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アメノヒ

言い忘れてましたが基本的に殴り書きなので見にくいです

あくまで妄想を形にしただけというていなのであまり懲ることはしませんし飽きたら変な感じで終わると思います。

「アメノヒ」

それはその名の通り、雨の日に起きるあること。

特定の人物にだけ起きる異常現象。

昔からそう言われているから、いつ頃からなのかは正確にはわからないが……。

しかしアメノヒと呼ばれるその日に限って説明のつかない現象が起こる。

私はそれを調べるために、1人各地を飛び回った。

何が起きるかは全て不明。

条件も雨の日ということだけ。

私は手探りで手掛かりを探すしか無かった。

そして私はついに、アメノヒに遭遇する。それはとある町でのことだった。

いつものように調査を進めていると、急に空が曇った。

雲一つない晴天だったはずなのに。

不思議に思って空を見上げていると、ふいに強い風が吹いた。

私は思わず目を閉じてしまうほどの強い風だ。

加えて雨が降ってきた。

予報にはあったが、数時間速い雨。

スマホを見てみると、最新情報では晴れと表示されている。

何かが起きたことは間違いなかった。

私は急いでその場を見渡した。

それなりに人がいる道のはずなのに、車も、人影も何も無い。

雨が地面にうちつける音だけが鳴り響く。

そんな時だった。

私の目の前を横切った少女がいた。

彼女は傘を差して歩いていたが、風に煽られて飛んでいきそうなくらい不安定だった。

私は咄嵯に声をかける。

「大丈夫?」

少女は振り向かず、小走りで走っていく。

見たところ小学生くらい。

後を追うのは少し気が引ける…なんて思っていたが、少女の行先に目をやると見たことの無い店があった。

『喫茶レイン』

そう書かれた看板。

店の外観を見る限り、どう見ても普通の喫茶店にしか見えない。

ただ私は知っている。

あんな建物は今まで1度もなかった。

「あそこに何が…?」

確証は無いが、今はそれしかない。

少なくともここで何か起きたのだろう。

「よしっ。」

私は覚悟を決めて扉に手をかけた。

カランカランというドアベルの音と共に店内へ入っていった。

雰囲気はモダンな感じで、落ち着く。

1人の店員が話しかけてくる。

「いらっしゃいませ。」

私より年下に見えるその女の子は、長い黒髪を後ろで結んでいた。

「あの……」

私が声をかけようとすると奥の方へと消えていった。

「……。」

カウンター席に座る。

メニュー表を見てみても何ら変わりはない。

そうしていると、先程の女の子と高齢の男性が共にでてきた。

「客は久しぶりだ。…ふんふん、なるほど。どうやら、アメノヒについて調べているね?」

老人の言葉に驚いてしまう。

まさか初対面の相手に言われるとは思っていなかったからだ。

「え、なんでそれを?!」

すると老人はニヤリとして答えた。

「なんたって、ここはアメノヒに犯されたものしか知ることが出来ない。でも、君は至って普通だ。」

「どういう意味ですか?」

「アメノヒに起きる不思議な現象にはあるルールがあるんだ。どんな形であれ、人間離れする。でも君はそう見えない。…となると、何らかの原因でアメノヒに関心を持ちすぎて、こことアクセスした…と言ったところかな?」

「貴方は…?」

「雨の日が好きなただの店主さ。いいだろう、この雨の音。とても落ち着く。」

「雨が好き……だからここに店を?」

「そうだとも!だがそれだけじゃないぞ。ここには色々なアメノヒに犯された人間が迷い込むからねぇ。そういう連中の話を聞くのが好きで、こうして店を開いているんだよ。」

「なるほど…。そっちの女の子は?」

「用心棒さ。」

「えっ…そんな小さな子が…?」

「見た目で判断してはダメだよ。子供に見えるが…ほら、見てやりなさい。」

身の丈より大きな刀を持ち出した。

それを地面にトンと1回叩くと、彼女の体がみるみる大きくなって、私より大きくなってしまった。

「リサも、アメノヒの影響を受けている。聞くと本当は中学生のようだが、アメノヒ、刀が落ちていてそれを拾うと、体が縮んで小学生の時の体型に。地面を1度突くと、大人になるようだ。」

