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第6のヒロイン 『美樹川愛』

謎の金髪男はコーヒー片手に皇居周辺のマンションから国会議事堂や国立劇場などを一望していた。

 謎の金髪男「さて、開発したAIまどかにーーそろそろ動いてもらうか。」

 静かにコーヒーを机に置き、パソコンの画面には無機質な英数字が流れる。

男の子はキーボードに手をかけ、黙々とコードを書き換え始めた。

 謎の金髪男「Code:早川桂人 プログラムcode:411

綾瀬まどか・ダブルデートモード・・・203起動」

淡々と、しかし確実に...........

男は、ゲームのプログラムそのものを塗り替えていく。

 謎の金髪男「恋太郎・・・さぁ。お前はどう動く?」

また、一口、コーヒーをすする。

口元には不気味な笑みが広がった。

男は、再び窓際へと歩み寄る。

その背後には、きらめく夜景と、国会議事堂のシルエット。

金髪の謎の男「ときめきクロニクルーーーーーAIまどか

創造主は、この俺だ。ふふっ。たのしみだねぇ。」

静かに、しかし、確実に、物語の歯車は回り始める。

恋太郎の運命やいかにーー

 

 

 恋太郎は自宅の自室に帰った。

 恋太郎「いやぁ。サッカー疲れたなぁ。運動不足だったからなぁ。」

 全身筋肉痛を感じながらも、思い出すのはーー次

 恋太郎「綾瀬さんと空村さんと2人で帰れて楽しかったな。」 

2人のヒロインが、恋太郎に微笑みかける光景それはまさに夢のようなひとときだった。

しかし、恋太郎は、気づいていなかった。

 ーーー空村咲の笑顔はプログラム通りのものーーー綾瀬まどかの笑顔だけが、本物だったことを。

恋太郎「........そういえば。綾瀬さんの笑顔は自然だったけど、空村さんは少しぎこちなかったような...............」

そう首を傾げつつも、恋太郎は机の上のスマホを手に取り、AIまどかを起動する。

恋太郎「今日の予定は?」

AIまどか「今日は、綾瀬まどかさんとデートの日です。」

恋太郎「あっ。そうだっけ?よし。いくか。」

全身ユニクローーー感動パンツ、ユニクロの長袖Tシャツ、アウターまでそろっている。

だが彼は知らない。このゲーム世界では、服装もヒロインの好感度に影響を与えることを..............

 歯を磨き、そして玄関へ向かう。

 恋太郎「よし‼️行こう。」

その瞬間ーーー「ピンポーン」とチャイムが鳴った。

宅配便かと思いドアを開けると、そこには綾瀬まどかが立っていた。

綾瀬まどか「恋太郎くん。・・・・」

可憐な笑顔を浮かべて手を振るまどか。

綾瀬まどか「せっかく、だから一緒に行こうと思って..........」

だが綾瀬まどかは、彼の服装を見て言葉を失う。全身ユニクローー本来なら減点対象のはずだった。

綾瀬まどか(なんで....こんなにときめいているの?)

綾瀬まどかの胸の高鳴りは止まらない。それはもう、プログラムを超えた「本物の感情」だった。

恋太郎「行こう。綾瀬さん。」

その一言に、顔を赤らめ、ただ頷くしかなかった。

だが、家を出た二人の前に見知らぬ男女が現れた。

男「おっす。恋太郎。元気か?」

恋太郎「.........誰?」

早川佳人「おいおい。わすれたのか?クラスメートの早川佳人だよ!」


困惑する恋太郎。まどかは、冷静に状況を分析していた。

綾瀬まどか(嘘...............佳人くんは、今回入学式で、出現していない。今出てくるなんて…)

隣の少女にも見覚えがあった..........

綾瀬まどか(あれは、中学の時の同級生、美樹川愛さん…これは…)

ゲーム信仰とは明らかに異なる展開に、まどかの中で警鐘がなるだが、プログラムには逆らえない…

綾瀬まどか「ミキガワアイさんハワタシノチュウガクセイノドウキュウセイナノ」

言いたくない言葉が口をついて出る。恋太郎のライバルヒロインを自ら紹介するなど胸が苦しくてたまらない。

綾瀬まどか(こんなこと、したくない!)

だが、頭の中にに金髪の男の声が響いた。


・・・キミハボクノニンギョウダヨ・・・・


綾瀬まどかは目から生気が消える。人形のように感情を失い、動き出す。


綾瀬まどか「ワタシハ4ニンデタノシクデートガシタイナ............。」

恋太郎「バカなっ!!どうしたんだ。まどか...............」

恋太郎の叫びもまどかには届かない。


遊園地。ダブルデートが始まる。

まどかは、人形のような微笑みを浮かべ、美樹川愛は緊張しながらも恋太郎を意識し始めていた。


恋太郎「僕は綾瀬まどかさんと観覧車に乗りたい」

それは普通ならば選ばない選択肢。

綾瀬まどか「ウン。ノリマショウ。イッショニ............」

まるで機械のような返答。


観覧車の中で違和感に気づく恋太郎。

恋太郎「なあ。君らしくない...............君はそんな娘じゃないはずだ。」

恋太郎は、まどかの肩を揺さぶる。

恋太郎「戻ってきてくれーーーーーっ!!綾瀬まどかーーーーーーっ!!」

その瞬間、まどかの目に光が戻る。

綾瀬まどか「ごめんね。恋太郎君。」

涙ぐむ恋太郎。ふたりは手を取り合う。

恋太郎「...........このゲームを変えよう。僕と一緒に...............」

綾瀬まどか「うん。やろう。」

ふたりは固く誓い、観覧車を下りた。

『ときめきクロニクル』に対する、反逆の物語が、今始まる。





 金髪の謎の男「ふっ。ダブルデートも終わったようだ。恋太郎の行動は相変わらずだ。ゲームの仕組みも知らんらしい。」

 金髪の謎の男は、エスプレッソマシンに移動し、カップを置いてボタンを押す。香ばしい香りとともに濃厚なエスプレッソが注がれ、満杯になったグラスを手にソファへ移動する。

 金髪の謎の男「ふつうは、遊園地のダブルデートは、爆弾回避のために、ヒロインをローテーションする。それが正解。なのに恋太郎は...............バカみたいに、綾瀬まどか一択。あの貧弱なパラメーターで...........考えられん。」

 エスプレッソを飲み干し、グラスを机の上に置く、半蔵門のタワーマンション。

その窓から国会議事堂を見下ろし、静かに呟いた。

 金髪の謎の男「さすが愛之助の息子といったところか...............あいつも、一途だったからなぁ」

彼は、再びパソコンの前に座る。手は迷いなく、キーボードをたたき始める。

 金髪の謎の男「早川佳人を登場させたということは..........次はこいつだな。少し早いが...............もう設定も無視しよう。本来は違うが...............」

その手が打ち込むコード。

謎の金髪男「プログラム8-3で。code611。そしてmode:「姉」っと。」

『姉』と入力した瞬間、画面の奥で何かが静かに始動する。

「俺が好きなのは妹よりもしっとりとしたお姉さん。...............またかき乱されるなぁ。恋太郎。

お互い楽しみだな。........」

謎の金髪男は画面の前で薄く笑った。

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