僕の君18
しぐれ「え、え。でも。まだ、ロボットは未完成で学習中ですよ。とても私抜きでは受付けは勤まりませんよ。」
さくらは斜め上目遣いで眉毛を片方だけ上げた
さくら「えぇーいいじゃん?」
みなと「お前は酔っぱらいのじじいか。」
さくら「違うもん。優秀で優しいきれいなお姉さんだもん。ねぇ、さつきちゃん。」
さくらは左後ろに視線を配った。
そこにはいつの間にか、ちょこんと小さいさつきがいた。
さつき「…」
さくら「さつきちゃん?」
さつき「…」
さつきは腕を組んで考え込んでしまった。
さくら「…まじか…」
気遣い上手のしぐれは慌てて口をパクパクしながら言葉を出した
しぐれ「そ、そうですよ。さくらさんは優秀で優しいお綺麗な女性です。」
困らせた相手に気を付かれるさくらの気持ちは考えるまでもない。
さくらは悲しさと助けてくれたしぐれへの感謝の気持ちが入り交じって、ほぼ混乱した状態で言葉を出した。
さくら「じゃ、じゃあ。一緒にお弁当っ、じゃなかった。一緒に着いて来てくれるよね?」
さくらの理屈はめちゃくちゃだったが、しぐれは頼まれたら断れない性格だった。
しぐれ「はい!もちろん!えっ!?」
自分でも二つ返事で了解してしまったことに驚いてしまっている。
さくら「やったー!」
みなと「断るなら今しかないよ。」
しぐれ「え、えぇ。でも、まぁ何とかなりますよ。」
みなと「はぁ。」
みなとは諦めたような、納得したような、返事をした。
その時、考えこんでいたさつきはピンと背筋を伸ばした。
さつき「お姉ちゃんはホープだよ。」
しぐれ「ホープ?」
さつき「そう、そうホープだよ。」
しぐれ「へぇー。希望ですか。それは何ともさくらさんにお似合いな言葉ですね。」
しぐれはさつきに笑いかけた。
さくら「ありがとう。さつきちゃん。」
さくらは上機嫌になり、ルンルンと声が弾んでいる。
さくら「じゃあ、しぐれちゃんも仲間に加わったことだし、行きますか。」
みなと「どこに?」
みなとは食い付き気味で言った。
さくら「そりゃあ、現場で状況整理と痕跡探索よ。」
みなとは少し面食らったようだった。いつもトンチンカンなさくらが、もっともな事を言ったのだ。
さつき「なんか、名探偵みたいでかっこいいかもね。」
さつきは笑いかけたしぐれに対して笑いかけた。
早くも二人は仲良くなったらしい。




