プロローグ1
「ふぅ……」
真正面から飛びかかってきたスライムをギリギリのところで斬り伏せ、僕は大きく息を吐く。
「おっ、万年Eランクのティル君。頑張ってるじゃねぇか」
後ろから苦手な人の声がかけられる。実力が無いので、いつまでも冒険者の中で最下位の『Eランク』にとどまっているということも事実なので、何も反論できない。まぁ軽口なので、軽〜く流しておくに越したことはないけれど。
「ゼルさんじゃないですか。お陰でスライム狩りだけはプロになりましたよ、ははは」
「おう、良かったな。これからも頑張れよ」
ゼルさんが向こうに去っていくのを見送ってから、再びスライム狩りに戻る。
この世界には魔物と呼ばれる動植物がおり、上から順にAランクからFランクまでに分かれている。また冒険者という人たちもおり、彼らは上から順にAランクからEランクまで分かれている。
僕はFランクの魔物の中でも特に弱いスライムしか倒せないので、万年冒険者としてはEランクのなのだ。
その後も夕方までずっとスライム狩りを続け、そして街に戻った。
「……はぁ……」
街の食堂に入って食事を頼み、そして僕は大きなため息をつく。ここ最近の悩み事はずっと『どうして鍛えてるのに強くならないの?』だ。昔から冒険者に憧れて、毎日欠かさず体を鍛えてきたのにも関わらず、同年代の冒険者たちには完全に実力差をつけられてしまっているのだ。才能というやつなのだろうか。
夕飯を食べ終わったので宿に戻り、ゴロンとベッドに横になる。今日もスライムを三十匹ほど倒したので疲れが溜まっていたのだろう。一瞬体が動きにくくなってしまった。そして急激に眠くなり、そのまま寝落ちしてしまった。
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別連載の『ところ変われば人変わる〜雑魚と言われて追放され、そのまま魔族の国へ放り出された魔法使いは最強の闇魔術師として魔王に仕える〜』も、良かったらどうぞ