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8:27\起床

 初めて話すが、後一週間程度で、俺の冬休みは終わる。充実していたと聞かれてみれば、まぁ、していないのだろうが、そこはもうどうでもいい。

 大事なのは、始業式から春休み前までの学校生活。

 話してあるように、俺にはおおよそ友達と呼んでいいものがない。昼休みも、授業中も、俺は誰かに話しかけられないと、喋れない状況にあるのだ。

 勘違いしてほしくないのが、俺はいじめられっ子ではないということ。

 都合のいい事に、俺のクラスにはがき大将のような大きな体格をした……いわゆるデブがいじめられっ子となっている。

 俺は、そいつの影に潜むだけ。いじめっ子がそいつに飽きれば、次は多分俺がいじめられっ子。

 そして次はいじめっ子がいじめられっ子になるだろうな。

 俺が思うに、クラスというのはそうやって構成されていくのだ。

 俺はこんな感じだから、いつも勉強している。いわゆるがり勉。あ、学校ではしていない。冬休みの宿題の、最後の書き初めも終わり、残りを優雅に過ごすつもりだったのだが、こいつが現れて、『あぁ、俺の冬休みはもう終わったのか』と、改めて実感している。

 とうとう来たのだ。本当の悪夢。

 俺には到底たどりつけないと思っていた能力。そんなものに、うなされている。

 メリーは、自分の事が分からなかった。本当の名前も、自分がどうして存在しているのかも。だから人の脳にとりついて、自分のいる記憶を探す。そして、消すのだ。

 自分のいない記憶を持った人間を。

 メリーは、猿の時代から存在している。

「じゃあ、メリーは猿なのか?」

 そうではないらしい。

 メリーいわく、もとは人間と同じ格好をしていた……と。ていうか、その時点で幽霊ではなく神的感じだというのは、どうなのか。

 そう、夢から目覚めた俺は不思議に思ってた。

「…今日も……見たのか? 夢」

「ん…あぁ」

「ごめんね…」

「違うんだ、今日はお前、謝んなくていーんだよ」

「え?」

「お前の夢見たんだ。予知夢じゃくて、お前の昔の夢。…お前が、人間の脳に入って必ずやっていること」

 それにしても、不思議な夢だった。

「必ずやっている事? 私は必ず、何してるの?」

「脳を覗いて、その脳にある昔の自分メリーを探してんだよ」

「? よく分からない、だって、その人は私見たいに、猿の時代から存在しているわけじゃないじゃん」

「でもお前は探してる。無意識のうちに……」

 なんでだと思う?

 そう、心の中で呟くと、やっぱり気付いたのか、メリーはうぅーん…と、首を傾げた。

「隆史は…理由……分かるのか?」

「……分かるわけないだろ」

「そぅ…」

 理由なんて…、わかってたまるかよ。

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