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義妹とクラスメイトから迫られる~義妹の信頼を積み重ねるために行動していたら、クラスメイトからも好かれました~  作者: 夢見る冒険者


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どうして?

クラスの雰囲気が、少しだけ浮ついているのを感じる。それどはテストの返却を行う。最後の2教科のうち、1教科目は同様に90点以上で名前が挙がった。この教科で全教科返却される。


「では、恒例のように高得点者の名前を呼びます。95点以上は3名のみ...有明君、夢咲さん、そして連君です」


先生の言葉に教室中が湧いた。


「あの3人ガチですごいな」


「というか、学年でもTOP3なんじゃない」


「このクラス、エグすぎでしょ」


はんば、乾いたような笑みを浮かべる生徒までいる。対外的には冷静さを装って入るが、内心ではガッツポーズをとっていた。けど、まだ油断は出来ない。集計しないことには分からないからだ。


「盛り上がっているところ、悪いけれど、授業を開始するよ」


みんなどこかソワソワしていたが、授業が始まれば集中しだす。時折こちらを見てくる人がいるから全員が集中できているわけではなさそうだ。まぁ、俺もそのうちの一人なんだけど。


これまでの点数を集計して点数を確認する。合計点は1262点か。約3点ずつ落としているからこそ、油断はできない。有明もどうやら点数の算出は終わっているようでその出来に納得はしてそうだった。


夢咲さんの方をちらりと確認するが彼女はテストの結果など気にせず、授業に集中していた。


(さすがだな...)


と思いつつ、俺達は放課後の最後の授業を終えるのだった。


「で、誰が勝ったんだよ!」


授業が終わると皆の質問攻めにあいつつ、俺は微笑みながら答える。


「どうやら担任が俺達の騒ぎに乗じて、結果をまとめてくれたみたいだぞ」


「マジかよ!でもまてねーよ!!」


「あと数分だろ、我慢しろよ」


本気で期待しているのがわかるからこそ、俺は思わず笑ってしまう。教室中が昂揚した雰囲気に包まれるなか、ガラリと扉が開かれる。


「またせたか」


「まちましよ」


ホントにフランクだなと思いつつ、担任は持っていた紙を黒板に張り付ける。順位だけが掛かれており、隣にはシールで名前が隠されていた。


「それでは発表しようか...総合順位、第一位……連!」

一斉に拍手と歓声が上がり、俺は軽く会釈した。


「続いて第二位、有明!」


こちらにも拍手。


「第三位、夢咲!」


その結果にみんなが拍手喝さいを送ってくれる。


「マジかよ!ガチで連が一位!!」


「あの夢咲さんに勝ったってマジ!!」


「連、ちなみに点数は何点なの?」


「1262点だよ」


それにみんなが思案している中、一人の生徒が口を開く。


「平均97点以上とか化け物かよ」


「というか、有明は何点なの?」


「1256点です...やっぱり連には敵いませんでしたか」


当たり前だという感じに答える有明にクラスの皆が苦笑していた。


「ちなみに、夢咲さんは...」


「ごめん、答えたくない」


その対応に皆が驚いていた。それは彼女が謝ったことを含めて、本当に弱っていると実感できたからだろう。どこか焦点が合っていない彼女に不安を感じる。


「まずはホームルームを終わらせるぞ」


放課後の教室。俺は決意を固めて、彼女のいる席へと歩み寄った。


「夢咲さん、約束通り...」


「分かってる」


彼女はそう言って荷物をまとめて教室を出て行った。その背中を、俺はじっと見つめていた。彼女の表情は、淡々としていたけれど、どこか複雑な感情が垣間見えたような気がした。


***


放課後の帰り道を私は歩く。歩きながら、胸の奥がじわじわと痛み始めるのを感じていた。


「私には、何もなかったのかな――」


その言葉が頭の中で繰り返えされる。彼のように人から慕われることもなければ、運動が得意なわけでもない。才能も、特別なものも、何一つ持っていなかった。


これまで自分が必死に積み重ねてきた努力や、小さな希望すら、まるで泡のように消えてしまったように感じられる。


「何のために私、生きてきたんだろう……」


空を見上げると、雲がかかっており、今の私にぴったりだと思った。目の前に広がる光景が遠のき、過去の記憶が一気に押し寄せる。始めは小学校の頃のことだったか。


「お前、新しいものも買ってもらえないのかよ?」


「お前の親はダメだな」


男の子たちの嘲笑が、今でも耳に残る。私の為に、体調が悪くても出勤してくれた母が悪く言われるのが嫌で、必死に勉強した。ずっと母が好きだったから、否定されたくなくて、それ以外を捨てることにした。思えばあそこから間違いだったのかな……。


『母と一緒に笑う未来のために』


そう自分に言い聞かせながら努力をし続けた。結果的に成績は上がり、表彰されることも増えた。認めてくれる人も少しずつ現れた。


その一方で、女性たちからの嫉妬や恨みの視線も増えていった。私の容姿も相まって好きな男子が取られたと言いがかりもつけられた。付き合ってすらいないのに。


自分の容姿が原因で衝突することが苦痛だった。だから、仲間と呼べる人間関係は捨て、その分すべてを勉強に捧げた。特待生として入学し、修学旅行も行かなかった。資金を浮かせて、その時間をすべて学びに費やすために。どんな犠牲を払っても、努力を続けた。


