第2話 刺客①
彩斗は力なく、夕焼けに染まった空の下を歩いていた。今に始まった事ではないが、敗北する気持ちに慣れる事はない。なら、そもそも彩斗も魔導兵器を使えばいいと思うが彩斗は頑なに魔導兵器を使おうとはしない理由があった。
(……確かに魔導兵器を使えば勝てるけど、俺は……)
数時間後、彩斗はスーパーの袋を片手に歩いてた。彩斗は一人暮らしの為、自分で自炊をしている。残念な事に家計に余裕がある訳ではないので、スーパーの割引きになる時間帯を狙いよく買い物をしている。今日は食糧が尽きた為に、買い物にきていた。
春になったばかりであり、夜になれば冷え込む寒さであり、彩斗は早めに家に帰ろうと早足で歩き始めた。
不意に夜とはいえ周りが随分と静まりかえっている事に疑問を覚えた。
(……静か過ぎるな。中心部よりは離れてはいるけど、こんなに静かな夜は初めてだな)
彩斗は不安に思っていると、不意に前から人が歩いてきた。彩斗は自分の気のせいかと思い、歩き始めたが、不意に前から来た人、老人に声を掛けられた。
「すいません。少しいいですか?」
「?はい。どうしました?」
「ええ、人を探しているんですが何でも、この辺りに住んでいると教えていただいたもので心辺りはありませんか?」
「人探しですか?力になりたいんですが、自分も長くここに住んでいないので力になれるかどうか……」
「名前だけでも聞き覚えないですか?名前は……黒金彩斗と言う少年なのですけど」
その瞬間、彩斗はその老人から距離を取った。
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