だった。その目は千夏をしっかりと捉えて、離さない。


「千夏ちゃんは、すごく優しいし、誰より気が利く。それに、お弁当箱のシンプルな花柄の包みとか、リボンのシルエットがついたハンカチとか……ちゃんと、女の子だよ!!」


千夏は驚いたように瞬きをして、唇を結んだ。何かを言い返そうとしたけれど、声にならなかった。その代わり、かすかに震える肩が、桜の言葉を受け止めているのが分かる。


俺はその光景を黙って見つめながら、胸の奥が少し温かくなるのを感じた。千夏の笑顔の奥にあったものを、ちゃんと見抜いてくれたのは桜だった。俺よりもずっと千夏のことを見ていて、秘めた思いの強さに、つい笑顔がこぼれ出る。


「……ありがと、桜。なんか、ちょっと救われた気がする」


千夏の声は小さく、でも確かに届いていた。


「そうだな、千夏の場合は相手の好意に気付いていないだけで、無自覚に惚れさせているからな」


そう告げると何故か皆が一斉にこちらを向いた。えっ、なに?何か言いたげな視線を皆から感じる。もしかして、口説いているような感じになっている?


「いや、その……俺の意見っていうより、他の人が言ってたのを又聞きしたというか」


「うん、わかってるよ」


若干飽きられたように、ため息を吐かれる。皆の視線も白けた目線を感じて反省する。でも、本心なんだからしょうがないと思う。それに、こじれるよりはマシだろうしな。言わない後悔よりも、言って喧嘩しても仲直りする方がずっといい。


「じゃあ、雫にも聞いてみようか」


いつもの調子を取り戻した千夏が、今度は雫に視線を向けて、にやりと笑う。少し意地悪そうなその笑みに、雫はきょとんとした顔で首を傾げた。


「私は好きになったことないですよ。あったとしても……そうですね、学校の先生とかだと思います」


「あー、なんか想像つくかも、ね。望未もそう思わない?」


「えっ、私ですか?確かに雫ちゃんなら、同級生ってより、落ち着いた人を好きになるイメージの方がしっくりきますね」


「当然です」


想定外にすんなりと答えてくれるんだな。もしかして、こういった話題に慣れているんだろうか?でも、意外に雫みたいなタイプは誰かを好きになったらべったり甘えそうだなと想像していると


「連君、何か?」


「いえ、なんでもないです」


いつの間にか、鋭い視線がこちらを射抜いていた。まるで心の中を読まれたみたいで、思わず目を逸らす。


「じゃあ、桜とかはどうなの?」


唐突な流れに、桜は「えっ」と小さく声を漏らし、頬をほんのり染めた。


「わ、私?うーん……特にいないかな。ほら、最近になって色んな人と関わるようになったし……」


「確かに、そうだよな」


これまで母の為にと頑張ってきて、そう言った余裕がなかったんだろう。俺もまた、義妹に誇れる兄であろうと努力してきたから、その感覚には素直に共感できる。


「ということは現状誰も恋してないってわけか。まぁ、学年始まったばかりだし、そんなものか」


「あー、うん。そうだね」


千夏が少し遠い目をしながら俺の方を見て言う。千夏よ、女子会だからと言って皆の恋バナを聞けるとは思っていけない。それに、義妹のことを深堀しないのはけっして、話を聞きたくないとか、怖いとかそんなものではない。


「じゃあ、アルバムの続きでもみていこうかな」


「えっ、まだ見るの?」


「だって、中学生時代のエピソード聞いてないし、涼花ちゃんの成長した姿みれてないし」


絶対に後半部分が本心ですよね。そういってアルバムを開いた千夏は何かを探すように視線をさまよわせている。俺のこと見てないしね。と思いながらも、目の端で桜が写真に向き合っているのを見つける。


「これって有明君ですか?」


桜が指さす先には、少し幼い有明の姿が映っている。中学2年くらいの時かな。周りの写真を見渡してそう確信する。


「そうだな、仲良くなったのは中2の後半だから、この時は無理に写真撮った時だな」


「たしかに、若干距離が遠いね」


桜も俺たちとの距離の遠さに気づいているらしい。俺と写真を交互に見つめて何か考えているようだった。


「もしかして、大翔君みたいに、殴り合いとか...?」


「そんなことするわけないだろ...桜と同じように勉強は競っただけだよ」


有明の性格からしてあり得ないだろうと思いつつ、そう返す。


「同じように一回勝ってって感じ?」


「いや、勝手負けてを繰り返した」


最初に勝ったときの彼の悔しそうな顔を覚えている。次は俺が負けて、また次は俺が勝って,

そうやって互いに認め合ったんだと思う。「こんな僕に付き合う君はどうかしてます」あの時のセリフと笑った表情は今でも思い出せる。憑き物が取れたような顔を。


「この3人の写真は楽しそうだねっ」


そういって見せてくれた写真は卒業式の時のものだ。大翔に肩を組まれて、有明も仕方ないですねとでもいう風に、でも楽し気に笑っている。たった数ヶ月前の出来事だというのにかなり遠くの出来事のように感じる。


あれから、雫と千夏に出会って、桜と関わるようになって、望未と再会した。その出会いはどこか必然だったようにすら感じる。目の前で楽しそうにする彼女達を見て思うのだった。


これからも、こうして笑い合っていけたらいいな──そう思った。

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