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「ねえ、聞いてる?」
「え、ごめん。なんの話だっけ…」
「だから、バスケ部の瑞希先輩のはなしだよ!!」
「あぁ、あの人気者の瑞希先輩のはなしか~」
「なに、その言いかた!」
ぼくは、はっきりいってまだ、恋を知らない…だって男の 子は単なる友達だもん!! ま、兄弟がみんな男の子だからってのもあるけど、でもや っぱり好きにはまだなれない…
ぼくにとっては、男の子といる方が楽しい!女の子なのに おかしいよね
でも、そんなことはまったく気にしない!
なんて、いってたのに…
ぼくには、4人の兄がいる。ぼくにとって、男の子といるのは当たり前でしかなかった。しかし、中学にはいって、それは少しずつ変わっていった…でも、やっぱり、男の子といる方が楽しかった。そんなある日、ぼくは噂のまとになっていた。その理由は、ぼくとある男の子が付き合ってるというものだった。その噂はすぐに消え、ぼくも忘れかけていた。
秋になり、新人戦前日、ぼくは靭帯の2本きれる寸前まで伸ばしてしまう、怪我をした。当然、試合には出れず、ベンチでの応援だった。
怪我をして1ヶ月がたった頃、学校では体育祭の練習が始まった。ぼくは一人、校庭の隅でそれをみてるだけだった…。そんなある日、一人だけぼくに話しかけてくれた。それは1時期、ぼくと噂になっていた佑月だった。
「梓、なにしてんの?」
「なにって言われても、見てるとしか答えられないんだけど…」
「そっかw みんなに、まざりたいんだろ、梓…」
佑月は、ぼくが一人でいるのを気にしてくれていたらしい…。この日から、佑月はぼくによく話しかけてくれるようになった。たまに、ぼくの荷物を持ってくれたりもした。
ぼくの足が治った頃、佑月は、膝を怪我してしまった。たいした怪我ではなかったらしいが、あまり思った通りのプレーはできていなかった。ぼくは、この前のお返しにと思い佑月のことを応援しようと頑張っていた…
月日が流れ、中2も終わりに近づいた頃ぼくはいつも通り、佑月と話をしていた。すると、靴箱の中に一通の手紙が入っていた…。そこには、「放課後、教室で待ってます」ということだけしかかいていなかった。ぼくは仕方なく、教室に戻った。するとそこには、亮瑛がいた。亮瑛はぼくの姿を見つけた瞬間、教室の端にいってしまった。
「なに、亮瑛!?」
「えっと、そのえっと…」亮瑛は、そういうと顔を真っ赤にしていた。と、おもっているうちに突然、「すき…」と言葉を発した…。ぼくは、一瞬、頭の中でパニックを起こした…。
「明日まで、待ってくれるかな…」
亮瑛は、コクりと頷き部活に、行ってしまった。ぼくは、必死に考えた。亮瑛は、たしかに悪いやつではないし、意外とかっこよかった。次の日、ぼくは、ついノリで「うん」と言ってしまった。すると亮瑛は、顔を真っ赤にして喜んでいた。2週間がたったころ、亮瑛からメールがきた。なにかも思い、みてみるとそれは、「別れよう」という一言だけのメールだった。ぼくは、つい泣いてしまった。今までにないくらいに泣き続けた…。
そんな時、佑月からいきなり電話がかかってきた。ぼくは、泣いたままで電話にでてしまった…。
「もっ、もし、もっし」
「梓、大丈夫か? 泣いてるだろ…」
「なんで、わっかったの…」
「わかるよ。てか、いつもの公園に来てはなそう。じゃ、またあとで…」
「あ…」
ツーっツー、ツー
電話が切れてしまった…。ぼくは、公園に向かった。行く途中で佑月に会った。佑月はぼくの話を真剣に聞いてくれた。ぼくは、自然と泣いてしまっていた。
「梓、こんなに辛かったんだな…。なんで、我慢してたんだよ!!俺にいってくれれば話くらい聞いてやったのに。」
そのときの佑月は、とってもかっこよかった。まるで、ヒーローに見えた。
ここから、ぼくの男の子に対しての気持ちが代わり始めたのだった…。