僕の君39
さくら「ねぇ。私ね時々思うの。私が見ている物や人は実はそこには無いんじゃないかなって。こうやって旅をしているように見えてるだけで、本当は精神病院で真っ白な壁に向かってひとりごとを永遠と呟いている患者なんじゃないかって。そう思うと、何も信じれなくなって、本当に怖いの。こういう時ってどうすればいいのかしら…」
さくらは、虚しそうにみなとに言った。
みなと「俺はそんなこと考えた事もないが、怖くていいんじゃないか?怖がるとは疑うこと。疑わない奴は騙される。だから現実を怖がってる、現実を疑ってるさくらはきっと世界には騙されないってことだろうから。」
さくら「はぁ…だめね。私はいつもそう。こうやってベッドに入って、さぁ寝るぞってなるといつもこうやってどうしようもなく難しいことを考えてしまう。だけど、今日はみなとの答えにも一理あると納得したわ。魔法を使えないみなとにしてはやるじゃん。有難う…」
みなと「あぁ。正しい感謝の仕方だな。」
時間が流れる。
その間何が起きているか3人は知る由もない。
きっとこの何も起きていない、暗闇に覆われた世界を眺めていても詰まらないだろう。
それでもさくらの眠っているときの顔は、微笑んでいた。
長い道のりを辿り、ゆうじの基本的な授業が終わった頃、ようやく魔法連 本部に着いた
そこには大正ロマン風な一階建の建物が横綱のように、居座っていた。
3人が車から降りると若い男性が一人立っていた
「ようこそ、いらっしゃいました。魔法連 副長 トマリと言います。」
ゆうじ「お疲れ様。トマリ。わしの留守の間、何も無かったか?」
トマリ「上司ぶるのはよしてください。ここに居ないことの方が多いじゃないですか。謝罪を要求します。」
ゆうじ「すみませんでした。」
ゆうじは慣れたような仕草と口調で謝罪した。
トマリ「さて、戯れは此の位にして、サクラさん、ミナトさん。話は伺っています。さぁこちらへ。」
トマリはユウジの前に出て手を丁寧に進行方向へ向け案内を始めた。
トマリ「大まかなことはユウジから聞いていると思いますが、改めてこの本部についてご説明致します。ここは公闇の摘発、及び異形の退治を専門にした、光の魔法に優れた魔法使いが集った組織です。また、未来の魔法連を担う魔法使いを育てる機関でもあります。今回、お二人にはその教育を受けてもらいます。ですが、お二人は重要人物であります。従って、特別対応となり、主に私、たまにユウジ会長が指南を行います。ということで、宜しくお願い致します。」




