夢心地
夢、夢、夢。
夜になると、ほぼ毎日といっていい程夢を見る。
それは軽い悪夢だったり嬉しい善夢だったり、もちろん予知夢には変わりない。その夢にも慣れてきて、余り気にしなくなった、2週間。朝起きると、メリーは必ず『ごめんね』と謝っている。
言わなくていいよと言っても、うるさいと言っても、必ず、絶対、謝る。
「メリー、お前まさか取り憑いた奴全員にそんなうざったく謝ってたのか?」
「失礼だな、18人目からだよ、全員じゃない」
「18……18?! お前何人についてんだよ?! 5人程度だと思ってた」
「猿の時代から幽霊よ? 20万は軽く言ってると思う、もっと大袈裟に言ってみたら、50万超えてるか……」
「そんな人数殺して…! ……ごめん」
禁句だった。決して思っては、口にしてはいけないこと。
「なんで謝るの? 殺している事に変わりはないのだから、いいのに。でもそうだよね、自分は嫌な気分になるもんね? 分かるよ、何となくだけど」
「……」
メリーは気にしていないようだった。多分、きっと取り憑いた沢山の人にそういう事を言われたのだろう。
俺もその一人なのだ。
「隆史、自分を卑下するのはやめなさい。悪いことなんだよ? これじゃ友達もできやしない。最強なマイナス思考ね」
「あのな…」
「何、本当の事じゃないの。反論ある?」
「ア、リマセン…」
正月を過ぎて、もう七日か八日に突入する。
メリーは相変わらず俺の脳に存在していて、俺もまたそれを楽しむようになってきた。俺の15年の人生にはまずありえなかった、一日中話せる相手。
意識を持ち、言葉を使え、しかもそれが女子ときたら、もう楽しまずにはいられない。それが俺だ。
「だけど、脚みれねぇんだよなぁ……」
「脚? ふーん、隆史は脚フェチなんだ」
「悪いかよ、」
「ううん。まだましだよ、中には胸とかお尻とか指とか、マニアックなフェチが沢山いるの。脚なんて全然許せるよ」
胸…って、……俺はそんな物を好きでいるほどわがままではない。
確かに望んだ事はあるが、それが偽の物もあるのだと言うことがわかった小1の時、俺のフェチは上半身の部分から、下半身の部分に変わったのだ。
――好きになった経緯は、父と母の部屋にある大体父が使っている机。
その引き出しの一角に、あったのだ。『グラビア写真集』
脚の綺麗さに、一目でくぎづけになりました。