僕の君28
お爺さん「また会ったね。お嬢ちゃん」
さくら「テラジックで受付をしていたお爺さんだ!」
少年「何言ってやがる!こんなのが依頼所にいたら受付け何ていらないだろう…」
管制塔 感知外
警報が鳴り響くスターリップの街をさつきは薄暗い所から眺めていた。
薄暗く、冷たい風がさつきの髪を揺らしている。
さつき(この魔力、不味いな…)
(それにしても久しぶりじゃないか。)
「太陽の代理人」
スターリップ街中
お爺さん「まずは、そのお嬢ちゃんを降ろしたまえよ。」
少年は圧倒的な存在を前にそれでもさくらを離さなかった。
その姿を見たお爺さんは諭すように言った。
お爺さん「分かっているはずだ。君では相手にならない。」
少年「こいつは離さない!絶対に!」
さくら「何で!?」
さくらは驚いて、食いぎみに言った。
さくら「何で私を狙ってんだ!この変態!どこ触ってんだ!」
少年「うるさい!お前は黙ってろ!ブッ!」
目を合わせて怒鳴りあっている二人の内、1人が目にも止まらない速さで吹き飛ばされた。そのあと、さくらは抱えられていた姿勢のまま地面に着地した。
さくら「へっ…?」
さくらは唖然としている。
周りをキョロキョロ見渡していると、建物のコンクリートの壁が少し凹み、その近くに少年が横たわっている。
お爺さん「大丈夫だ。死にはしない。」
さっきまで怒鳴っていた少年は沈黙した。
宙に浮いていたお爺さんは、さくらの元へふわりと着地した。
お爺さん「怪我はないかい?」
さくら「大丈夫…あれ、お爺ちゃんがやったの?…」
さくらは少年の方を指さして言った。
お爺さん「あぁ、ちょっとお仕置きしてやっただけじゃよ。」
お爺さんはフォッフォッフォと独特の笑い声を上げた。
少年が横たわっている所から石が転がり落ちるような音がした。
少年「道理でな…軽かったわけだぜ。」
少年は意識を取り戻し、立ち上がった。
その時、明るい街を覆い尽くすように、暗闇が広がった。
まるでスイカをビニール袋で包むかのように。
そのビニールの持ち手にはさつきがいた。
真っ黒な物質が手から不等号のような形で出ている。
さつき「久しぶりだな。太陽の代理人。ゆうじ」
さつきの声がスターリップを覆う暗闇から響いた。
ゆうじ「ここまで魔力を回復していたか。闇の支配者。さつき。やはりこの娘が狙いだろうが、そうはさせんよ。」
ゆうじの魔力がさらに膨れ上がった。
クルクルと不規則に回っていた輪が、横並びになり、ゆうじを中心に回り始めた。
その時、少年にのみさつきは声を飛ばした。
さつき「きりさめ!早く!戻って!」
きりさめ(少年)は暗闇の中に皇后しく輝くゆうじの姿を呆然と眺めていたが、ハッとして立ち上がり、全速力でその場から退却した。
ゆうじ「お嬢ちゃん。よく見ておれ、これが魔法というものだ」




