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チートな四人組がなにやら大暴れするそうですよ?  作者: 国広 仙戯


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《輪廻する歴史》 1




 大気が振動した。


 誰もが空を見上げ、そこに浮かぶ二体の異形を目の当たりにした。


 不思議と叫び声を上げる者はいなかった。


 人は、理解不能なものを見ると思考が停止し、つい魅入ってしまうのだ。


 突如として現れた、もう一つの太陽のような炎の塊と、まるで昆虫を統べる王のごとき存在感を持つ漆黒の生物。


 現実感のまるでない〝炎の騎士〟と〝昆虫王〟を、人々は声もなく見守っていた。


 何もせず、ただそこに在るだけだった〝炎の騎士〟と〝昆虫王〟が動くまで、いかほどの時間があっただろうか。永遠とも錯覚する時間、固唾を呑んで顔を上げていた人々は、その声を聞いた。


 音だったのかもしれない。


 空気を震わせ耳を劈くその波動は、一体いかなる修辞を懲らせば表現できるだろうか。


 高いようで低く、低いようで高く、腹を揺らす音のようでありながら聞く者の頭蓋内で直接響いているような、形容しがたい──それは鳴き声だった。


 例えばそれは、獣の唸り声のようにも聞こえた。例えばそれは、電子音の繰り返しのようにも聞こえた。電子機器のスピーカーが壊れたらこのような音を発するだろうか。それはただただ不快でしかない音だった。爪で脳を直接引っかかれているような、皮膚の下に何匹もの虫が這いずり回っているような、眼球の裏側がかぶれて痒いような、吐き気を覚えるほどの不快感をもよおす音だった。


 そんな雄叫びを上げながら〝炎の騎士〟が右腕を振り上げ、振り下ろした。人々が耳を塞ぎながら見た、騎士の姿をしているが故に違和感のないその行動は、想像以上の結果を生んだ。


 斬撃がそのまま烈火として飛んだ。太陽のプロミネンスさながらだった。その瞬間、それが本物の炎であるとは誰も信じていなかった。この期におよんでも、夢か幻か立体映像のどれかだと思っている者がほとんどだった。


 炎の斬撃がいくつもの建造物を押し潰し、爆発炎上するまでは。


『!?』


 爆音が連続し、空いっぱいに響いた。


 途端、そこら中で悲鳴と驚愕の声が相次いだ。


 ようやく空に浮かぶ化け物が夢でも幻でもなく、本物の脅威だということを生き残った人々は知ったのだ。


 〝昆虫王〟がただ生やしていただけだった羽根を動かした。向こうが透けて見えるほど薄い膜を、一斉に震わせる。


 それだけで〝昆虫王〟の真下の空間が、細かく裁断された。


 建物も人間もその他の生物も等しく切り刻まれた。一定間隔で綺麗に、まるで空間ごと切り裂かれたように美しい断面を見せて。風が吹くと、紙吹雪のようにばらばらに飛び散った。


 一般人は悲鳴を上げて逃げまどい、兵士達は怯えながらも武器を構えた。


 非現実的な戦いが始まる。


 テレビで流れていた空想的な戦いを、どこの誰が実際に演じることになると思うだろうか。ちっぽけな人間達が集まって、巨大な怪物へ立ち向かう。よくある話だ。そして物語の中で武器を持った人々は、強大すぎる怪物にあっけなく蹴散らされてしまう。


 現実もその通りだった。子供向け番組とはいえ、そこだけは嘘ではなかった。実際に人間は、自分たちより巨大で強力な存在には束になっても勝てないのだった。


 人間の百倍以上はあるだろう〝炎の騎士〟と〝昆虫王〟への攻撃は散発的でしかなかった。現場が軍部の中枢だけに、指揮系統は混乱を極めた。その上、兵士達のそもそもの任務は元帥府地区における救助活動だったのだ。まともな武装を用意しているわけがなかった。なおかつ、中には包囲網を突破していった天使二人に被害を受けた、満身創痍の部隊もある。状況を全て把握している指揮官はおらず、命令伝達はうまくいかず、戦列などつくりようがなかった。


 あっさり捻り潰された。


 〝炎の騎士〟の剣の一振り。〝昆虫王〟の羽ばたき。


 元帥府地区だけではなく、首都ガングニルが破壊され、燃え上がり、寸断されていく。


 突如、〝昆虫王〟の周りに建っていた背の高いビルが軒並み潰れていく。目に見えない空気のハンマーで殴られたような潰れ方だった。


 重力制御。通常の数百倍の重力を受けたビルは自重だけで崩壊し、煎餅のように潰れたのである。


 〝炎の騎士〟の咆哮が一段と高くなった。〝昆虫王〟の戦果に負けるものか、と叫んでいるかのようだった。天を刺した剣のシルエットから、炎が長く伸びた。濃密な炎によって三倍以上に伸張した刃が、勢いよく振り下ろされ、大地に突き刺さった。


