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義妹とクラスメイトから迫られる~義妹の信頼を積み重ねるために行動していたら、クラスメイトからも好かれました~  作者: 夢見る冒険者


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勝負事

翌朝、太陽の光が燦燦と輝く中で担任に告げらえる。


「今日は予告していた通り体力測定の日だ。思う存分楽しめ!」


何をだよっと俺は心の中で突っ込みつつ、周りを見渡して理解した。男子生徒がいつもより、浮かれているという事実を。


(...まぁ、女子に対してのアピールにはなるか)


確かにこのクラスにはカワイイ女子が沢山いる。まぁ、分からなくもない。まぁ、大翔は単純に実力を試すのにワクワクしていそうだな。


「学級委員長と副委員長はしっかりとクラスを統率しろよ、あと自クラスの測定はお前らに任せることがあるから」


そういってストップウォッチを渡される。最近思うんだが、俺達を頼りすぎではないか?ジッと見つめるが何も返さずに颯爽と去っていった。


「どうせなら、ちゃんと盛り上げたいよな。どうだ連、勝負しないか?」


「え、大翔君と連君で勝負するの!」


「連君も運動できるんだ~」


大翔の発言に反応して数人の女子生徒が浮足立っているのがわかる。相変わらずの女子人気だな...と感じる。期待した眼差しで大翔のことを見ていることから、俺にも参加しろという謎の圧を感じるが躱す。


「俺じゃあ勝負にならないだろ。なら、大槻君と勝負するのはどうだ、あの体格はお前と張り合えそうだけど」


「いいな、ちょっと話してくるわ」


大翔は颯爽と距離を詰めに行った。それに伴う感じで数人の女子もついていく。周囲が静かになると、一人ポツンと立つ夢咲さんの姿が目に入る。


「夢咲さんは得意な種目とかあるの?」


彼女はため息を吐きながらも、それでも初めて返答してくれる。


「運動得意そうに見える」


「...全然、かな」


俺がさらっというと、彼女は少し意地悪げな笑みで言う。睨むでも、冷たいでもない。軽い挑発。


「……あなたはできるの?」


「そこそこはね」


「その割にはさっき大翔君との勝負から逃げていたように見えたけど」


彼女はそう冷ややかに言った。


「まぁ、確かに点数では勝てないな」


俺がそう告げると彼女はホラというような表情をする。だからかな、少しだけ俺もムキになってしまうのは。


「けどね、一つひとつの勝負の積み重ねなら、わからない」


彼女は俺の方を意外そうな目で見てくる。それは、俺が意地を張っているように見えたからか、初めて感情的になっている姿を見たからかは分からない。やがて、ポツリとだけ告げた。


「じゃあ、勝負してみれば」


「勿論勝負を挑む。だから、ちゃんと見ていてね」


俺がそう告げると、彼女はそれが狙いだったのかと若干距離を取る。同時に感じるのはまたか...と言いたげな表情だった。やっぱり過去に男子との関係で何かあったんだろうな。そう感じずにはいられない。


都合がいいのかは分からないが、大翔はしょんぼりとした表情で俺の方へと戻ってきた。


「連ダメだった。お前との勝負は荷が重いだってさ」


まぁ、そうだろうな。大翔と勝負をしたら引き立て役にしかならないし拒否するだろう。


「なら、俺と勝負しない。点数じゃなく、一つ一つの競技の合計で」


「どういう風の吹き回しだ。連がそう言ってくれるなんて珍しい」


大翔は先程のまでのふんわりとした雰囲気を崩して、真顔になる。それが真に迫った顔だからか、周囲の空気まで引き締まるのを感じた。周囲もそれを感じたようで、冷やかしの声などは一切ない。


「夢咲さんに挑発されたからかな」


それを聞いて、少し獰猛な笑みを浮かべる。狩りを始めるライオンのようなそんな圧倒的なオーラを感じる。


「マジでありがとな、夢咲さん」


大翔は深々とお辞儀をした。


「...別に...っ!、大したことはしていない」


「それでも、助かる」


大翔は満面の笑みでそう言った。彼女は一瞬驚いたような表情をしたのはきっと、大翔が本気で感謝をしていると分かったからだろうな。だけど、少しだけ悔しく感じるのはなぜだろうか。


「やろうか、連」


俺に向き直った大翔はそう宣言する。


「もちろんやるからには全力だ、本気で来いよ」


「あぁ」


その一言で教室が一気に盛り上がる。まぁ、主に大翔を好きであろう女子達がだが。


「連の活躍、楽しみにしてる」


そう言ってきたのは松崎さんだ、そして同時に周囲に向けて告げる。


「他の運動が得意そうな男子は参加しないの?」


それを聞いて、他の男子生徒も参戦を決めたようだ。まぁ、このままだとスポットライトすら当たらない可能性があるから当然か。


「参加するにきまってます」


「俺も参加していいよな、連?」


そう聞いて来たのは大槻君だった。その表情で察してしまう。大翔には勝てなくても俺には勝てるから挑んできたんだろうなということが。


「勿論、楽しみになってきたな」


そう言って周囲のボルテージが上がってくるのがわかる。


「本当に珍しいですね、連君が何かで競うのは」


そう冷静に告げてくるのは有明だった。


「そうかな...確かにそうだな」


自分でも意外なことに過去を振り返ってみて勝負ごとに本気になったのは久しぶりなことに気づく。


「期待してます」


「期待しとけ、それと計測係だけど頼んでいいか?」


「えぇ、そのために来ました」


俺はふっと笑みを浮かべてしまう。そういえば有明は俺のことをいつも手助けしてくれたっけな。これで余計な思考を省くことができる。俺は体の可動域を含めて、今朝の調子を図りながらイメージをするのだった。

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