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僕の君  作者: そよかぜ
29/45

僕の君29

ゆうじ「これが魔法というものだ」

明るかった街は霧のような暗闇に覆われ、光が遮られていた。

管制塔

「何が起きているんだ…この街を全て暗闇で覆い尽くすなど、闇の支配者しか出来ない芸当のはずだ!それだけではない!この街1つ分の魔力にも匹敵する莫大な魔力の塊…まさかあの方が。」


ゆうじ「闇を払い。光をもたらせ。」

光の輪がゆうじを中心に回り初め、どんどん加速していく。

横並びになっていた輪の直径がどんどん大きくなっていく。

膨張を終えた光の輪は街の端まで届いたところで止まった。

だが、回転は止まらない。光の輪は横並びになったまま高速で回転していた。


さくら(闇の霧のせいで、何も見えないけど分かる。感じる。頭上に何か強力な光魔法がある。)


高速で回転していた光の輪は突然回転を止めた。

その時、横並びになっていた輪は回転を止めた衝撃に耐えかねたように、不規則に急速回転した。

何重にもなっていた輪が、一気に不規則に回っことにより、霧の闇が、払い除けられていく。払い除けられた闇の隙間から光の輪が見える


管制塔

「これが…太陽の代理人の力か…」

さくら

「これが…魔法…」


全ての闇の掃除を終えると、高速で不規則に360°回転していた光の輪は次第にゆっくりと勢いを弱めて止まった。


ゆうじ「うん。綺麗な街じゃないか。」

街を見渡したゆうじがそう言った

光の輪が消え、ゆうじがさくらの前に降りた。

さくら「あなたは一体誰…?」

ゆうじ「わしは、魔法連 最高位長 ゆうじ。」

さくら「え?」

ゆうじ「つまるところ、この世で最も強い光の魔法使いじゃ。」

さくら「え~!?」


郊外

さつき「よく帰った」

きりさめ「はぁ…はぁ…まだゃ…ただいま…帰り…ました」

さつき「どうだった?最高位長の魔法は?」

きりさめ「ウォーミングアップには…丁度いいですね」

さつき「全く…私もだよ。」

さつきは呆れたように息を漏らしながらそう言った

さつき「お帰り」

そして安心したように息を吸って労った。

冷たく爽やかな風がさつきの長い髪の毛を揺らす。


僅かな時間であっても街全体を覆う闇の発生は今まで光の中で平和に暮らしてきた住民に恐怖を植え付けるには十分な時間だった。

ゆうじが光魔法で闇を払い、いつもの輝かしい街に戻っても、冷たく停止したような静寂が街を覆っていた。

そんな事など知ったことかと、黄色い声でさくらは目の前のお爺さんに質問攻めを繰り出していた。

さくら「ホント!?ホントにあなたが最強の魔法使い?私、強くなりたいの。私の師匠になってくれない?あ、ていうか、なんでここに来たの?どこから来たの?好きな食べ物は?」

1つ今聞かなくてもいい質問があったが無視してゆうじは口を開いた

ゆうじ「そんなことより、相方はどうした?」

さくら「あっ!?」

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