1の始り 東の国の弱き姫君
セントラス大陸の東部に存在する小国 イースト
小さいながらも豊富な鉱物資源のおかげで、そこそこ裕福な国である。
ただ山に囲まれているばかりか海にも面していないため、交通の便が非常に悪くその首都や周辺の村々から0は徐々に人が減っており、徐々に衰退に兆しを見せている。
そんな祖国を立て直すため、イーストの王女マルディトは、中央帝国セントラルにある、大学にしんがくすることを決意する。
早くから母と兄をなくし、失意の十代前半を過ごした彼女であったが、自らの祖国を守るために立ち上がった。
彼女とその付き添いの騎士と侍女、そして雇われた三人の傭兵たちは極東から中央向かい旅を始めた
マルディットたちの旅はそう 今ここから始まる!
「ではいってまいります 父上」
「おう、元気でやってくれよ! 玉には頼りをよこすんだぞ! ナレンもメルディもそれからガーディさんたちもうちの娘を頼むぜ!」
私の別れの挨拶に対して、かなりのオーバーリアクションで父上は周囲の方々を含むメンツに対して挨拶をしていた。
「はい! かしこまりました 必ず姫様を一人前の王女へと成長させるお手伝いをさせていただきます!」
「かしこまりました、姫様の身辺の世話は私が必ず。」
この国の少ない騎士であるナレンと、メルディの二人が父上の言葉に応え自らの決意を表明する
二人は私にとって気の置けない、数少ない家臣だ。
ナレンは以前隣国の王都で行き倒れているところを私の願いで国に引き入れ騎士として登用された男だ、詳しくは語らないがどうやら家庭の事情で行き倒れていたらしい。
メルディは幼馴染で小さいころはよく一緒に遊んでいた記憶もある、ただここ数年いきなり態度が冷たくなったそんな気もするけど・・・。
家族がもう父上しかいない私にとっては、二人の存在は欠かせないものとなっている、だから私は旅のお供に二人を選んだ、もっともナレンは自分から名乗り出てきたわけだけど。
「かしこまりました イーグニット王 過去の話とはいえ私も以前はこの国に身を置いていた身、かならずやこの依頼成し遂げます。 だよな? リィン ハーバード。」
「はい もちろんです」
「当然っす」
父上が雇った傭兵団のリーダーらしき人間 ガーディが父上の言葉に応じるとともに背後で出立の準備をしている二人の部下に声をかける。
馬の手入れをしている、長身の女性はリィン 馬車の中で荷物の確認をしている男性がハーバードという名前らしい、私は先日謁見の間で顔を合わせているが念のため頭の中で確認をした。
「では、参りましょう出発です。」
それぞれの返事を聞いたのち私は旅の開始の音頭をとる、ほかのメンバーは思い思いの返事をしつつ私を乗せた馬車は中央帝国の首都に向かって走り出した
それは私にとって とても長い長い旅の始まりだった。
そして私は知ることになる自分の中に宿る謎の力を
そして私は痛感することになる、自分の無力さを。