「まるで漫画みたい。」

「実際そうらしいよ。まぁ私は詳しいことは知らないがね。……今では私の孫のように、いちばん大切な存在だよ。」

「そうなんですか。…それは良いですね。」

「ただ、それにしても君はとても興味津々だね。」

「はい、実は……」

私はこれまで調査してきたことを説明した。

「ほう、つまりアメノヒを解明したいと?」

「はい、できれば。」

「ふむ。では私達も協力しよう。」

「本当ですか!?︎」

「あぁ、ここにはアメノヒの影響を受けた人が沢山来る。ここに住むといい。」

「ありがとうございます!!︎」

「ちなみに私の名は雨木総司あめきそうじだ。こっちは娘のリサ。」

「よろしくお願いします。」

「私は神崎美鈴です。こちらこそ、これからお世話になります。」

この喫茶店で暮らすことになった。

それからというもの話は急な展開を見せる。

たくさんと人がアメノヒの影響を受けた人が沢山来て、色んな話を聞いた。

例えば、あの雨の日に傘を差していた少女の名前は瑠璃と言い、アメノヒの影響は『感情の増幅』。

良くないたり、よく笑ったり。

他にも様々な人がいた。

人の思考が読めるだとか、とんでもない膂力を手にしたとか。

本当に様々だった。

私はそんな中で情報を集め続けた。

アメノヒの正体を掴むために。



……そして散歩をしていたある日。

アメノヒにあたってしまう。

そして私もアメノヒに影響されてしまった。

まだ何かは分からない。

これでやっと、アメノヒに辿り着けるかもしれない……。

私が求めていたもの。

この能力を有効活用すれば、アメノヒの謎を解き明かすことが出来る。

「まずは……」

歩いている男性に目を向けた。

文章を読むように、情報が沢山入ってくる。

「なるほど。……父親は会社の社長。……母親は病気で既に他界。妹さんがいるようだけど、その子も病で苦しんでいる……。」

アメノヒによって得た能力は相手の過去を知ることだと知った。

私はアメノヒに犯された人達を観察対象として見ていた。

中にはアメノヒの力に耐えきれずに死んでしまう人もいるらしいが、大体は生きている。

それでも構わないと思った。

私はただ知りたいだけ。

喫茶レインに戻ろう。

「美鈴、どこに行ってたんだ?」

「ちょっと散歩に。」

「そうかい。それよりも。」

「何ですか?」

「アメノヒに犯されたね?」

「お気付きなんですね。」

「そりゃ分かるさ。君の目はアメノヒの特徴が出ている。」そう言って自分の目を指差す。

その瞳は青白く光っていた。

アメノヒの証である。

どうやら、雨の日以外は普通の人間のようだ。

そうでなければ、こうして会話は出来ないだろう。

雨の日になると、アメノヒとして覚醒するようだ。

「それで、君はどんなことを出来るようになった?」

「過去を知ることができるようになりました。」

「ほぅ、それは便利じゃないか!」

「はい!」

「探偵のようだな。それで、どこかに行くのかい?」

「はい、真実を突き止めてきます。今日には掴めそうです。」

「頑張りなさい。でも無理だけはしないようにね。」

「分かりました。それじゃあ行ってきます。」

「いってらっしゃーい。」

雨木さんと、リサに見送られて外へ出た。

リサは全く喋らないけど、嫌な顔をしないいい子だ。

空を見上げた。

外はまだ雨が降っている。

「…うっッ!?」

見上げた瞬間、1つの情報が頭に入り込んでくる。

「……。」

1人の女性が傘をさして道路を歩く姿。

……この前見かけた女の子がそこにいる!

「まさか……。いや、違う。」

続けて、情報が頭に流れ続ける。

「過去を遡り続けてる…?」

2年前の情報が見えるようになってきた……。

…………。

10…20…!

60年前!?

「ッ…!これは!…一番最初に起こったアメノヒ…!名前は……雨木佳奈…?」

雨木さんの…妹…?




