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宿題

 エヌ氏には小さな悩みがある。もう勤労年数15年を迎えようとする会社勤めの日々のことでも、結婚生活10年を共にした妻への不満でもない。


 生まれて8才になる自分の息子のことだった。


 息子は夏休みという時期を満喫している。いや、満喫しすぎている。このままでは成績はどんどん下がってしまうだろう。小さい頃から、勉強する癖をつけておかないと将来、努力してもなかなか知識が定着しないと言うしなぁ。社会性や協調性が欠けるという説も・・・妻にも言われたっけ。あなたは子供に甘すぎる。俺としては子どもにのびのび育って欲しいんだけどな。


 だけど、この学歴の世の中、頭が良くないと不幸になる確率が高いしな。そろそろ父親の威厳とやらを見せてやろうか。そう、心を鬼にして厳しく・・・


 帰宅すると案の定は息子は勉強をしていない。エヌ氏は大きく息を吸い、そして、吐いた。

 「お前、勉強は今日やったのか。」

 「やってないよパパ。めんどくさいよ。」

 「宿題はおわったのか。」

 「・・・まだだよ。いいじゃん別にあと1週間くらい残っているよ。」

 バカヤロウと怒鳴ってエヌ氏は息子を叱りつける。

 「そうやってな、後回しにしたって何の解決にもならないんだ。何が残っているんだ。」

 「・・・自由研究だよ。」

 「今から始めなさい。」

 「でも、何やっていいか分からないよ・・・」


 息子の目には涙が浮かんでいる。エヌ氏の心はズキズキと傷んだが、自分にそんなじゃダメだ。息子をいい方向に導いてあげることこそ親の役目だ。

 「頑張ってみるんだ。なんだったら父さんが手伝ってやるぞ。」

 「・・・分かったよ。やればいいんでしょ、やれば。」

 「うん。えらいぞ。早速始めようか。」

 「パパも手伝ってよね・・・」

 勿論だ。と少し胸をはってエヌ氏は答える。


 こんな地球のどこにでもある家庭の風景。


 デルタ氏には小さな悩みがある。もう入隊して15年を迎えようとするシータ星軍人の日々のことでも、戦闘で命を落とした妻への悲しみでもない。


 生まれて8才になる自分の息子のことだった。


 息子は夏休みという時期を満喫している。いや、満喫しすぎている。このままでは成績はどんどん下がってしまうだろう。小さい頃から、任務をこなす癖をつけておかないと将来、努力すらなかなか出来ないと言うしなぁ。社会性や協調性が欠けるという説も・・・死んだ妻にも言われたっけ。あなたは子供に甘すぎる。俺としては子どもにのびのび育って欲しいんだけどな。


 だけど、この隣星のファートル星との戦闘が続くこのご時世、勇敢で立派な戦士でないと宇宙に浮くゴミのひとつになるのは必至だ。そろそろ父親の威厳とやらを見せてやろうか。そう、心を鬼にして厳しく・・・


 帰宅すると案の定は息子は自主訓練をしていない。デルタ氏は大きく息を吸い、そして、吐いた。

 「お前、訓練は今日やったのか。」

 「やってないよパパ。めんどくさいよ。」

 「任務はおわったのか。」

 「・・・まだだよ。いいじゃん別にあと1週間くらい残っているよ。」

 バカヤロウと怒鳴ってデルタ氏は息子を叱りつける。

 「そうやってな、後回しにしたって何の解決にもならないんだ。何が残っているんだ。」

 「・・・小惑星調査だよ。」

 「今から始めなさい。」

 「でも、何やっていいか分からないよ・・・」


 息子の目には涙が浮かんでいる。デルタ氏の心はズキズキと傷んだが、自分にそんなじゃダメだ。息子をいい方向に導いてあげることこそ親の役目だ。

 「頑張ってみるんだ。なんだったら父さんが手伝ってやるぞ。」

 「・・・分かったよ。やればいいんでしょ、やれば。」

 「うん。えらいぞ。早速始めるか。」

 「パパも手伝ってよね・・・」

 ちなみに、お前の目的の星はどのくらいのランクの星だ。とデール氏が聞くと、

 「文化レベル100段階中11。民族レベル100段階中4だよパパ。」

 「ずいぶんレベルの低い星だな。よく生き残っているもんだ。侵略難易度は。」

 「ええと・・・レベルは100段階中1だね。」

 デール氏は笑った。

 「ようし、お父さんと一緒に滅ぼしてみるか。」

 「ほんと!?」

 「ああ、星で他星侵略は奨励されているし、良い資源のある星かもな。丸一日かからないだろう。お前にもいい経験になる。なんて名前の星だい?」

 「地球だよ。パパ。」


 こんなシータ星のどこにでもある家庭の風景。

 頑張って投稿。俺も宿題やらなきゃ・・・

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