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//--------------詩織-----------------------------------------
ゴールデンウィーク初日。
空には雲一つなくて、見渡す限り淡い青色が続いてる。
降り注ぐ太陽の光が、ポカポカと気持ちいい。
時折吹く春風も爽やかな春の香りを運んで来る。
そんな絶好の散歩日和の空の下、私は足取り軽やかに男子寮に向かっていた。
行くのは、結弦の部屋。
これから散歩に誘いに行くところだ。
なんで直接会いに行くのかというと、たぶんまだ寝ているであろう結弦を起こすため。
結弦ってば休みの日は用事がなければお昼まで起きてこない。
こんなにいい天気なんだから、寝てばっかりじゃもったいないでしょ?
それにせっかくの連休なんだから、どこか遊びに行くところを探したかったりもする。とにかく、そんなこんなで結弦を起こすために、部屋に向かっていた。
女子寮と比べても色、形ともにあまり変わらない建物の男子寮に到着し、同じくあまり変わらない廊下を通って部屋の前へ。
コンッ、コンッ
一応ノックをしてみる。けど、予想通り中からの反応はない。
「はぁ~~……」
ちょっとため息をつきながら、合鍵――いつのまにか作っていたらしい。一応もらったけど、ばれたら絶対怒られる――を使って部屋へと入る。
扉を開けた瞬間、サーバーから発せられた生暖かい風が髪を揺らしながら体を通り抜けていった。
とりあえず、このこもった空気を入れ替えるために、カーテンを開けてベランダのドアを解放。
外から新鮮な空気が入ってくるのを背中で感じつつ、その春先にしてはやや冷たい空気を浴びて布団をさらにかぶりなおした結弦のもとに近寄る。
「結弦~!起きてよ~!」
そう言いながら布団ごとゆすってみるが効果なし。
布団を排除するために引っ張ってみたけど、結弦にがっちりロックされてそれもできなかった。
こうなったら強硬手段だ。
一つ息を吸って、呼吸を整える。
と、同時に右手を少し上に振り上げる。そして――
「たぁ!」
「うぎゃっ!?」
布団をかぶってるから、どこが頭でどこが胴体なのか分からなかったけど、私の突きはどうやらうまくお腹に決まったらしい。布団の下でうずくまってるのがなんとなく分かった。
「目が覚めた?」
「朝から何しやがる……」
布団をはがすとジャージ姿の結弦が、眠そうな目でこっちを睨んできた。
「だってほっとくとお昼まで起きてこないじゃん」
「休みなんだからいいだろ…。別に約束があるわけじゃないんだから」
「でもほら!いいお天気!絶好の散歩日和!」
「一人で行って来い。おやすみ」
「一緒に行こうよ~」
はがした布団をかぶりなおして、もう一回寝なおそうとする結弦を揺すって、抵抗を続けてみる。