なのに――声にならない嗚咽が漏れる。胸の奥で、何かが激しく崩れ落ちていくのを感じていた。どうして──どうして、こんなにも必死に耐えてきたのに、そんな私の努力をさらりと超えていくの。


才能があると信じていた。思い通りにいくと期待してた。それが今日すべて裏切られた。私程度の努力には何の意味もなかった。きっと、彼みたいな人物が成功をするのだろう。


私はきっと勉強はできても使えない人で。学歴だけは...などと言われる未来しか見えなかった。


「…私は何を信じて生きればいいの?」


こぼれ落ちる涙は止まらない。神様に祈った。どうか、どうかこの痛みをやわらげてほしいと。でも世界は冷たく、無関心に流れていく。


「何が正解だったのかな……」


胸の内が波のように押し寄せ、涙で視界は霞んでいった。幼い頃からずっと背負ってきた孤独、努力、裏切りと嫉妬の数々。全てを否定されたような気がして、身体中の力が抜けていく。


きっと、松崎さんと中野さんの好意を踏みにじった罰なんだろう。肩は小刻みに震え続けそれでも涙は止まらなかった。


「お願い、誰か……」


そう呟いた声は誰にも届かない。いや、神様には届いたのかな。雨が降り始めて、私の体を濡らし始める。今日はなぜかそれが心地よかった。


その後もふらふらと歩く。私も見て何かを感じたのか、一人の男性が声をかけてくる。


「君、大丈夫?」


心配そうにするその人の声に振り返って、失望させられる。いや、ダメな私にはお似合いなのかな?


声をかけてきた彼の視線は私の胸や足にいっている。本当に虫唾が走る。彼が私に期待することを想像して気分が悪くなる。一瞬このまま落ちてしまえばなんて思いがでてくるけれど、その先を想像して否定する。そのくらいの冷静さはまだ残っているらしい。


「話しかけないで」


「いや、ただ単に心配してるだけじゃん。あそこで雨宿りしようよ」


本当に鬱陶しい


「消えて」


「はぁ、お前さ、その態度はねぇだろう」


振り上げられた手を見て思った。今殴られたら、少しはこの気持ちが晴れるのだろうか。いつもよりゆっくり見える世界を不思議だと感じながらそう思った。


ーーガンッ


「彼女に何か用ですか?」


鬱陶しい男が振りかざしたこぶしが私にあたることなく、止めらえる。冷ややかで冷静ない声が重く響き渡った。


「あ!?」


と男性が声を上げるが引きつった表情を浮かべる。まるで、目の前に恐怖すべきものがあるようなそんな化け物を見る目だ。


「これ以上関わるならそれ相応の対処をさせていただきますが」


「そう、怖い顔するなよ。心配してやったのに、暴言を吐かれて」


「そうですか、誤解があったようですね。すみません、彼女の態度が悪くて」


そう言って、彼は頭を下げた。


「まぁ、分かればいいんだよ」


そう言って男性は足早に去っていった。彼から逃げるように。


「怪我とかなかったか?」


「ない」


「そっか」


安心したような笑みを浮かべる。そのいつも余裕そうな態度がホントに嫌いだった。見下してるの。そうじゃないと分かっていても、彼を否定する自分が出てきてしまう。


「ここから家は近いの?」


彼はそう言って私に聞いてくる。何となく反発したくて、首を振る。そうしたらどうするの、君は。


「俺の家が近いんだ、妹もいるし夢咲さんが嫌じゃなければ服とか乾かさない?」


自暴自棄になったクラスメイトを自宅に連れ込む。結局彼も男性なんだと思った。


「いいよ。いく」


彼の真意が知りたかった。本当は妹なんていないんでしょ。結局は先程の男性と変わらない。数分歩いた先、彼の家が見えてくる。


その作りは豪邸のそれだった。高さ3mはあるだろう門に、普通の家何棟分かの家。一度は言ったらきっと助けを呼んでも聞こえないんだろう。そう思いながら家に入った。


弱みに付け込むんでしょ?……そう思っていたのに。


「お兄ちゃん、お帰り!!って、どうしたの、その子」


目の前に現れた女の子が彼を兄と呼ぶ。私よりも綺麗で、優しく兄を心配する女の子。……そっか、神様は残酷だね。少しは自信があった容姿ですら、否定される。


私の心の内など知らない彼は、明るい様子で告げる。心配する妹を安心させるように。


「あぁ、ちょっと傘を忘れて家が遠いらしい。風呂に入れて着替えの用意をしてもらってもいいか」


「もちろんだよ。えーっと...」


「夢咲さんだよ」


「あぁ、お兄ちゃんが話してる、あの子ね。じゃあ上がってこっち来て」


醜いのは私の方か...仲のいい兄妹のやり取りがそこでは行われていた。本当は分かっていたはずなのに。彼がそんな人ではないことを。


私はふらつく足取りで彼女の妹に連れられてお風呂場へと向かう。一人お風呂に入る中、涙が止まらなかった。

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