僕の君38
みなとはキャンピングカーの中からフライパンとガスコンロを取り出してきた
その後に続いて、さくらが大きな袋をサンタクロースみたいに持ってきた。
ゆうじ「2人とも下準備が手慣れておるのぉ。」
さくら、みなと「「え?そう?」」
みなと「あ、さくら。キッチンから油とってきて。」
さくら「うぃー。」
みなと「ゆうじさんは、座ってて。」
ゆうじ「おぅ。悪いのぉ。」
「かちちつちちちっ」
「かちちちちちっ!ボッ!」
みなとはフライパンをガスコンロに乗せ火を着けた。
油をフライパンにしいた。
フライパンの端からパチパチと油の泡が沸き上がっている。
黒いフライパンが薄黄色の油を弾いている。流れ星が降っているような線香花火のような光景だ。
みなとは大きな袋から衣まみれになった鶏肉を取り出した。
フライパンに運ぶ途中、白い衣がパラパラと零れ落ちた。
「じゅわあああぁぁぁ」
油に浸かる部分から徐々に白い鶏肉が茶色に染まっていく。
鶏肉を纏うには多すぎた衣が細く、薄く固まっていく。
茶色く染まっていく部分から油が飛んでいる。
ゆうじ「ゴクッ!」
ゆうじは唾を大きく飲み込んだ。
さくら「みなと。そろそろじゃない?」
みなと「いや!待て。落ち着け!もう少しだ。」
「じゅわぁぁぁぁ」
油の音が少し小さくなった時、みなとは茶色くなったそれを油から引き上げ、大きな更に広げたキッチングペーパーの上に置いた。
みなと「できあがりだ…」
みなとは目を薄くして衣の色をしっかりと見ながら言った。
いつの間にかさくらが真っ白なご飯を茶碗に入れて、持ってきた。
さくら「お待ちどうさま。」
白い湯気が真っ白なご飯から昇っている。
ひいた油の水面に写ったご飯の色は薄い茶色いに染まった。
さくら「じゃあ。いただきます!」
ゆうじ、みなと「「いただきまーす!」」
さくらは所々凹んでいる部分や隅が濃茶色になった唐揚げを箸で持ち上げ、口の中に運んだ。
「ザクッ…ザクザク… パリッ…パラパラパラ」
さくら(ふむ…歯ごたえ、旨味、音。申し分ない。80点ね。)
さくらは唐揚げが口の中に残った状態で更に口の中に真っ白でホカホカの湯気をあげている白米を運んだ。
「モチ、ザクザク、モチモチ。ザク。」
みなと「どうだ?」
さくら「うん!旨い!旨い!」
さくらは次から次へと唐揚げを口に運んでは、白米を貪った。
ゆうじ「いい食べっぷりじゃわい!若いっていいのぉ~。わしはそんなに速く食べれんわい!ほっほっほっほっ!」
みなと「ゆっくり食べてくださいね。」
みなとは食べながらそう言った。




