第五話 イカサマとお金の話
旅人の出入りが多く、かつ警邏隊の詰め所が見えて、その上詰所から近過ぎないギリギリの位置。
そこに座り込んだ僕は石畳の凹凸にはめ込むように、折り畳み式の小さな台を置いた。
町と町を移動するにはある程度の金が要る。
しかも今回の移動は帝国と仲が悪い連邦への移動だ。
国境ではかなりの金額を吹っ掛けられるらしい。
僕たちは一応お尋ね者なので正規の方法で国境を通るわけではない。
だからその金はいらないと言えばいらないのだが。
こっそり国境を通るのにもやっぱりお金はかかるのである。なんとも世知辛いものだ。
僕は口の中で口上を転がしつつ、手を開いたり閉じたりする。
と、言うわけでこいつの出番だ。
何の変哲のない3枚のカードをひっくり返して混ぜ合わせる。あたりのカードを当てたら掛け金が倍に!というお手軽に誰でも金が儲けられそうなゲームである。
まあ、つまるところイカサマなのだが。
「あー惜しかったですね!」
「ちょっと・・・ずれちゃったみたいです」
「もう一回やってみます?次はきっと当たりますよ!」
僕はカードを全て裏向きにした後、首をかしげながら帰っていく男の背中を見送った。
今日はなかなかに調子がいい。
手のひらの小さな袋からは心地よい重さがする。
僕は少しその感触を楽しんだ後、3枚のカードをさっとそろえてカバンにそっと入れる。
台をたたんでその横に突っ込み、金が入った袋を首にかけて服の中に入れる。
よし、逃げよう。
僕は警邏隊が見回りに来る前にさっさと逃げだした。




