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初めての方、初めまして!
前作から読んでくださってる方、お久しぶりです!
作者のKYOSです。
今回はサイバー攻撃、ハッキングなどをテーマにしています。
ない知識を総動員して分かりやすく書いていくので、どうかお楽しみください。
//--------------結弦-----------------------------------------
「えっ?詩織今年は家に帰らないの?」
「うん。今年のゴールデンウィークはうちの道場の門下生集めて合宿に行くんだって。両親もついて行くらしいし、家帰っても誰もいないしね」
「ふ~ん」
ゴールデンウィーク直前の金曜日の夜。
数多くの生徒が行きかう食堂で、いつものメンバーと夕食をとっていた。
話題はもっぱらゴールデンウィークの予定の話。
竜崎、北園はそれぞれ九州と東京の家に、神池は部活の合宿で大阪のほうに行くらしい。
「仲村はその合宿に行かないでいいのか?」
「行ったって門下生と違ってやることないもん。それに練習の邪魔しちゃ悪いでしょ?」
「そんなものなのか?」
「そんなもんだよ?」
詩織もいつもなら家に帰るけど、今の話を聞く限りじゃ今年は帰らないらしい。
俺はもとからおじさんの家に帰るつもりはないし、となるとやることがないんだよな、毎年。
そんじゃ今年は、詩織誘って日帰りでどこか遊びに行ってみるか。
「……づる。結弦」
「んっ?」
「何ぼ~っとしてんだ?」
おっと。
詩織とどこ行こうか考えていたら、箸が止まっていたらしい。
左隣に座っている神池が、俺を覗き込んできた。
……さりげなく、俺から死角になる場所で俺のとんかつを掴もうとしながら。
シュカッ!
何回かミスって、やっとつまみあげた神池の箸のとんかつを、素早く奪還。
「大丈夫。ちょっと考え事してたんだ」
「そ、そうか……。ならよかった……」
不敵な笑みを浮かべながら答えてやると、若干顔を引きつらせながら自分の席へと戻っていった。
くそっ。「何考えてたんだ?」、みたいなことを聞いてきたら成敗するチャンスだったんだが…。
まあ、いい。
代わりに竜崎が反撃してくれた。
「……くそ~。ばれないと思ったのに……って俺のステーキが半分になってる!?」
席に戻って自分の皿を見た神池が叫ぶ。
それにしても、あの短時間でよくもあんなに食べれたな、竜崎の奴。
「神池~。バカやってないでさっさと食べなさいよ~。もうみんな食べ終わったわよ~」
しばらく唖然としてた神池に、北園がテーブルに両肘をついて、暇そうに言う。
その声にハッとして周りを見渡して、慌てて箸を動かし始めた。
ものすごいハイペースだな。そんなに急いで食ってるとのど詰まるぞ。
「もごもご……んっ!?んっっ!!!」
やっぱり詰まらせた。
とりあえず神池のコップの中にラー油をたっぷりと入れておこう。おもしろそうだから。
そんな俺を、詩織がジト目で見てるような気がするが、気のせいだと信じとこう。
「ん~~っ!!」
ちょうどラー油をもとの位置に戻して証拠隠滅が終わった瞬間に、そのコップを神池が一気にあおる。
一気飲みなんて自殺行為でしょ。
「うぎゃ~~~!!!!」
8時を過ぎて、生徒もまばらな食堂で、神池の叫び声が轟いた。