僕の君7
昔。ピンク色のカエルを見つけたんだ。あまりに珍しくて、嬉しくて大喜びした。友達に自慢したくて見せたら、僕にも青色のカブトムシがいるって次の日持ってきてたっけな。でも段々絵の具が抜けてきて結局普通のカブトムシに戻ったんだよなぁ。
あいつは今元気かな。
みなと「ランプ。見せてくれないか。」
「すまねぇなぁ。ありがとよ。」
みなとの視線がおっさんからランプに移り、両手でランプを持った瞬間、おっさんは思い切り振りかぶって下段蹴りをみなとの脛に喰らわせた。
しかし、おっさんが蹴ったと思ったのは脛ではなく、ランプだった。ランプの硝子が周辺に散らばった。
みなと「八つ当たりかい?何てな。」
みなとは、後ろからおっさんの耳元に囁いた。
膝裏を蹴り、上半身が崩れ、首を締められた。
みなと「殺しはしない。お前のようなやつはごまとといる。」
おっさんは視界が明るくなり、体がゆっくりと内側から温かくなり、気を失った。
完璧なチョークスリーパーが、見事に決まった。
みなと「…戻るか。」
雑草を踏み鳴らしてキャンピングカーに戻る。暗闇の中よりも更に黒い瞳で歩くみなとは言い訳を考えていた。
キャンピングカーに足を踏み込むとさくらの声が聞こえた
さくら「どうだった?」
みなと「気のせいだ。壊れたランプだけあった。あと、緑色のカエルだけ。」
さくら「普通のカエルじゃん。」
みなと「うん。」
みなとは子供のようにうなずいた。
さくら「なんだその返事」
ブルルルル…
エンジンの音がなる
また車は暗闇の中を走る。
目指すは冒険家集う所
「暗闇と光の狭間」
近付くにつれて、治安は少しずつよくなる。
さくら達がいた所は治安が悪い。
光を売り歩くには丁度いい場所かもしれないが、冒険家として活動するには、いささか危険だ。
さつき(私、私見ちゃったんだよね。みなとの真っ暗な瞳。何かあったのかな?いや、何もないよね。そう言ってたもんね。うわぁ!だんだん明るくなってきた。商店街よりキレイなんじゃないのかな?すごい!)
そこは暗闇から生まれた問題が集う所。
だが、暗闇がそこにはない。
光があるから、ここには闇が集まれる。
そして眩い光に闇は消し去られる。
「ようこそ!ここは暗闇と光の狭間の場。テラジック!冒険の依頼は右の掲示板へ。」
「ようこそ!ここは暗闇と光の…」
何度も同じ事を繰り返し、しゃべるロボットを右目に一行は左の掲示板にある冒険依頼書を見ていた。
さつき「なんか。右の微妙に人間に似てるロボットがきもうるさいんですけど。」