1章-2
その後何とかイライザをなだめ、夕飯を受け取る列に並ばせ、席に座らせたが始終不機嫌そうに何も話さず、ノアに全てを任せっきりだった。
「イライザ、ほら夕飯だよ、食べなよ。」
頬杖をつき、そっぽを向くイライザ。そんなイライザを見てノアはため息をつく。
「いらないなら貰ってもいいのか?」
一向に夕飯を食べようとしないイライザの前に置かれた夕飯にヘイゼルが手をのばす。
「それはダメ!」
慌てたように夕飯に手を付け始めたイライザを見てヘイゼルが鼻で笑った。
「ねぇ、あの子新しい子じゃない?」
食堂に入ってきた少女をノアが指さした。ミルクティー色の長い髪をハーフアップにし、紺色のリボンで束ねている。
「あぁ、見たことないな。」
「ふぁひ?あふぁらふぃいほ?」
ビーンズサラダを口いっぱいに頬張りながらイライザが聞く。ノアは、
「口の中がなくなってから喋ろうか。」
と言った。
「新しい子??」
「多分ね、イライザ、喋っておいでよ。」
ノアが面白そうに言うとイライザはノリノリで話しかけに行った。ヘイゼルは興味なさそうにイライザの皿に自分のビーンズサラダを入れていた。
「どう思う?」
ノアが聞く。
「さぁな、今日上手くいかなくてもイライザだし仲良くやるだろ?」
ヘイゼルは、ちらりとイライザの方へ目をやるとすぐに本を開き、読み始めた。
数分後に戻ってきたイライザの顔は鬼のようだった。
イライザは1人で夕飯を食べている少女の前に座り、話しかけた。
「ねぇ、君もしかして新しい子?私はイライザ!よろしくね!」
「、、、」
少女はいきなり話し始めたイライザを訝しげに見つめ、夕飯に目を戻す。
「ここはもう慣れた?君の名前は?あ、あっちに友達がいるんだけどね、一緒に──」
「静かにしてもらえるかしら。」
無視を決め込んでいた少女は耐えきれず呟いた。イライザは少し驚いたような顔をしたが、また構わず話し続けた。
「ごめん!うるさかった?ねぇ名前は?年はいくつ?私は十五歳!」
「、、、名前はステラ、年は私も十五歳よ。」
面倒くさそうにイライザを見つめると、ため息を一つ吐いてステラは言った。
「そうなんだ!じゃあ──」
嬉しそうに何か話し始めたイライザを遮り、ステラが言う。
「静かにしてって言ってるでしょう?それにお友達が待ってるなら帰った方がいいと思うわ。」
それだけ言うとステラは食器を下げに行ってしまった。