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年も明けましたね。
今年もよろしくお願いします。
「……だぁぁぁっ!!!分かった!!行けばいいんだろ、行けば!!」
3分ほど揺すっていると、私の抵抗についに屈した結弦が、体を勢いよく起こして叫んだ。
「うん♪じゃあ、先に食堂で待ってるね♪」
まだ寝癖でぼさぼさの頭をしている結弦がふらふらと洗面所に向かっているのを確認して、先に食堂に向かうために部屋を出た。
「結弦~、こっち~!」
おぼんを持って通路の隅っこできょろきょろと挙動不審な結弦に、手を振って私の場所を知らせる。
それに気づくとお盆の上に乗っているサンドイッチとオレンジジュースを揺らしながら、私の正面の椅子に座った。
ずいぶんと軽食だけどお昼まで持つのかな?
「目が覚めた?」
「やっとな。ったく、休みの日ぐらいゆっくり寝かせろよ」
「そんな親父くさいこと言わないの。いつも部屋にこもってるんだからたまには太陽浴びないと!」
「こんな朝早くなくてもいいだろうがよ~……」
言って、大あくびを一つする。
そんな結弦から、食堂のおばちゃんたちが昼食の用意でばたばたと走り回っているカウンターの、上にあるデジタル時計に視線を移してみる。
10:45。
あれ、もう1時間したらお昼だけど?
よく考えたら今、朝ごはん食べて、お昼ごはん食べれるのかな?
あっ、でも結弦の燃費の悪さなら大丈夫だね。
「それで、どこ散歩する気だ?学園の敷地内はほとんど行っただろ?」
結弦の燃費の悪さを考えてたら、そんな質問が飛んできた。
もちろん、もう考えてるよ!
「北門から出た道をず~っと歩いていくと神社があるんだって!そこに行こ!」
「なんかあるのか?」
「神社を登ったところに阿倍晴明と芦屋道満のお墓があるんだって!」
「お前そういうの好きだな」
「だって面白そうじゃん」
私の言葉に、サンドイッチを頬張りながら微妙な顔をしている。
「分かったよ、行けばいいんだろ」
はぁ~、と諦めたようなため息をついて、ハムサンドをオレンジジュースと一緒に呑み込んだ結弦が、空になったお盆を持って立ち上がる。
そのままカウンターへ向かう背中を追うように、私もとてとてとついて行く。
「それじゃ、行くか」
「うん!」
さっきよりも少し強くなった日差しが降り注ぐ外へ、二人並んで歩き出した。