 地面が内側から爆発した。


 ひび割れ、分断された大地が内部から弾け飛ぶ。巨大すぎるパズルのピースが炎と共に宙を舞った。文字通り天地がひっくり返った衝撃に、もはや街は街でなくなっていた。直撃を受けなかった建造物も全て、基盤を破壊されたために倒壊を余儀なくされた。


 地獄絵図だった。


 そんな中で、バトライザーとファーブルは呆然としていた。


 言葉もない。


 二人とも被害を避けるために必死に動いた後だった。


 バトライザーは〝フッフール〟と力場シールド、そして各部のブースターを活用して難を逃れていた。〝炎の騎士〟の最初の一撃で危険を悟ると、すぐさま北棟跡から退避し、元帥府地区から東へ離れた。今は逃げまどう人々を下に置き、とあるビルの屋上から破壊の限りを尽くす異形を見つめている。


 ファーブルは南へ逃れていた。バトライザーが動き出したのと同時に我を取り戻し、とにかく瞬間移動を繰り返して安全な場所へ身を移した。


 訳がわからなかった。彼女にしてみれば、バトライザーのレーザーに飲み込まれて死んだと思ったら生きていて、二人の少年の姿がない代わりに頭上の化け物がいたのである。


「……え? これってもしかして映画の撮影かなんか?」


 思わずそう呟いてしまったファーブルを責められる者はいないだろう。彼女の目の前に広がっている光景は、人類が初めて遭遇する場面だったのだから。


 巫桜院蜜姫のボディが安置されているホテルの屋上から、映画の撮影でも夢の続きでもない、ある意味では人間同士の戦争よりも悲惨なものを見つめる。


「……あんまり考えたくない話だけど……」


 独り言で前置きをしてから、ファーブルは考える。


 直感的には〝炎の騎士〟が昂で、〝昆虫王〟は純。そう考えるのはおかしいだろうか。


「いや、おかしいでしょ!? そんなの飛躍しすぎ──」


 ではないかもしれない。ファーブルは凍り付く。


 思い出されるのは、死を覚悟した瞬間のこと。あの時、レーザーの直撃を受けながら二人の少年の右手は輝いていなかっただろうか。本来なら消滅しているはずの光の中、彼らの肉体はどうなっていただろうか。


 ファーブルは全身から冷たい汗が出てくるのを感じた。


 途方もない話だ。だが目の前で暴れている二体の異形そのものが常識の範疇ではない。とにもかくにも、二人の少年の姿が消え、二体の化け物が現れた。その単純すぎる因果を飲み込まなければ何も始まらないだろう。


 とりあえず、まだ推測の域を出ないが、カーネルに報告しなければいけない。


 ファーブルは深呼吸を一つ。息を整え、意識を澄み渡らせる。カーネルは既にこの事態を知っていることだろう。自分は事実を聞き、指示を受けなければならない。


 瞼を閉じ、神経を集中させる。


 ──カーネル、聞こえる?


『……ええ、ファーブル。無事でしたか?』


 心の中で語りかけた瞬間、聞き慣れた声が頭に入ってきた。だがその響きはいつもと違って、少し狼狽気味だ。


 ──ごめん、見てたよね? 多分……っていうか絶対に輪廻歴史にない戦闘やっちゃったみたいなんだけど……


『ええ……大変です。ヴァイツェンでここまでの事件が起こるなんてあり得ませんし、【アレら】がこの時代に存在するなんて……』


 ──【アレ】って……やっぱり、あの化け物、よね?


『そうです。【アレ】は化け物というよりも……』


 ──って、この時代? どういうことよソレ?


 ファーブルの追求に、カーネルは即答しなかった。何かを溜め込むような沈黙を挟み、


『……【アレ】は兵器です。星体兵器であり、星石兵器です』


 ──いつの時代の? 古代文明とか?


 さらなる言及にカーネルは口を閉ざした。カーネルの意識から迷いや戸惑いを感じる。やがて、ファーブルの脳内に響いた言葉は、


『……未来の時代です』


 ──はあ?


 呆れてしまった。こんな時に冗談を飛ばすとは。カーネルらしい話だが、状況が状況だった。眉根を寄せたファーブルは怒気を籠めて声を送る。


 ──もしかして馬鹿にしてる?


『いいえ、違います。ファーブル、これは冗談でも嘘でもないのですよ。本当の話です。【アレ】はこの時代にあらざるべき兵器。本来なら、未来に誕生する力なのです』


 真摯な声だった。少なくともカーネルは嘘を言っていない、と確信できるほど。


 ファーブルは大きな溜息をつく。頭が痛くなってきた。なんとか理解しようと努めるが、うまく考えがまとまらない。


 ──つまり、どーゆーこと?


