新しいスキル
帰還したショッピングモールではさまざまな感情で渦巻いていた。
家族に会えず悲観している者。
恋人に会えず悲観している者。
飼っているペットに会えず焦っている者。
傘を作っている者。
そんな様々な感情が交錯している中、やはり怒っている者もいてその怒りの矛先は転生する一つの要因となったショベルのおっちゃんであった。
「テメエのせいでこの訳わからねえ世界来たんだろうが!!責任取れや。」
「ちょっとまってくれ!!俺も何がなんだか分からねえんだ!!!」
「ふざけんな!!ぶっ殺してやる!!!」
ヒィ!!!
「やめなさい!!」
玉ちゃんがおっちゃんに殴りかかろうとしてる手を掴んだ。
「何だよテメエ!」
「このおっちゃんだって何が何だか分からずこの世界に来ている私達と同じ被害者じゃない。
喧嘩ではなく協力し合いましょう。」
「クソ!腹も減ってるし、喉も乾いてイライラするぜ!!だけど確かにそうだな。
おっちゃんごめんよ。」
「いいよ全然。」
「ハイ仲直りしたからこれどーぞ!!」
隆介は周辺の人達に食料と飲み物を配った。
「おい!!!これどうしたんだよ!!
酒もあるじゃねえか!!」
「俺の職業は売人って言ってモンスターを倒せば倒すほどこのスマホで色々な物が買えるんです。
さっきここらへんのモンスター倒して稼いだんでお裾分けです。 」
お~すげえ!!
ありがてえ!!!
周りのむさ苦しいおっちゃん達は喜んでいた。
そして皆隆介にきちんとお礼を言い、食料や飲み物を貰った。
「俺の能力もまだ買える物が限られているんで明日もレベル上げしてみます。
なので皆さんも今自分がやれることをやってみて下さい。」
「そうだよな。俺はとりあえず自分のスキルの見直しや役立てる事をみいだしてみるよ。」
「ありがとう兄ちゃん!明日にでも俺も仕事の仲間と一緒に探索したりしてみるわ。」
「俺は傘作る!!!」
傘職人この世界需要あるのかな?
とりあえず少なくともここに同じく転生してる人達は話がわかるし、土方の人やヤンキー特有の義理堅さや礼儀はキチンとしている。
隆介はよくわからない緊張感が少し解け、肩の荷が少し降りた気がした。
それにしても俺も最低限の食べ物とか飲み物は用意できるが、戦えないのが致命的だな。
隆介さんのレベルが上がったら例えば魔法のスキル買えるとか無いんですかね。
と発泡酒を飲みながら一平が言う。
そうだよな。買えるかもしれないな。
確かにこの売人のスキルは底が見えない。魔法や下手したらペットなんかも手に入る可能性だってある。
「ミヤお前敵結構倒したけど何か変化あったのか?」
「いや最後に倒したスライムで称号スライムキラーてのが手に入りました。
スライムに対しての攻撃力が1.5倍って書いてあります。」
「称号?何だそれ?」
「何かドラクエのレベルアップみたいな感じで称号を手に入れましたみたいなのが画面に出てきました。」
この世界ではある一定の条件をクリアすると称号を貰えるらしい。
これは結構良いな。
「後レベルが上がって仲間思いってスキルをゲットしました。
敵倒したら行動を共にしてる者一人に経験値が分け与えられるみたいです。」
「何?激アツじゃんそれ!!!」
ここに来て激アツなスキルをミヤが覚えてくれた。
「明日隆介さんに試してみますね。」
「頼んだわ!!」