僕の君36
さつき「魔法連は世界中に存在し、その数は私達を遥かに上回る。だからまともにやり合えば勝ち目はない。だが奴らは私達の数、構成、力を知らない。今まで通り私達は闇に紛れて、静かに作戦を遂行しよう。光珠は世界中に散らばって居場所は誰にも知られていない。魔法連が今までずっと探しているが、いまだ2つしか見つけられないほどだ。」
寒雨「あの…それ…どうやって見つけるんですか?…」
さつき「大丈夫だよ。光珠は光を漏らさないように、闇に包まれて存在してる。私は魔法連から奪った光珠を手にして一度その闇に触れて闇の記憶を覚えている。だから、私自体が光珠の探知機ってこと!じゃーん!」
さつきは両手を上げて万歳した。
さつき「ハッハッハッハッハッ!笑えるじゃないか!!魔法連が喉から手が出るほど欲しがっている光珠がこの手の内だ!全く皮肉だ!」
宴会場が薄ら笑いに包まれた。その笑い声は嘲るような卑下するような不気味な笑い声だった。
糸雨「ワクワクしてきたね!」
白雨「ねー!魔法連コテンパンにしようね!」
糸雨「そっち!?」
白雨「え!?違うの!?」
噛み合っているようで噛み合っていない2人の会話はいつも通りだ。
さつきの後ろでその様子を見てクスクスと笑っているしぐれの声がさつきの耳に入ると、少しさつきは幸せそうに口角を上げて微笑んだ。
さつき「さあ!次の光珠を取りに行くよ!」
椅子から勢いよく立ち上がったさつきは薄く尖った氷を突き刺したような声色でそう言った。
さくら「嘘みたい!」
さくらの言う通り嘘みたいに高い灯台に登った4人は町を見下ろしていた。
ゆうじと町長は警備を突破された方を向き、話していた。
ゆうじ「全く、堪らんのぉ」
町長「えぇ。まったく…」
5秒で走り抜けるにはあまりにも広大すぎる第一エリア。
第二エリアの1人で突破するにはあまりにも強大なバリア。
第三エリアの避けるにはあまりにも多く、複雑なレーザーの巣
ゆうじ「あの少年。結構強かったのか。捕まえれば良かったなー」
ゆうじは子供が友達と遊んだ後、別れる時のさよならみたいな風に言った
みなと以外の3人はコーヒーを飲みながら強い風が吹く灯台から町の景色を眺めていた。
流れる風は会話を遮るほど強いが、4人の吐く息は白くなかった。
さくら「寒いところで飲む暖かいコーヒーは美味しいね。」
みなと「俺はコーヒーは飲めない。」
さくら「じゃあ、その茶色い飲み物は何?」
みなと「ココアだ…」
さくら(あ、そうだった。コーヒー飲めないんだった)
さくら「美味しいよね。ココア。」