 諦めてカーネルに説明を求めた。カーネルは言葉を選びながら、それに応じる。


『……輪廻歴史の末期に開発される『星石』を核とする星体兵器……だと思われます。私の見た限りでは。それが何故、現代に存在するのかまではわかりません……ですが、これだけは確実です。私たちのあずかり知らぬ所で何かが起こっています。輪廻歴史を致命的に狂わせる、何かが』


 ──!?


 ファーブルは元帥府ビルのダクトにいた時のことを思い出した。あの時、自分は今のカーネルの言葉と同じ事を考えたのだ。当時はただの直感でしかなかったが、今は目の前にれっきとした証拠がある。空の向こうに見える二匹の怪物がそれだ。


 ──誰かが……ううん、もしかしたらあいつらが……


 脳裏に浮かぶのは、黒地に深紅をあしらった制服を纏った四人の少年だ。龍日の天使、つまりは神威天照帝の差し金だ。


『龍日の神威天照帝に確認した方が良いですね。あちらも現状に驚いているかも知れませんが……』


 ──でも、龍日の天帝が黒幕って可能性はどうなのよ? あいつら、天使よ? いや、正確には天使って確認した訳じゃないけど。


『それはあり得ません』


 断言したカーネルに、ファーブルは鼻白んだ。あまりにもはっきりした声だったので驚いたのだ。どうしてそう断言できるのか、と。


 ──どうしてよ?


『輪廻歴史において、神威天照帝がそのような行動をとるという事実はありません』


 きっぱりとした言い方だった。ファーブルにとっては不満の残る話だったが、輪廻歴史を持ち出されては何も言えない。それでも一つだけ言っておくことがある。


 ──輪廻歴史が狂ってきてるっていうのに、そんなの信用して良いの?


『いけません、ファーブル。その考えがいけないのです。そうやって疑うことこそが、輪廻歴史が狂う最大の要因なんですよ?』


 逆に説教されてしまった。ファーブルは目を閉じたまま苦虫を噛み潰したような顔をする。


 ──ごめん。それにしても未来の兵器って……アニメとか漫画みたいね。


『事実は小説よりも奇なり、と言います。正直な話、私も信じられません。現代の技術で開発できるようなモノでは決してありませんし、『遺産』にしては状態が良いですから……一体何がどうなっているのやら』


 『遺産』とは、何度も巡る輪廻歴史の中からこぼれ、現代に復活した物を指す。以前の輪廻歴史のどこかの時代の物が、輪廻歴史末期の滅びから逃れ、何かの手違いで発見されることが稀にあるのだ。そのほとんどが原型を留めておらず、実際に活用されることはまずない。カーネルによると、一巡前の世界でもいくつかの『遺産』が発見されていた、とのことだ。カーネルは過去を知り、未来を視る。そこに嘘はないとファーブルは信じている。


 ──にしても、あたしはどうしたらいい? ぶっちゃけ、あんなのどうしようもないんだけど。


『とりあえず放置しましょう。それが良策です。あなたもすぐに帰還してください』


 ──はい?


 あんまりな発言に、ファーブルは拍子抜けする。肩すかしを食らったような気分に、思わず口に出して叫ぶ。


「何よそれ!?」


『あの二機の星体兵器がO.B.Kまで来るならば、その時は私が全力で戦います。ですが、それ以外の場合においては手を出さない方が得策です。何にせよ、今すぐどうこうできる代物ではないんですよ、アレは』


 冷静というよりも、冷徹な声だった。無理もない。カーネルはその小さな肩に、O.B.Kに属する全ての人々を背負っているのだ。指導者として、時に非情な判断を下さなければならないこともあるだろう。それは良く理解している。理解しているつもりだ。


 しかし。


 ──ヴァイツェンの人達を見捨てるっていうの……?


『どうしようもないんです。わかってください、ファブリッツィア=テナルディエ』


 承伏の意志はなかった。カーネルは念を押すようにファーブルの本名を呼んだ。だが、それでも縦に振る首を少女は持ち合わせていなかった。


『ただでさえ不鮮明なことばかりなのです。より詳しく調べれば、あの二機をどうにかする手段も見つかるかもしれませんし──』


 なおも言葉を重ねるカーネルに、


 ──勝手にやらせてもらうわよ。


 とファーブルは言い切った。


『え?』


 ──勝手にやらせてもらう、って言ったのよ。放置するなんて、そんなのあたしの性分じゃないって事ぐらいわかってるでしょ? 何だったらホットライン切っても構わないわ。


『……ファーブル……』


 カーネルの吐く溜息には軽い困惑がある。だが、どんな声を出されてもファーブルには引くつもりはなかった。ファーブルもまた大きく息を吐き、


 ──ごめんね。でも、好きにさせて。お願い。大丈夫よ、危ないことはしないわ。住民の避難を手伝うとか、そういうことだけにしておくから。それに、ここで退いたらあのアンドロイドの子はどうするのよ。最低でも、あのオッサンから『星石』を取り戻すまでは帰れないわよ。


