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Insert:  くだらない理由

 ――半世紀に一度の大規模な流星群りゅうせいぐんが到来する。


 このところ、そんな話題がネットやテレビで持ち切りになっていた。


 俺はとりわけ天体には興味がない。

 星座だってオリオン座とカシオペヤ座くらいしかわからないのだから、夜空を見上げない人種であることはわかってもらえるだろう。

 流星群自体は毎年見られるもので珍しくもないのだ。

 だから今回のナントカ座流星群のことを耳にしても、当初は、ふ~ん、としか思っていなかった。

 でも、繰り返し取りざたされる様子を目にしているうちに段々と気が変わっていった。


 なにせ、通常の流星群とは比較にならないほど星が流れ、しかも見られるチャンスは半世紀に一度きりだという。

 今回を逃せば次は50年先である。

 そこでふと思い巡らせた。


 現在、俺は大学一年で19歳。

 ということは、次回には69歳になっている。

 三度目には119歳だ。

 そのときには確実に骨と化しているだろうから、現実的な観測機会は人生でたったの二回だけ。

 天気予報によれば今回は晴天にめぐまれるが、半世紀後までは予測してくれない。


 目撃しなければ、なんだかもったいないような気になっちゃったのである。


「絶対に見ますって! あたし、ふだんはあまり星とか興味ないんですけど。だって半世紀に一度ですよ! 次見られるとは限らないし、見なきゃ損ですって!」


 と、街頭インタビューで同い年くらいのかわいい女の子が興奮気味に応えていたのがダメ押しにもなり、今宵こよい、俺はがらにもない天体観測を行うため、真冬の寒空さむぞらの下、自宅二階の部屋から屋根の上へ出るにいたったのである。


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