帝国内の惨状
帝国緊急会議
「ネジ様こっ、これは一体どういう事ですか…」
佐川が帝国内から姿を消した後、ネジに即座に呼び出されたもう一人の男ノギスは帝国の惨状に驚きを隠せなかった。
そもそもノギスは各国との交渉や、商売の商談などの仕事をメインに行っており今回も戦いには参戦していない。
「どうもこうもこの有り様だよ。カグヤに戦争を仕掛けたが返り討ちにあった。正確に言えばカグヤと言うよりは同盟を結んでいるターマ教とか言う宗教団体にだが」
「あっありえぬ…ありえぬぞ!!」
「元S級の冒険者もおったのじゃぞ!!大体皇子はどうしているのじゃ!?」
「そっそうじゃ!!皇子はどうしてる!?」
帝国の有力な貴族達も現状が理解出来ず騒いでいる。
「皇子は今牢屋に入れています。ターマ教との話し合いの場で取り乱していたので。」
「なっなんじゃと!!!」
「無礼者!!貴様が敵国のスパイでわしらを陥れようとしてるのじゃろ!?」
「そっそうじゃ!!責任取れ!!」
「少し落ち着いて下さい。とにかくネジ様の話を聞きましょう。とりあえず経緯をお話し下さい。」
ノギスは貴族の暴走を止め冷静に話を聞き入った。
ネジはこれまでの経緯を話した。
カグヤに攻撃をし、略奪を考えていた事。
ターマ教とか言う宗教団体がカグヤに付いていた事。
ターマ教の怒りを買ってしまい、圧倒的な戦力で帝国兵が蹂躙された事。
「たっターマ教とはなんじゃ!!」
「そうじゃ、そのような宗教聞いたことないぞ!!女神教とは別なのか?」
「はい。恐らく女神教とは全く別と思われます。」
この世界にはすでに全能の女神イシスを信仰している女神教と言う宗教があり、信仰都市ルベリオを中心に信者が沢山いる。
「そもそも世界的に認められていない宗教団体がなぜそこまでの力を?」
「私も分からない。全身真っ黒で顔出しもしていないしな。普段は大人しく、表舞台には出てこないらしいが繋がりのあるカグヤが依頼したみたいだ。」
「だっだったら帝国も同盟を結ぶのはどうじゃ?それ程の戦力なら使い物にもなるじゃろ!」
「そっそうじゃ!!これだけの損害が出てるのじゃ!!ついでに金も巻き上げてしまえば···」
バンッ!!!!
「まだそんな事言ってるのか!!!」
ネジは怒りに身を任せ机を叩きながら語尾を強めた。
「大体こちらから攻撃して返り討ちにあってそのような事出来るわけないでしょう。ターマ教は帝国の事を明確に敵国認定しています。むしろ賠償するのは帝国側になりますよ。」
「ばっ馬鹿な!!!わしは絶対に反対じゃ!!これからでも戦力を投入するべきじゃ!!帝国に負けは許されないのじゃ」
帝国の貴族連中は古い考えしか持ち合わせない老害しかいない。賠償と言う事になれば世界的に帝国の立場が悪くなり、各国との交渉事や商売がやりづらくなってしまう。私利私欲の為に何としても負けられないと言う考えなのだ。
「どうやったってターマ教には勝てませんよ。それこそ全ての兵を失ってしまう。」
「そっそれ程までなのか···」
貴族連中は現状を受け入れられず放心状態だ。
「明日ターマ教の者達と話し合いを行います。皇子には勿論参加して頂きますので皆様も宜しくお願い致します。」
「どういった交渉をするのですか?」
「それは皇子が決める事なので一概には言えませんが、ターマ教の言い分を全体的に飲むしかないと思います。向こうが皇子の首をと言うなら私の首を差し出すつもりですが」
「ばっ馬鹿な···」
「ですので明日は皆様も失礼のないようにお願い致します。では。」
「そう言ってネジは部屋から退出した。」
だがネジの思いも虚しく、よからぬ事を考えていた老害貴族もいた。
(誰が賠償などするか!!帝国に負けはないのじゃ!!大体明日来るターマ教の者も数人じゃろ。わしの領地の近衛兵100で一気に叩いてやるわい。)




