僕の君31 敵の正体と世界の正体
2人が段ボールを片付けている中、ゆうじは割れた窓から街の景色を見ていた。
藍、緑、赤、
色とりどりの光が飛び交いその中を人々が行き交う。
この大勢の人が暮らす街を闇が覆い尽くしたのだ。
払わなければ、この街は暗黒街となっていただろう。
そうすればここに住む人々はどうなっていたかなど、考えたくもない。
ゆうじ(この要塞都市の警備を真正面から意図も容易く突破か…それほど本気ということか、闇の支配者は。)
ゆうじは振り返り、2人に話しかけた。
ゆうじ「君達に話さないといけないな。さくらくんがなぜ狙われているのか。何者に狙われているのか。奴らの正体を」
2人は動かしている手を止めて、椅子に座ってゆうじの話しを聞いた。
今から約2ヶ月前、ある物が魔法連合会から盗まれた。
それは遥か昔、世界がまだ暗闇に覆われる前に作られたとされる光が込められた球、光珠。
誰が作ったのか。なんの為に作ったのか。それすら解明されていない。
ただ石に彫られた文字だけが語り継がれていた。
「私は光の源を13個の珠に分けた。私に会いたかったら全て集めよ。そうすれば、世界は再び光を取り戻す。私は信じていつまでも待っている。」
その文字は風化し、所々読めなくなるほど昔に彫られた
これがただの伝説なのか。それとも真実なのか。最後の言葉が何を意味しているのか。分からない。
だが、長い歴史の中でこれらの珠は絶大な影響力を持っていた。
時には戦争の種にもなりえた。
この街に入る時に様々な魔法兵器を見たと思うが、それは光珠を巡った戦争の名残なんだ。
さくら みなと「「そうなんだ!?」」
ほほほ。すまん。話しを戻そう
その光珠じゃが。魔法連合会には3つが保管されていた。
その内1つを盗んだのが、おそらくさっきの少年と闇の支配者だろ。
あの速度と複数人の協力者が居れば盗めるかもしれん。
まぁ、わしには及ばないがの。
さくらとみなとは少し嘲笑って、視線をゆうじに送った。
だが、ゆうじは全く気にせず話しを続けた。
彼らはこう呼ばれている。
雨宮
現在はさつきという女が組織のトップだ。
さくら「さつきって!まさか!」
ゆうじ「あぁ、どうやら君達と一緒に受付けに来ていたあの少女だったようだ。まさか、魔力を失い子供の姿になっていたとは思いもしなかった。」
みなと「怪しいとは思っていたが、まさか…そんな人物とは…」
彼女の目的は至ってシンプルで最悪なものだ。
この世界から光を跡形もなく消すことだ。
さくら「どうして!あんないい子が!」
理由は分からないが、そんなことが実現すれば、世界は終わる
みなと「でもそんなの不可能なはずだ。いくら魔力が強いからといって…」
ゆうじ「もちろん不可能だった。君が現れるまでは。さくらくん」




