私の弟に光を見せてあげたいだけ!
私の弟は? 産まれてきた時から目が見えなかった。
外の世界に、何があるのかも知らない。
自分の顔も見たことがなし、家族の顔も知らないわ。
色も見たことがないし、どんなモノなのかも分からない。
でも? 手の感触でそれが、どういうモノなのかは分かるみたい。
手の感触だけで、そこから音が流れたり大きさや形も分かるの。
でもね? 目を治すには、この世界の何処かに、、、。
体の悪い部分に移植して直す【モノ】があると私は聞いたわ!
体に移植する場合、“拒否反応”を起こす人もいるらしいの。
弟の目も移植して馴染めば、体の一部になるのだろうけど...?
もし? 拒否反応を起こしたなら? 弟の命も危なくなってしまう。
それに、弟の目になるドナーもいなし。
目は? 【特殊】でね!
移植は、この世界だと無理だとされているの。
・・・数年前から。
変なウィルスが流行ってから、それに感染すると、、、?
細胞を壊していくの。
一度、壊された細胞は、2度と治らない!
元の健康な体に戻ることはないらしいの。
私達の両親も、このウィルスのせいで2人も亡くなってしまった。
私の唯一の身内は? “弟のジャック”だけなの。
健康な体を蝕むウィルス! 弟は目が悪くなって。
私はその時、心臓が少しだけ弱っていたから助かったのよ。
でも? 私達の両親は、健康そのもので病気もした事がなか
ったのがアザになったみたい。
このウィルスで、たくさんの人達が死んでいったわ!
世界の半分以上の人達が、なくなったんじゃないかと思う。
強力なウィルスに、医者も諦めてしまった。
・・・でもね?
そのうち、自然とこのウィルスは姿を消すように、、、。
もう、このウィルスに感染する事がなくなったのよ。
私の住む街には、たくさんの遺体だけが残ったの。
埋葬する場所がなくなり、亡くなった人達がそこら辺に転がっている。
生き残った人たちだけで、亡くなった人を一人一人埋葬していったわ。
私と弟も、亡くなったお父さんとお母さんにサヨナラを言って。
この街を離れる事になったの。
そんな時だった! 私と弟は、孤児院で新しい生活を送る事になり。
そこで聞いた話なの!
『ねえねえ、メル? 弟のジャックが目が見えるようになったら
メルは嬉しい?』
『もちろん! 嬉しいわ! でも、そんなの無理よ。』
『それがね! あるモノを見つけてジャックの目につければ、、、!
間違いなくジャックの目は見えるようになるのよ。』
『その話、本当なの!?』
『えぇ! もちろんよ!』
『・・・その? “あるモノ”って何?』
『体の悪い部分の一部になるモノよ! 形は石ころみたいだと
聞いたわ! 特別何処にでもあるような石に見えるみたい! 』
『・・・そんなのどうやって? 見つければいいのよ。』
『反応するんだって! 悪い部分にね!』
『そっか! ジャックと一緒に探せばいいのね!』
『えぇ、そうよ! その石がある場所は? “ジョザフト島よ”』
『・・・そんなに遠くにあるの?』
『ジャックの目が治るかもしれないのよ!』
『・・・分かってるわ! でも? そこまでジャックを一緒に連れて
行けるか心配なのよ。』
『・・・そうね、』
・・・それでも?
私はやはり、ジャックの目が見えるようになってほしいと!
僅かな望みをかけて、その“ジョザフト島”に向かって行く事にしたの!
『・・・ねえ、ジャック!』
『何? お姉ちゃん!』
『もし? 行くのが嫌になったら、直ぐにお姉ちゃんに言ってね!』
『うん! 分かったよ。』
『お姉ちゃん! ジャックまで亡くなったら? もう生きていけない!』
『僕もだよ! だから、必ず! 見つけようね、その石を、、、!』
『うん!』
私と弟は、3日かけて! ジョザフト島に辿り着いた。
そこから、私と弟は野宿をしながら! その幻の石を探したの。
幾日も幾日も、雨の日も台風の日も、雷がなっている日も、、、。
私も弟も、ずっと歩き続けたわ。
ただ、ひたすら! 弟のジャックの目が見える為にね!
でも? 見つけるのは、ただの石ころ。
もう、何処にもそんなモノがないんじゃないかと思った時。
弟のジャックが、ある石ころを見つけたの。
『ねえねえ、お姉ちゃん? この石、何か? 他の石と違うよ!』
『・・・えぇ! ジャックにも分かるの?』
『うん! この石だけ、柔らかな感じを受けるんだ!
それになんだか? あたたかい感じがするよ。』
『そうね! ジャックが触っている石は? ジャックに反応して
光っているわ!』
『お姉ちゃんも、この石に触ってみてよ!』
『うん!』
私が触ると? 石は、光らなくなった。
そう! 私の心臓は良くなっていて! 健康だから石が反応しなかったの。
ジャックは、その石を目に当てた。
そうすると? 石がジャックの目に吸収されていく。
そして、数分後、、、。
石がジャックの目となった。
『お姉ちゃん! 僕、目が見えるよ! お姉ちゃんの顔が見えるよ!』
『・・・ジャック!』
私と弟は、抱きしめ合って二人で泣いたわ!
感動してまた、私は泣いた!
弟は、私が泣いているのを見て、ハンカチをそっと差し出してくれた。
・・・そして!
私と弟は、また孤児院に帰ることにしたの。
奇跡の石は? 本当にあるんだと諦めない心が大事なんだと!
私も弟も、そう実感したの。
最後までお読みいただきありがとうございます。