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物理的な裁き

作者: 尚文産商堂
掲載日:2011/09/14

ずいぶん昔から、弁護士にあこがれていた。

だから、弁護士を夢に見て、法学部を卒業後、司法修習生を経て弁護士にまでなった。

今は、企業内弁護士として、会社の法務部に勤めている。

今日は、アメリカの企業を買収するということなので、その関連の法規を調べるように言われたので、早めに家に帰って六法全書やネットを調べながら報告書をしあげているところだ。


基本的に、思いつく法律を調べ、それから細則へと進んでいくため、かなり時間がかかってしまっている。

気付けば、0時を過ぎていた。

風呂上がりにいれたコーヒーも、わずかに熱を帯びている程度で冷めていた。

一人暮らしだから、家の中には、自分ひとりだけ。

だから、コーヒーも自分で持っていって電子レンジで温める必要があった。


ため息つきながらコーヒーを温め直していると、寝室から窓が割れる音がした。

この家は、10畳一部屋で、ちょうど部屋を二分するように厚手のカーテンを敷いていた。

ベランダ側は、洗濯物を干したりする所で、今自分がいるところが基本的に生活をするところとしている。寝る時にはさすがにカーテンを開けるが、それいがい、家にいる間はこのカーテンを開けることはない。

犯人は、光が洩れていないからここを無人と思い、入ってきたのだろう。

思わず武器になりそうなものを探すと、ピーっと電子レンジが温め終わった音を出した。

その瞬間、ピタリと物音は鳴りやみ、こちらの様子をうかがっていることが一発で分かる。

やるなら今しかないと、私は判断した。

まず、扉の鍵を開けておく。

それから目の前に入ってきたのはコップ半分ぐらいは言ったコーヒーと六法全書。

左手でコーヒーをもち、カーテンにすり寄る。

足元に六法を用意すると、右手でカーテンを開ける。

光が侵入者を照らし、目がくらんだようでそのまま部屋の真ん中で目を腕で覆っている。

そこにコーヒーをかけ、熱がっているところで六法を投げ込む。

摂動をしていたが、物理の法則どおりに放物線を描き、頭に角が当たった。

気を失ったようで、その場に崩れ落ちる犯人。

自分はぐったりして動けない犯人の手足をタオルで縛り、さらにその上に座った。

そして、近くにあった携帯電話で警察を呼ぶ。


10分後、開けておいた玄関扉から警官が3人入ってきて、自分の下で観念している侵入者を逮捕した。

罪状は建造物等損壊罪と住居侵入罪とされたようだ。

現行犯逮捕だったため、令状は発行されなかったようだ。


それから30分書けて、再び洗濯機を回しながら掃除をしていた。

警察からは、簡単に事情を聞かれただけで済んだのはよかった。

だが、仕事はまだ残っている。

自分はため息ついて、片づけが終わってからコーヒーを入れて再びパソコンを格闘するのを想像して、気がめいってきていた。

だから、そのまま布団を敷いて寝ることにする。

なに、締め切りはまだある。

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