 心の声が直接届くテレパスだけに、決意の程は十分に伝わっただろう。


『……しかたありませんね。あなたはこうと決めたらなかなか意志を曲げない人ですから。いいですよ、好きにしてください。ただし──』


 ──無理、無茶、無謀しないこと、でしょ? 大丈夫だって。ほんっと、カーネルってお母さんみたいなんだから。


 ファーブルが笑ってそう言った途端だった。


『──お母さん?』


 カーネルの声が冷気を帯びた。


 ──へ?


『……あなたのためにと思って、取っておいた御菓子があるのですが、しばらく帰って来れらないのでしたら私が頂いても大丈夫みたいですね』


 ころころと鈴を転がすような声が逆に怖い響きになっていた。にこやかな仮面の下に鬼がいる。そんな気配を感じて、ファーブルはぞくりとした。


 ──カーネル? もしかして、怒った……?


『いえいえ。私を年寄り扱いする方にはそれなりのお灸を据えるという、ただそれだけのことですよ。楽しみにしておいてくださいね。あなたが帰ってくるまでには、みんなにある事ない事吹き込んでおきますので』


 音符付きで言われた台詞にファーブルは慌てて謝罪しようとした。


 ──か、カーネルぅ!? ちょい待ち! ず、ずるいわよそんなの! あ、謝るから! 謝るからそういうのはやめ


『それでは私も忙しい身なのでそろそろ切りますね。無事を祈っていますよそれじゃ』


 ──ちょっ、切るってあんた電話じゃないんだから……!? ってあ────────ッ! 切れたぁ────────ッ!


 もはやファーブルの声が聞こえていよういまいが、カーネルはウンともスンとも言わないだろう。ファーブルは悔しさに顔を歪めて天を仰ぐ。こうなるとカーネルは頑固だ。機嫌を直してもらうのは帰ってからになるだろう。


 幸い、まだホットラインは繋がっているようだった。なんだかんだ言いつつも、やっぱりカーネルは優しい、と再確認する。


 ファーブルは目を開き、再びヴァイツェンの空を視界に収めた。


 相も変わらずそこには未来の兵器らしい化け物二体が屹立して、それぞれの力を振るっている。街は破壊され、人々は騒然と逃げまどっていた。


「……ん?」


 と、化け物の斜め下から光の柱が伸びてきた。と思ったら凄まじい勢いで〝昆虫王〟に炸裂する。


 バトライザーのレーザーだろう。しかし、直撃を受けたというのに〝昆虫王〟は痛くも痒くもないという様子だった。化け物だけに、化け物じみた装甲と耐久力だった。


 カーネルはあの二体がO.B.Kの本拠地まで来たら戦うと言っていたが、正直、勝てる見込みは薄いと思う。ファーブルの私見だが、おそらくバトライザーが攻めてきてもかなり危険なはずだ。〝炎の騎士〟と〝昆虫王〟は生粋の化け物だが、今のバトライザーだってほとんど不死身の怪物だ。実際、かつてのカーネルが〝バルーダー〟に滅ぼされたという前例がある。


 ──だから、あたしが護るよ。何があっても。どんなことをしても。


 無視されるとわかっていながら、ファーブルはそうテレパスで語りかけた。


「──ぃよしっ!」


 ファーブルは自分の頬を両手で勢いよく叩いた。小気味よい音がして、目が覚めたような爽快感を得る。


 両肩にはっきりとした重圧を感じる。正直に言うと、全身を走るおののきが止められなかった。今この瞬間にも世界は変容しつつある。あるべき姿から外れていっているのだ。不確定の未来へ、世界中が飛び込んでいく。自分はそれをなんとかしなければならないメンバーの一人だ。世界を背負っている、とは過言だろうか。だが自分はこの重さを噛み締めながら動かなければならなかった。


「──やってやる。見てなさいよ、最後に笑うのはあたし達なんだから」


 ここではない遠く、この世のどこかで輪廻歴史を狂わせようと策謀しているものに宛てて、ファーブルは呟く。


 まずは住民の避難の手伝い。その次にバトライザーから『星石』を奪取する。それまでにあの化け物達がバトライザーを潰してくれればめっけものだ。


 自分の中での優先順位を決め、ファーブルは瞬間移動した。


 一度ぐらい部屋に戻っておけばよかった、と思うのは後の話だ。


 部屋にいったん戻り、巫桜院蜜姫のボディを別の場所へ移動させておけば良かった、と。


 よもや巫桜院蜜姫のボディが既に麟と浮に発見されているとは、彼女は思っていなかったのである。





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