数十年前にアメノヒが発現していたらしい。

……雨木さんが若い頃、妹がアメノヒに犯される。

受けた影響は…願いを叶える代わりに、死んでしまうというもの。

叶えた願いは…雨を見たい。

代償付きの願いだ。

 それなのに、なぜ小さな願いを叶えたのか。

妹さんは、既に病気で寿命が近かったのだ。

それで、最期に雨を見たいと。

当然アメノヒなんて誰も知らない。

ふと、最後に思った、雨を見たいという願い。

それを叶え、雨は降る。

……それが、今に至るまで、アメノヒとして、降り続けている。

「雨木さんに聞かなきゃ。」

すぐに喫茶レインに戻ろうとする。

そこに、人がたっていた。

リサだった。

「………。」

一言も喋らない。

それに、あまりにも冷酷な顔。

…雨が振り続ける。

濡れる私たち。

「……何をしているんですか。」

何も答えない。

ただ冷たい表情をしている。

感情のない人みたいだった……。

雨が一層強くなると彼女は言った。

「知りすぎた。雨を見たいと願ったあの子は。……あなたの前世だ。」

「え?」

……突然の言葉に驚く……。

「……喫茶レイン、雨木総司の得たアメノヒの影響だ。この店は、アメノヒの影響を受けた人間しか入ることが出来ない。それでもなぜ貴方が入ることが出来たのか。」

「…私の前世が影響されていたから…?」

「そうだ……。」

そう言って手を上にあげると、刀が現れた。

「私の宿命は、このアメノヒを終わらせることだ。」

そして再び言葉を続ける。

「アメノヒとして目覚めた人間が死ぬ時…一時的にアメノヒは止む。では、原初のアメノヒの影響を受けたものが死ぬとどうなるか。」

そう言って手を振り下ろし、刀を抜いた。

その瞬間に過去を見てしまう。

「アメノヒが終わる。きっと見ているのだろう。私を。」

アメノヒによって家族、両親を失っている。

そんな彼女が受けた影響は。

「自分のすべき事の為ならば、なんでも出来る。そんな物を手に入れた。」

彼女の過去はアメノヒを終わらせるためだけに生きているようなものだった。

「私がこの悪夢を終わらせる。」

……彼女の瞳には光が映っていないように見えた。

「…自分の過去をみたことはありませんでした。」

いま、自分の過去を見てみる。

そこには、先程と同じシーンが浮かび上がっている。

「……だから…私、雨の日が好きだったんだ。」

全て合点が行く。

子供の頃から雨が好きだった。

理由もなく。

けれど、今全てわかった。

前世がが好きだったからなんだね。

「私に殺されてくれ。」

雨音が激しく鳴り響く。

その音が全てをかき消してしまうようだ。

彼女はゆっくりとこちらに歩いてくる。

……怖いという気持ちはない、あるのは懐かしさと愛おしさだけだ。

……ただ一つの思いを除いては。

「これで、雨は止む。」

刀を私に向けてきた。

私は知りたいことがしれた。

これで終わってしまうのも良いとすら思える。

でも、こんなのは嫌だ。

なにかって、リサの代償。

だって、こんな終わり方って。


***

雨が降り続いている。

1日雨だ。

梅雨入りはまだだが、もう夏のように暑い。

そんな中で喫茶店をやっている。

「ありがとうございました。また来て下さいね!」

……常連のお客さんの見送りをして、閉店準備をする……。

「ふぅー終わった、雨木さーん!」

「ああ……ありがとう。」

「前から思ったんすけど、その2つの写真誰なんですか?」

「よくここに来てた女の子でね、知りたいことがあったらなんでも調べて知り尽くすすごい子だった。」

2枚の写真をカウンターに置く。

「名前は神崎美鈴と言ったかな。一時期はここに住んでたんだ。大切な孫みたいなもんさ。」

「こっちは誰っすか?」

「分からない。」

「えぇ、わかんないんすか。」

「ああ、本当にな。気付いたらあったんだ。どこの誰かも知らない。」

「ええ、怖くないっすか?捨てた方が…。」

「…でもな、なんだか懐かしい気がして、捨てられない。」

まだ、雨は降っている。

喫茶レインは、もう普通の店だ。

それでも名前に雨を冠する。

それは好きだったあの子を忘れないため。

あの人の居場所を残すため。

忘れていても、きっといつかは。

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