帝国の没落
帝国軍の幹部を滅ぼし人質にしてる中、帝国皇子パイレンタケミカヅチは戦果の報告をうずうずして待っていた。
あれだけの戦力を費やしたのだから完勝は間違いない為、カグヤの全てを掌握できると考えていた。
(カグヤは世界一の商業都市、我が国にどれだけの利益をもたらしてくれるであろうか。出た利益で軍事強化してあの忌々しい奴隷国家を潰し、魔王討伐を仕掛けよう。そして我がパイレンタケミカヅチが世界征服してやろう。)
スッ
「おおネジよ。早速戦果を報告してくれ。まぁ結果は分かるが一応聞いておく。」
「たっ大変お伝えにくいのですが…」
「幹部の誰かが戦死したか?まあこれからの利益で軍事強化するから問題ないぞ。」
「いえ…報告致します。我が帝国軍はほぼ壊滅致しました。」
「ん?悪い冗談はよしてくれネジよ。あれだけの戦力を投入したのだぞ?負ける訳なかろう。」
「いえ…冗談は言っておりません。残っている幹部は私と他国の交渉を行っている11番のノギスのみ、後は全員戦死したか捕虜になっています。」
「そんな馬鹿な!?ティグとアークはどうなった!あいつ等は元S級ギルドだぞ!?この世界で勝てる者などそうそうおるまい?」
「ターマ教の者にやられました。ティグもアークも持てる全ての力をぶつけましたが相手の方が一枚いや私から見ても結構な差があった様に見えます。助太刀した所で私では敵わない為、皇子を守る為に戻りました。」
「なっ…何だと!?」
「マッスルはターマ教の創始者と戦い、討たれました。魔法などの使用は無く力でねじ伏せられました。近衛兵もその者達にやられました。何人か生き残りはいますが目の前で起きた悲惨な現状に恐怖し、放心状態になっております。」
「マッスルを力でねじ伏せるだと…そっそうだ!あの強い魔物を使役している者達はどうなった?こちらに付く気はないのか!?幹部にしても構わない!」
「いえ、あの者達もターマ教の者達でした。領地を荒らされた事に激怒し、レイリー、トライチが使役している魔物に、デンノコがターマ教の者に討たれました。兵士5000は向こうの昆虫の魔獣やドラゴンによって滅ぼされました。」
「へっ兵5000だぞ!?そんなに向こうも兵士を構えていたのか?」
「まずあの森の至る所に初めて見る罠が仕掛けてあり、その罠で500人程討たれました。その後罠を掻い潜り出た広場に、向こうの兵がおりました。昆虫の魔獣が恐らく数百、ドラゴンが3匹程ですがどの魔獣も恐ろしく強く、簡単にうちの兵士は討ち死にしました。」
「どっ…どうなっているんだ…」
パイレンタケミカヅチは訳が分からなかった。
あれ程の兵を送り込んだのにもかかわらず、いきなり出てきた気味の悪い宗教に完膚なきまでに破壊されてしまったからだ。
「これからどうなるのだ?」
「恐らくターマ教の者達の進軍、聖都市カグヤへの賠償などは確実かと…」
スッ
「何奴!!」
「これはこれは。帝国皇子のパイレンタケミカヅチ様。それに帝国3番の影、ネジ様。私はターマ様の影、佐川と申します。」
スッ!
キーンッ!
ネジは佐川の首を狙い短刀で襲撃するが佐川も短刀で弾き返した。
「おやおや頂けないですね。ここで私を殺したら恐らくターマ教の者達はこの帝国の住民達を完膚なきまでに蹂躙すると思いますよ。ネジ様刀を下ろして下さい。私じゃ貴方には勝てないので。」
「勝てない奴の目をしとらんぞ貴様。何用だ。」
「勝てませんよ。私ではね。ただ貴方より強い者は我がターマ教にはゴロゴロ居ますけどね。私は別に皇子様の首を取りに来た訳ではありません。我がターマ教は平和主義を掲げて活動していますから。帝国の幹部の皆様だって一人以外は捕虜として生存していますからね?一人だけは終わらない地獄を味わってもらってますが。」
「ひっひぃ~」
皇子は恐怖で尻餅を着き、失禁した。
「貴方達はやり過ぎました。何も危害を加えて来なかったら私達と帝国で親交も深められたかも知れないのに…」
「いっ今からでも親交を深めようではないか!!捕虜の幹部もお前等にくれてやる!金も言い値払うぞ!一緒にカグヤを叩き、奪い取ろう!そして我々帝国と世界を征服しようではないか!帝国とお前等が手を組めば世界を取れるぞ!」
「皇子止めて下さい!そのような事言ってしまったら戦死した兵士や捕虜になっている幹部の顔が浮かばれません!」
「うるさい!弱い者がいけないのだ!弱いからこんな訳の分からない宗教に負けるのだ。」
ボコッ!!
佐川の拳で皇子は吹き飛んだ。
「皇子!!」
「お前あんま調子乗んなよ。クソ野郎が。お前等と手を組むわけ無ぇだろうが?こっちはひっそり平和に暮らしてたのにちょっかい出してきたのはてめえ等だろうが!今日来たのは、明日うちの幹部が直接落とし前付けに来るって事を伝えに来ただけだ。逃げたら帝国の民全員容赦無く殺すからな。お前等が吹っ掛けてきた喧嘩はもう引くに引けない所まで来たんだよ。」
「ひっひぃ~!どうか命だけは!命だけはお助けを!」
「少なくとも明日までは生きてるだろうよ。ネジお、お前も分かっているだろうよ?引けない所まで来てるって。だったらそのアホ逃げないように牢屋入れとけよ。」
「くっ…!」
「おっおいネジ!何をしておる!我は皇子だぞ!皇子を牢屋に入れるつもりか!」
「すいません。皇子。責任は私も取ります。一緒に国の為に死にましょう。ストンッ」
ネジは皇子の首元に手刀をうち、気絶させた。
「すまなかった。お見苦しい物を見せてしまい、この場は私の命で勘弁出来ぬか?」
ネジは佐川に土下座しながら訴えている。
「お前か死んだ所でこの先の未来は変わらんよ。だったら正々堂々明日うちの幹部と話してくれ。恐らくそこのアホじゃ話にならないからな。」
「承知した。申し訳ない。」
スッ
佐川は姿を消した。




