不老者の調査記録
不老者の共通点――
1. 身体的な共通点
| 項目 | 共通する特徴
| ------ | -----------------------------------------------------------------------------
| 老化 | 成熟期に入ると、外見上の老化がほぼ停止する
| 体温 | 平常時の体温が一般人より低い
| 心拍 | 心拍数が少なく、生命活動が緩やかになる
| 食事 | 過食期には異常な食欲を示すが、成熟期には水だけで生活できる
| 筋力 | 一般人と大差なく、特別な戦闘能力は持たない
| 傷 | 傷の治りは一般人と変わらない。致命傷を受ければ死亡する
| 身体の痕跡 | 舌の付け根に、薄い白色の輪状痕がある。過食期には濃く、成熟期には目立たなくなる |
最後の輪状痕は、研究者たちが共通点を見つけるきっかけになる。成熟期の不老者が社会に紛れていても、検査をすれば見つかる可能性がある。
2. 発症前の共通点
不老者の経歴を調査すると、発症前の行動にも奇妙な一致が見つかる。
* 発症の数週間前から、水を飲む量がわずかに増えている。
* その頃、湿った土や金属のような匂いを感じたと証言する者がいる。
* 過食期に入る直前、数日間の記憶が曖昧になっている。
* 発症前に暮らしていた土地や身分、年齢には、明確な共通点がない。
ただし、これらは全員に当てはまるわけではありません。特に記憶の欠落については、不老者本人の証言だけでは確証が得られない状態。
この曖昧さがあり、研究者たちが発症の条件について仮説を立てても、なかなか結論にたどり着けないのが現状。
3. 過食期と成熟期の関係
不老者は病気によって変質した人間というより、体内に未知の共生体を宿した人間
共生体とは、異なる生物が互いに影響を与えながら生きる関係のこと。
第一段階:過食期
共生体が体内で急激に増殖し、人間の身体を作り変える。そのため、通常では考えられない量の食事を必要とする。身体的な変化だけでなく、衝動的な行動や判断力の低下も見られる。
第二段階:成熟期
共生体と宿主の身体が安定する。代謝が極端に低下し、老化が止まり、食事を必要としなくなる。水分の摂取だけで生命活動を維持できるようになるが、筋力が増すわけではない。
実際には病気が治ったのではなく、人体にとって危険な変質の時期が終わっただけ。
研究者たちは成熟期の不老者しか詳しく調べていないため、過食期に何が起きているのかを十分に理解できていない。
4.出現要件
帝国タリスが全土を掌握し、タリスへの納税項目に羊毛、小麦を加わった。収税人が、それらを納めた木箱を回収し、荷馬車でタリスへ輸送することになった。この取り組みが始まってから、不老者が現れた。
乾燥した羊毛同士、あるいは羊毛と木箱が揺れる荷馬車内で激しく擦れ合うことで、箱の内部は高温多湿、かつ強力な静電気が発生する特殊な環境が生まれ、微生物や胞子が活性化・突発変異したと考えられる。
重い小麦箱と軽い羊毛箱の無理な積載や、長距離輸送の振動により、木箱に亀裂が入ったり密閉性が損なわれたりし、胞子を収税人や仕分け業者が胞子を吸い込み、発症に至ったと考えられる。
胞子は鼻腔に寄生し、飛沫感染を促す。




