僕の君8
みなと「なんだ。こっちの掲示板か。気付いてたなら言ってくれよ。」
さつき「ごめん。じゃなくて。だって、この顔がキモすぎて言ってた事に気が付かなかったんだもん。」
みなと「なーに言ってんだか。さくら、そっちの掲示板は施設内迷子のお知らせだ。依頼書はこっち。」
さくら「え!?うそ!?いや!知ってたし。」
…
光輝くこの町には大きいものから、小さいものまで色んな依頼が舞い込んでくる。
さくら「最低ランクから!?そんなの信じられない。」
さくらは受付のお爺さんに前のめりになって抗議した。
魔法を使えるのだから、少なくとも中位のランクだというのだ。
「だからの。お嬢ちゃん。特別な推薦、功績が無い限り、誰しも最低ランクからの出発になるのじゃよ。安全の為じゃ。分かってくれよ。」
みなと「なぁ。お爺さんもこう言ってるんだから、素直に簡単な依頼からコツコツとやっていこうぜ。」
みなとはさくらの肩をポンと触った。
だが、さくらはそれに気付きもせずに、更に前のめりになった。
みなとの手が肩から離れた。
その後ろ姿は何だかあぶなかっしい。
さくらがお爺さんにごしょごしょと話すと。
「わかった。今回だけは特別に、中位のクエストを許そう。じゃが、このクエストを受けてもらう。場所は比較的ここから近いから、いざとなったら逃げてこれるだろうて。」
さくら「ホントー!ありがとう。お爺ちゃん!ヤッター!」
みなとは信じられないように目を見開いてさくらを見た。
みなと「脅したのか…」
さくら「ノーノー。こっちこっち。」
さくらは腕を組んだ。その左手は親指と人差し指以外開いていた。
さつき「さくらお姉ちゃんは、たまにびっくりするほど、正直者だよね。」
さくら「えっ…」
みなと「誉めてんだよ。喜べ。」
さくら「いや、うん…うん…ホント?」
受付けのお爺さんから受け取った依頼書の内容
依頼者「家主」
依頼内容「誰もいないはずの物置きから音が鳴り、確認した所異形を確認。今のところ人を襲っていないが、処理して欲しい」
さくら「被害がないから、簡単な依頼のようだね。」
さつき「でも、異形だよ。危ないよ。もっと簡単な依頼にしようよ―?」
みなと「俺は行かないぞ。そんな危険な依頼。」
みなとは前のめりでそう言った。腕を組んで、さくらを横目でにらんでいる。
さくら「当然よ。魔法も使えないあんたがいたって足手まといになるだけ。あたしだけで十分!」
みなと「はっ!そういうのフラグっていうんだぞ。」
みなとは笑った